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25歳以上の成人の再教育は間違いなく必要 人口減少×高齢化×資本主義

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Hey! What's up people~!? 鎌田です。それでは編集者目線で気になった本をご紹介させていただきたいと思います。

今回はこちら、日本在住30年、元ゴールドマン・サックス「伝説のアナリスト」デービッド・アトキンソンさんの書籍、「日本人の勝算 人口減少×高齢化×資本主義」です。

日本には再び大きなうねりとなってパラダイムシフトが訪れていると感じています。 この言葉は私の運営するシンクタンク「コト起こし未来塾」でもよく使っている言葉ですが、これはいったいどういった意味なのでしょう?

ここで一度、本書を引用しながら解説をしてみたいと思います。パラダイムとは、ある時期、ある集団の中で常識として認識されている思考の枠組みであることを意味しているわけです。

一方でシフトという英語には、「変える」や「移す」などの意味が含まれています。パラダイムが「変わる」、要するにこれまで常識と認識されていた色々な事柄が大きく移り変わることをパラダイムシフトというのです。

一旦このパラダイムシフトが起きると、これまでのやり方は通用しなくなります。今まで常識だと思い込んでいた前提条件が大きく変わってしまうのですから、その対処だって大きく変えなくてはいけなくなるからです。

今日、日本で起きているパラダイムシフトの根本的な原因は、人口減少と高齢化にあります。日本ではこれからは人類史上かつてないほど急激なスピードと規模で人口減少と高齢化が進んでいくでしょう。

これまで当たり前のように人口が右肩上がりで増えるというパラダイムだったのに右肩下がりに減るというパラダイムにシフトしたのですから。

これまで当たり前だと思ってきたきたことが、当たり前ではなくなるのです。日本のターニングポイントはまさにここだからです。しかし、このままでは日本に勝算はありません。

これまでの著書でも再三にわたって警鐘を鳴らされてきましたが、人口減少や高齢化が進んでいくなかで日本には間違いなく厳しい未来が待ち構えているのです。

これは推測といったたぐいのものではなく、人口動態などのデータを冷静な視点をもって客観的に分析すれば見えてくるであろう確実な日本の未来なのです。

今すぐにでも対応を始めないと、日本はいずれ昨今、三流の先進国に成り下がることは間違いのない未来でしょう。いや、下手をすると、日本は三流先進国どころか途上国に転落する危険すらあるかもしれません。

しかしながら日本から聞こえてくる論調は、まるでこれまでの仕組みを微調整すれば、そのたびに対応すればなんとかなるといったような、楽観論ともいえる実に甘く、その場しのぎに過ぎない、のほほんとした印象しか伝わってこないのです。

大きな嵐が目前に迫ってきているというのに、危機感がまったく感じられないのです。

著書のなかで例として挙げられているのが、安倍晋三首相によって、2019年の1月に消費税を8%から10%に引き上げたことについて、それはそれで必要であるとしながらも、消費税率の引き上げなど、小手先の微調整の典型であることについて見解が参考になります。

消費税の引き上げに関してもこのような説明がなされていました。

社会保障の負担が重く、税収を増やさなくてはいけない。そのためには、税率を上げる必要がある。

このような理屈では固定観念に囚われた、非常に低次元の理屈にしか目映らないのです。

それは日本の社会保障制度の問題は、究極において税率以前の問題であって、日本の税収が少ないのは、日本人の所得というのは先進国最低水準で、それに伴って消費が少ないからに他ならないからです。

たしかに、日本の消費税の税率が他の先進国に比べて低いのは事実です。しかし、そもそも消費税の課税対象となる消費、そしてそれを増やすために 不可欠な日本人の所得をいかにして上げるかが、この問題の根本の議論であるべきだとアトキンソンさんは提言されています。

それに比べたらたった2%の税率の引き上げなど、些末な話でしかなく、大きなパラダイムシフトが起きている以上、今までにない、もっと根本的かつ大胆な政策が求められているのだと。

必要なのは「これまでの常識に囚われない」考え方であって、今すぐに求められているのは、「これまでの常識」から距離を取り、前提条件に囚われずに解決策を見出す思考です。

日本の大学のあり方も例として挙げられていました。私も地方における大学経営に理事として関わってきたので、その深刻さは身に染みて理解しています。

周知のごとく日本ではすでに少子化が始まっており子どもの数が年々減り続けています。1950年に全人口の55%もいた24歳以下の人口は、2030年には18%まで低下します。

人口の55%が24歳以下だった時代、大学教育の対象が若い人だけだったことは、大学の経営戦略としても、国家の教育のあり方としても理に適っていました。

しかしその数が18%にまで減少する以上、大学のあり方そのものをシフトしていかなければなりません。国民の55%を対象としていた時代の延長線上で、国民の18%の教育をどうするかを議論するべきではないのです。

つまり国民の82%をどう教育するかが課題となっているのです。

「人生100年時代」と言われる中、逐次変わり続けるこれからの世の中において何十年も前から学校で学んだ知識とか一個人の経験から得られた知見だけで物事に対して正確に対処していけるとは思えないのです。

こうした観点からも、25歳以上の成人の再教育というのは間違いなく必要になってくるのです。したがってこうした場合において大学が大きな役割を担うべきなのです。

しかし今日では各大学では、すでに少なくなってしまった子どもたちを生き残りをかけて奪い合っています。それこそ、これまでの枠組みに囚われて、固定観念に染まっている証なのです。

これは大学に限った話ではありません。どのような場面でも、既定の固定観念に囚われていない新しい解決策を見つける必要があるのです。

日本人の勝算は「外の目」でこそ見出せるはずで、平常時であれば、日本の状況に最も詳しい日本人こそ、何をすべきかの答 えを見出すことができます。その場合、何も国外の知見や力を借りる必要はありません。

しかし、日本は今、大変革の時代を迎えています。今や平常時ではないのです。皮肉なことに大変革はひとたび起きると、これまでの仕組みとか枠組みに詳しければ詳しいほど、固定観念に囚われてしまうジレンマを抱えており、新たな発想を生み出すことが難しくなるのです。

これは何も日本にかぎった話ではなく、世界中の国々に共通して見られる傾向です。

したがい大きな変革が訪れるときには、国外の知見とか力を借りることの重要性が増してくるのです。

本書では、日本経済を経済事情ごとのパーツに分けて、それらの分析結果を日本の事情に当てはめて、人口減少・高齢化の影響について検証されています。

また、この歴史的なターニングポイントにある日本経済を、維持・成長させるためにどうすればいいかについても、数々の分析結果をもとに考察してあります。

その結果、人口減少・高齢化がもたらすパラダイムシフトに打ち勝ち、日本が再び一流先進国の地位を確かなものにできる「日本人の勝算」についての提言が、本書であますところなく、述べられています。

これからの日本をどうするか。この本をきっかけに、これまでの議論とは 「パラダイム」の異なる観点からの、建設的かつ活発な議論が進み、状況が大きく改善の方向に向かうように私たちも活動していきたいですね。

それではまたお会いしましょう!

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