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完全初心者から収支計画書を作る方法

前回は「借入額が到底無理な金額になってしまったら?」と題して現実に起こりうることについて検討しました。

今回は「収支計画書」について説明を進めます。

向こう3年間の毎月の売上、仕入、そしてその他の経費の計画を立て、その結果で利益がどれくらいになるのかということを算出します。

これは以前の記事、『損益計算書を効果的に使える考え方』でも説明したように、

・あなたの事業が今後どのような結果を出すのかを示す

・事業計画に適切な伸び率を示すことによって、あなたの事業の成長性をアピールすることができる。

この2つの機能があるわけです。

資金提供者や特に融資をしてくれる金融機関にとっての興味はただ一つ「融資した資金(元本と利息)がきちんと回収できるか」です。

したがって、収支計画書を作成する時には、現実的に達成できそうなラインで、かつ融資を受けた資金をきちんと返せるだけの利益が出るようにということを念頭におかなければなりません。

作成にあたって重要なこと

収支計画書のなかで注目されるのが利益です。次回の記事で実際に作成していきますが、毎月の利益、そして年間の利益がいくらになっているか、着実に伸長しているのか、ということが重要です。

通常の損益計算書はあくまでも1年間の事業の結果を表す成績表ですから、売上がいくらで仕入れがいくらで、その他の経費がいくらいでというような結果の積み上げていくのですが、収支計画書は結果ではありません。

まず利益をいくらに持っていくかということを大まかに決めてから、そこに着地するような計画を当てはめていくのがオススメの方法です。

基本的な構造

損益計算書(または利益計算書)は、会社や事業の特定期間内における収入と経費、利益または損失を示す財務諸表の一つです。以下に、損益計算書の基本的な構造を説明します。

売上高(収益)

企業の商品やサービスの売上高を示します。通常、売上高は各製品やサービスのカテゴリごとに詳細に分類されます。

売上原価(費用)

売上高を実現するために必要な直接的な原材料や労働力、製品の製造に関連する費用を示します。売上原価は通常、製品ごとまたは製品カテゴリごとに詳細に分類されます。

総利益(総損失)

売上高から売上原価を差し引いた金額であり、企業の基本的な利益(損失)を示します。総利益は売上高に対する直接的な利益であり、企業の経営の効率性を評価する上で重要な要素です。

費及び一般管理費(費用)

販売やマーケティング活動に関連する費用や、一般管理活動に関連する費用を示します。これには広告宣伝費、営業手数料、給与、オフィスの維持費などが含まれます。

その他の収益(費用)

上記の項目以外の収益や費用を示します。例えば、利子収入や為替差益、特別な収入や費用などが含まれます。

経常利益(経常損失)

総利益から販売費及び一般管理費、その他の収益(費用)を差し引いた金額です。経常利益は、通常の事業活動から生じる利益(損失)を示します。

税金

会社が支払う法定税金(所得税など)を示します。

当期純利益(当期純損失)

経常利益から税金を差し引いた金額で、特定期間内の企業の最終的な利益(損失)を示します。当期純利益は、企業の業績や収益性を評価する上で重要な指標です。

このように、損益計算書は売上高、売上原価、総利益、販売費及び一般管理費、その他の収益(費用)、経常利益、税金、当期純利益といった項目で構成されます。これらの項目は企業の収益と経費の状況を示し、経営の成果や効率性を把握するための重要な情報を提供します。

構造的には上から「売上」→「仕入(売上原価)」→「その他の販売費及び一般管理費」という順序で並べていき、経常利益を出します。

本物の損益計算書ではありませんから、営業外収益や営業外費用、特別利益や特別損失は入れなくても問題ありません。

上記は本業以外の臨時的な収支ですから、開業時の計画には織り込む必要はありません。

しかし、税金については考慮する必要があるので説明すると、例えば法人の場合、経常利益が100万円であっても、だいたい30万円から40万円は税金を払わなければなりませんから、その分だけ利益が減ってしまうことになります。

その税金を考慮に入れた項目が税引後の「当期純利益」となるのです。

これは毎月作成して一年ごとに合計を出して、これを三年分作成します。

この収支計画書を作成した段階で、スタートアップの1〜2ヶ月間の運転資金がだいたい判明します。

最終的には資金繰り計画書が完成しなければ数値は出ないのですが、最初の1〜2ヶ月間の運転資金はそれぞれと連動しているということについては十分に留意してください。

当期純利益と借入の返済

以上のような順序で収支計画書を作成していきますが、その目的はあくまでも資金調達や融資を受けることです。

この時に、収支計画書の「当期純利益」を見ればわかります。

当期純利益 = 余剰資金 = 借入金の返済可能額

当期純利益は年間の経常利益から税金を引いた残りですので以上のように表されます。

つまり、この余剰資金の中から借入の返済ができる計画になっていれば、あなたの事業はうまく回っているということになります。

逆にこの余剰資金が生まれなければ、どこかから調達をして利息がかさみ自転車操業になります。

いずれ資金はショートするでしょう。

収支計算書を作成する時は、このようなことに陥らないように、うまく数値を調整していかなければならないのです。

次回ではこの収支計算書の作成方法について実際の収支計画書を用いて説明していきたいと思います。

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