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あなたの会社の株式価値を最大化する方法

前回は「安定した株主構成を目指すことがファーストステップ」と題して、「会社が目指すべき5つの目標」について、資本政策の観点から考えると経営の根幹を成すものであるので、1〜2までを解説しました。

今回は残り3〜5までの解説に入りたいと思います。


会社が目指すべき目標の3つ目、「株式の流動性」

資金調達を有利に進めていくためには、株価の維持向上が不可欠であり、株主は皆、自分が投資した会社が将来的に成長し、株価が上がって、配当も出せるようになることを期待しています。

しかし、逆に株価が下がって明らかに損をするような会社に投資してくれるはずはないのです。

特に株式上場後は、株価の上昇が、経営上の重要な目標の一つになりますので、業績の向上によって株式価値を向上させていくことが基本となりますが、株式の流動性の確保を目指す資本政策のテクニックを活用して、資本市場において株式の売買を活発化させる必要もあります。

例えば、株式分割を実施して、1株当たりの金額を下げて投資家が買いやすい株価にするなどの手立てを講じることが考えられます。

また、自社株買いをして1株当たりの利益を一気に高めて、株式上昇要因を意図的に演出し、現在よりも投資家が買いたくなるような株式銘柄にする方法もあります。


株式価値の試算方法

これは資本政策上は自社の株価に発行済み株式数を乗じた金額であり、株式市場では時価総額と呼びます。

事業計画をもとに将来のフリーキャッシュフローを予測して、それを資本コストで現在価値に割引計算をおこなって、事業外価値(遊休資産)の処分価値を見積もって加算して、有利子負債を控除して算出と、4段回のフローを持って株主価値を試算します。


会社が目指すべき目標の4つ目、「インセンティブの付与」

働き方改革やインセンティブ制度の導入は、経営戦略と密接に関連しています。特に、役員や従業員に対するインセンティブ制度は、その人々が企業にどれだけ投資するか、すなわち「働く」という形で投資するかを大いに影響します。資本政策の観点から言えば、株式やストックオプション、従業員持株会の設立などは、役員や従業員が企業に対して感じる帰属意識や責任感を高める効果があります。

このようなインセンティブが正しく設計されていれば、それは自然と業績向上につながり、結果として株価の安定した上昇を促すでしょう。株価が上がれば、ストックオプションや株式を持っている役員や従業員が直接的な利益を享受できます。この循環が健全に機能することで、企業全体としての競争力が高まります。

なお、これらのインセンティブ制度は、事前にしっかりと設計し、経営戦略に沿った形で財務戦略にも落とし込むことが重要です。その際には、法的な制約や会計基準、そして社内外のステークホルダーとのコミュニケーションも考慮に入れて計画を進めるべきです。こうした総合的なアプローチが、企業の長期的な成功に不可欠です。


会社が目指すべき目標の5つ目、「上場審査ルールをクリアする」

株式上場審査における「形式基準」は、企業が上場を果たすためのゲートウェイともいえる重要な要素です。管理体制がしっかりしていたり、業績が良くても、この形式基準に適合していない場合は上場の道は閉ざされてしまいます。形式基準には、一般的に必要な株式数、株主数、連続した期間にわたる利益の存在、そして時価総額などが含まれます。

これらの基準を満たすためには、企業がどのように資本政策を策定していくかが極めて重要です。資本政策を検討する際には、形式基準を満たすことを明確な目標として設定し、それに向けて具体的なアクションプランを立案する必要があります。

例えば、株主数を増やすためには、小口株主を対象とした株式公募や株式分割を検討することがあります。利益を安定的に上げるためには、コスト削減や効率化、新規事業の展開などが必要かもしれません。そして、これらの施策は全て財務計画に反映させ、実行していくべきです。

最終的に、形式基準を満たすことは一つのステップであり、その後の上場後の企業価値の向上にも資本政策が大きく影響するので、短期的な目標達成だけでなく、長期的な視野に立って資本政策を策定する必要があります。


いまさら聞けないっ!時価総額ってなぁ〜に?

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