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中国で法人設立をするときに知っておくべき独自のルール

前回は「中国で会社設立(法人設立)するために必要な書類・準備」と題して、実務上においてやるべき段取りなどは把握していただけたと思います。

中国での会社設立における定款の設計に関して、董事会や名称のルールなど、現場レベルでの詳細情報を共有いたします。定款は会社の基本的な憲章であり、中国の法律に従って厳密に作成される必要があります。

以下に、重要なポイントをいくつか挙げます。

1. 定款の設計

  • 会社の目的と範囲:事業の目的や業務範囲を明確に定める必要があります。これは後に事業活動において大きな制約となるため、将来的な拡大も考慮して幅広く設定することが推奨されます。

  • 資本構造:株式の発行枚数、各株主の持ち分、資本金の払い込み方法などを明確に記載します。

  • 組織構造:会社の組織構造、董事会の構成や権限、株主総会のルールなどを定めます。


2. 董事会に関する規定

  • 董事の数と任期:董事の数は通常3人以上とされ、任期は一般的に3年以内です。再任も可能です。

  • 董事長の選任:董事会の中から董事長を選出し、その権限と責任を定めます。

  • 会議の頻度と手続き:董事会の会議は定期的に行われ、その手続きや決議方法を定款に記載する必要があります。


3. 会社名称のルール

  • 独自性と合法性:名称は他の企業と区別できるものでなければならず、不適切な表現や既存の商標を含まないものである必要があります。

  • 登録と確認:希望する名称は事前に商務局に登録し、承認を得る必要があります。


4. その他の重要事項

  • 監査と財務報告:会計監査の規定、財務報告の方法と頻度を定める。

  • 利益分配:利益分配の方法とタイミングに関する規定。

  • 変更と解散の手続き:会社の変更や解散に関する手続きと条件。


5. 法律顧問との協力

  • 専門的なアドバイス:中国の法律やビジネス習慣に精通した法律顧問と連携し、適切な定款の作成を進めることが重要です。

定款の設計は、会社の運営基盤を築く上で非常に重要なプロセスです。適切に設計された定款は、会社の効率的な運営と法的リスクの最小化に寄与します。

中国の法規に準拠し、専門家の意見を取り入れながら慎重に進めていくことが望ましいです。

董事会について

中国における外商投資企業の董事会についての詳細情報をまとめました。董事会は、外商投資企業において最高の意思決定機関であり、企業運営の重要な側面を担っています。

董事会の役割と構成

  • 最高意思決定機関:董事会は企業の一切の重要問題を決定します。

  • 構成員:董事は3人以上で構成され、定員枠の配分は合弁各当事者の出資比率を基に協議決定されます。

  • 任期と再任:董事の任期は3年で、再任が可能です。


董事会の開催と決議

  • 定期開催:董事会は毎年1回以上開催されることが義務付けられています。

  • 出席要件:決議を行うためには、3分の2以上の董事の出席が必要です。

  • 臨時董事会:3分の1以上の董事の提案により、臨時董事会を開催することができます。


重要決議に関する特別規定

「中外合資経営企業法実施条例」第33条によれば、以下の事項については董事会に出席した全員の一致によってのみ決議可能です:

  1. 定款の変更:企業の基本的なルールや構造を変更する重要な決議。

  2. 企業の中止または解散:企業の運営の停止や解散に関する決定。

  3. 登録資本の増加または減少:企業の資本構造の変更に関する重要な決定。

  4. 合併または分割:企業の組織構造に影響を与える大きな変更。

中国における外商投資企業の董事会は、企業の基本的な運営方針や重要な決定を行うための重要な機関です。

その機能と運営は、中国の法規制やビジネス慣習により厳密に規定されており、これらのルールに従って適切に運営されることが求められます。

特に重要な決定には全員の一致が必要とされるなど、合意形成のプロセスが重視されている点が特徴的です。

これらの要件に従いながら、効率的で透明性の高い董事会の運営が、企業の長期的な成功に貢献することでしょう。

現地法人の名称ルール

中国での現地法人設立における企業名称のルールに関して、詳細な情報を提供いたします。企業名は「企業名登記管理規定」および「企業名称登記管理実施弁法」に従って厳格に規制されています。以下は、中国での企業名の決定に関する主なガイドラインです。

1. 名称の構成要素

企業名称は以下の要素で構成されます。

  • 所在地+屋号(商号)+業種(営業上の特徴)+組織形態 または

  • 屋号+業種+(所在地)+組織形態

これにより、企業の名称はその業務内容や地理的な位置を反映し、特定の形式に従う必要があります。


2. 使用不可能な文字

以下のような文字は企業名に使用することは禁止されています。

  • 国家または社会公共の利益を損なうもの

  • 公衆に対して誤解等をもたらす恐れのあるもの

  • 外国国家(地域)の名称や国際組織の名称

  • 政党、国家機関、大衆組織、社会団体の名称や部隊の番号

  • 外国文字、ローマ字、数字など

  • その他法律または行政法規で禁止されているもの


3. 使用に制限のある文字

一部の文字は使用に制限があります。例えば:

  • 中国、中華

  • 全国、国家

  • 国際 など

これらの文字は、特定の組織形態や地位を示唆するため、使用が制限されています。


英文名称の設定

  • 貿易取引などで英文名称が必要な場合、英文名称は中国語名称に準じて設定されるべきです。これにより、企業の正式な英語名が、中国語名と整合性を持つことが求められます。


中国における企業名称の選定は、地域の法律と文化的な慣習に深く根ざしています。したがって、企業名を決定する際にはこれらのルールに注意深く従い、適切な形式で名称を設定することが重要です。

また、中国でのビジネス運営において、企業名はブランドイメージや市場での認識に大きく影響を及ぼすため、慎重な選定が求められます。

いかがだったでしょうか?このように論点を整理すると、そんなに難しい手続きではないことがお判りいただけたと思います。この記事を参考に淡々と進めていきましょう!

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