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経営者が目指すべき4つの指標

さて、株式上場とは個人的な経営から組織的な経営へと移行するプロセスとして、事業における選択のひとつといえます。

この移行段階において「会社=経営者」という状態をうまく解消していくわけですが、上場企業であっても個人商店のまま組織を無理くり動かしているパターンも多く見受けられます。

本来はこの移行期間というプロセスで内部統制もそうですが、資本政策を戦略的に整えて、経営に参加している経営幹部を中心に株式譲渡を行ったり、ストックオプションを付与したり、第三者割当増資を実行したりなど行ううちに経営者以外の株主も現れてくるのがこの時期でしょう。

この資本政策はもちろん経営者の意志が大きく反映されるのが間違いないところなので、判断を間違わないように熟考を重ねます。

だからこそ、経営者自身が自社の資本政策を早い段階からしっかりと理解して、収益計画に基づいた目標を立てて、その目標におけるプライオリティを設定していくことが資本政策の成功に欠かせない要素となっています。


経営者が持つべき指標 ① 創業者利益の確保


創業者利益の確保は、企業が成長し続ける上での重要な要素の一つです。特にスタートアップ企業や未上場の企業であれば、創業者が保有する株式はその経営において大きなウェイトを占めることが多いです。創業者自身が投じた労力やリスクに見合う形でキャピタルゲインを確保することは、その後のビジネスの展開や資本政策の方向性にも影響を与えます。

キャピタルゲインについては、事前にどの程度の利益を望むのか、具体的な数字やパーセンテージで明確にしておくと良いでしょう。これが明確であれば、将来的に株式を売却するタイミングや価格、それに続く資本政策の方針もより明瞭になります。

また、株式上場を視野に入れている場合、一般投資家に対して株式を売却することでキャピタルゲインを確保するという選択肢もあります。このようにして確保した資金は、企業のさらなる成長を促すための投資や、借入金の返済、その他の戦略的な動きに用いることができます。

ただし、株式を売却することで創業者やその一族が持つ企業内での影響力が減少する可能性もありますので、慎重な検討が必要です。この点も資本政策を策定する際には十分に考慮するべき事項であり、早い段階でその方向性を定めておくことが望ましいでしょう。


経営者が持つべき指標 ② 外部資本の注入


株主構成のバランスは、企業経営において非常に重要な要素です。特に成長フェーズや拡大期において、外部資本を効果的に活用することは賢明な戦略といえるでしょう。しかしこれには落とし穴があり、それは経営支配権の維持問題です。株主構成が大きく変わると、オーナーまたは創業者が持つ企業への影響力が低下する可能性があります。

特にベンチャーキャピタル(VC)は、資金提供だけでなく、経営に対しても一定の影響力を持ち得る存在です。これはVCがその専門性とネットワークを活かして、投資先企業の成長を後押しする一方で、業績が振るわない場合や方針に不一致が生じた場合には、経営に対して厳しい姿勢を取ることもあります。

安定株主が少なくなると、企業の方針変更や重要な決定において、株主総会での議決が難しくなる可能性もあります。このような状況を避けるためには、事前にしっかりとした株主構成の設計が必要です。

具体的には、新たな資本を受け入れる際にはその出資比率や将来的な株式売却のオプション、持分比率の上下限などを明確にしておくと良いでしょう。さらには、経営陣と新規株主との間で、業績目標や戦略、責任範囲などを明確にした契約を結ぶことも考慮に入れるべきです。

外部資本の導入はリスクとチャンスが共存する行為ですが、しっかりとした計画と準備を行うことで、そのリスクを最小限に抑え、最大の成果を上げることが可能です。


経営者が持つべき指標 ③ 会社の事業継承対策


事業継承は確かに複雑で多岐にわたる課題を含んでいます。経営の持続性や企業価値の維持、さらには税負担の軽減など、多角的な観点から計画を練る必要があります。以下に、主なポイントをいくつかご紹介します。


株式の継承と経営の継承


  1. 株式の継承: 株式を継承することで経営権が移る場合が多いですが、その株式がどのように移動するか(例:一族内での移動、外部への売却等)が問題となります。

  2. 経営の継承: 経営の実務を誰が担当するかという点です。CEOや役員の指名は非常に重要で、株主とは別になることもあります。


税金対策


  • 贈与税・相続税: 株式の移動には贈与税や相続税がかかる可能性が高いです。事前に適切な税務計画を行い、税負担を最小限に抑える手法が必要です。


留意点


  • タイミング: 継承を行うタイミングも重要です。事業が好調なうちに計画を練ることで、より多くの選択肢が出てくるでしょう。

  • ドキュメンテーション: 継承計画を文書化し、関係者全員で共有することで、誤解や対立を避けることができます。


株式と経営の継承者が同じ場合、その一貫性が見込める反面、その人物に過度な責任が集中する可能性もあります。別のケースであれば、株主と経営者の間で権限と責任を明確に区分する必要があります。

これらを総合的に考慮し、専門家(税理士、弁護士、M&Aアドバイザーなど)の協力を得ながら計画を進めることが、成功する事業継承には不可欠です。

事業承継については専門的に取り扱っている記事もございますので宜しければご参照ください。


経営者が持つべき指標 ④ 相続対策


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