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推し漫画vol.1『瑠璃の宝石』


こんにちは、今回は私の“推し漫画”を紹介させていただきます。
第1回目の“推し漫画”はこちら!

瑠璃の宝石 / 渋谷圭一郎
既刊4巻 ハルタ(KADOKAWA)にて連載中

☆あらすじ
キレイな石に目がない女子高校生・ルリ。
ある日、自力で水晶を手に入れようと探しに入った山で、偶然、鉱物学専攻の大学院生・ナギと出会う。
彼女から水晶を初めとした様々な鉱物採集の手ほどきを受けたり、ナギの後輩で同じく鉱物学専攻の大学生・伊万里や、鉱物の研究者を目指し勉強中のクラスメート・瀬戸たちと採集に取り組んだりしているうちに、「キレイな石」に抱いていたルリの感覚が少しずつ変わっていくーー。

鉱物採集や石に関する知識を深めるのはもちろん、ルリたちの鉱物に対する想いや、学生である登場人物が抱く進路の悩みに触れたりと、ルリたちの交流や変化などに思いを馳せつつ読むのも味わい深い作品ですよ!

☆個人的推しポイント

推しポイントその1:いろいろな石が出てくる
水晶や砂金から始まり、ガーネット、サファイア、トパーズ……「この石が本当に日本でも見つかるの?!」というほど有名な石がたくさん出てきます。
ルリと同じく、私もいわゆる“宝石”と呼ばれる石は、外国の鉱山などでしか見つからないものだと思い込んでいただけに、この漫画で『条件さえ揃えば日本の山や川などでも見つかる可能性がある』と知った時はものすごく驚きました。

さすがに宝飾品に使われるような品質のものはそうそう見つからないでしょう。
ですが、国産のガーネットなどを紙やすりに使用していたという例もあるそうなので(コラム・ナギの小憩vol.2/1巻)、私たちが“宝石”に分類している石たちって意外と身近な存在だったのかなと、石に対する認識が少し変わりました。

推しポイントその2:解説が丁寧でわかりやすい
「探している石はどういう石?」
「どこで生まれるの?」
「今ここで見つかるのはどうして?」
「この用語ってどういう意味?」
そんな疑問を絵で、そしてナギさんや伊万里さんがわかりやすく丁寧に解説してくれるので、「鉱物に興味があるけどまだ初心者で……」という方でも楽しく読めると思います! というか、私がそうです(笑)

『瑠璃の宝石』では、
・地球という星のどの部分で、どういう過程で石が生まれるのか
・どこを移動してきて、どんな場所で見つけられるのか
・どういう手段を使って石を探すのか
といった細かく深いところも含めて“鉱物採集”のルートが描かれています。
初めはなかなかピンと来なくても、繰り返し読んだり調べてみたりするうちに、自分の石についての知識や理解が少しずつ深まっていくのを感じて、それがまた面白いんです!

推しポイントその3:石だけじゃない!
メインテーマは鉱山採集なのでルリたちは基本的に石を探していますが、ただ闇雲に石を探しているわけではありません。

たとえば、2巻で探していたサファイア。
『おそらくこのエリアのどこかで見つかるだろう』程度の情報しかないところからスタートしたサファイア探しの最初のアプローチは、意外にも川砂からでした。

『川には雨や土砂崩れによって山からこぼれ落ちてきた石たちが流れ着き、長い年月をかけて川底に溜まっていく。だから川砂の中にサファイアが含まれているかを確認しながら川を遡っていけば、いずれ山にある産地へたどり着くはずだ』

……こう書くと簡単そうに見えますが、山にも川にも様々な大きさの石が無数にあります。
ポイント毎に採取した川砂を顕微鏡で1粒1粒見分けながら、サファイアの欠片が含まれていないポイントに行き当たるまでその作業を繰り返す……聞くだけでも気が遠くなりそうな地道な作業ですよね。ルリも何度か投げ出しそうになっていました。

でもルリが川砂の中に見つけたのはサファイアだけではなかったんです。

山の中の産地へ探しに行った水晶や黄鉄鉱。さらには予期せず見つけ出した砂白金。
『川には山からこぼれ落ちた石たちが流れ着く』
それは山だけに留まらず、地表のはるか下、マントルで生まれた鉱石がプレートの上昇や断層を伝って地表までやってくる。
そして山を下り川に流され私の目に触れることもあれば、海まで流された石がプレートの移動に巻き込まれまた地下へ帰ることもある。
重くて固くて動かないというイメージのある石は、実は数百万年以上もかけて形を変えながら、いろいろな場所を巡っているだなんて想像すらしなかった。
それを知ったうえで改めて石を見てみると、ただ「キレイだな」とだけ思っていた石たちがいっそう特別でいとおしく感じられるような気がしてきませんか?

☆まとめ

ただ石を探して集めて「キレイだね」で終わりじゃない。
「サファイア」という石をひもとき、川砂の背景を探っていって。山や川、時には古い地図や民話なんかも遡って……。
石だけを見ていてはわからない。ですが、そんな“石”には、私が当初想像していた以上に奥深い世界が広がっていたのだと、サファイアを探すお話を読んで初めて思い至り、鉱物に対する興味がより強くなりました。

そうなると実際に採集へ行ってみたい! 産地をこの目で見てみたい! ……なんて思うのですが。
行っても良い場所や採っても良いものなどの判別が私1人では充分にできないので……まずはミネラルマーケットや鉱物カフェなどを訪れて購入したり、博物館の石を鑑賞したりすることから始めてみようと思います。
どんな石に出会えるのか、これから楽しみです!


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