大叔母の味
大叔母が亡くなって、1年が過ぎた。
父方の祖母の妹さん。
ちゃっと離れた親戚である大叔母の思い出が私にはある。
私が子どもの頃、実家は2世帯住宅で1階は父方の祖父母、2階は私たち家族が住んでいた。
祖母は女ばかりの姉妹で
お互いおばあちゃんになったその頃も
姉妹同士、年に数回お互いの家を行き来したり、お茶会のような集まりに行ったり、旅行に行ったりしていた。
その中でもうちの祖母とよく会ってくれていたのがその大叔母だった。
大叔母の自宅は隣の市ではあるのだが、
うちがなかなかの田舎なので公共交通機関を乗り継いで1時間半以上かかる。
ただでさえ来るのに大変な場所なのに、
品のいい大叔母は訪問着をきて、
たくさんの手作りのお惣菜やお菓子を作って、両手に大きな袋を持ってうちまでやって来てくれるのだ。
昔の人のバイタリティには頭が下がる。
ここまでは「なんと。歳を重ねても仲がいい姉妹だ！」と言えるのだが、、、
そこまでして会いに来てくれたのに、
祖母と大叔母は実際会うと結構な頻度で喧嘩をしちゃうのである。
しかも、当時子どもだった私から見ても
ドン引きするレベルの喧嘩になっちゃうのである。
例えば、
大叔母が作って来てくれたもの、お土産でくれたものが祖母のお気に召さなかったら
「私、そういうの食べないのよね。」
とかはっきり言っちゃうのである。
何度子ども心に「ありがとう」と言っとけよ。と思ったことか。
そんなひと言がきっかけで徐々にお互いヒートアップして喧嘩になっちゃうのである。
おばあちゃん同士の喧嘩ってカオスでしかない。
いたたまれなくなって、私は退散するのである。
今となっては、子どもの前でなんてことを。と思うが。
そして、お互い謝ることもなく、後味の悪いまま大叔母は帰っていき、何ヶ月も連絡しないなんてことも度々。
でもまたどちらからともなく電話して、なんとなく仲直りのような状態になって、またお互いの家を行き来したり、一緒に出かけたりしていて。
姉妹って不思議だな。と何度も思った。
そんなに喧嘩しても
「会える距離にいるんだから、会いに行けるうちに会っておきたい。」
と祖母はよく言ってた。
今はオンラインで顔を見て会話ができたり、SNSで頻繁に繋がれるようになった分、ここまでして誰かに会いに行くことって少なくなった。
喧嘩したり、ぶつかり合うことが面倒になって、人と会うこと自体避けることもあるな。
あんなに喧嘩していた祖母と大叔母だけど、2人の関係を思い出すたび、今の自分の行動力のなさに反省する。
そして、
大叔母から教えてもらったことがもう一つ。
あるとき、大叔母の作って来てくれた料理で感動したものがあった。
ハヤシライスである。
大叔母のハヤシライスは椎茸と筍が入っていた。
椎茸から出た出汁の旨み、
筍のコリっとした食感がとても合っていて、それまでに食べたハヤシライスとは全く違うものだった。
料理の本や料理番組をよく観るというようなことを言っていた気がするので、
そういったものをみて作ってくれたんだろうけど。
大叔母のことをハイカラなおばあさんだなと思ったことをよく覚えている。
うちの家族全員、大絶賛。
(もちろんこの時は祖母も文句などつけず、おいしいと食べていた)
それ以来、椎茸&筍入りの和風ハヤシライスはうちの定番の味となった。
祖母も大叔母が亡くなる数年前に他界している。
もう、2人の仲がいいのか、悪いのかわからないやり取りを見ることはない。
きっと、あちらの世界でも喧嘩してるんだろうな。
そして、
大叔母が教えてくれたハヤシライスは
これからも私が大切な家族のために作っていくからね。
おすすめなので、
よろしければお試しください↓
和風ハヤシライス椎茸&筍入り
材料
牛肉(部位はお好みで)
玉ねぎ
にんじん
乾燥しいたけ
筍
ハヤシライスのルー
ビーフシチューのルー
ハヤシライスのルーとビーフシチューのルーを1:1でブレンドします。
ハヤシライスのトマトの酸味とビーフシチューのコクが合わさって、おいしくなる気がします。乾燥しいたけを水に戻す
玉ねぎ、にんじん、筍を切る
牛肉もお好みの大きさにきる
フライパンに牛肉を入れて火が通ったら、一旦お皿に取り出す
玉ねぎ、にんじんもフライパンに入れ、油が通ったら火を止める
鍋に牛肉、玉ねぎ、にんじんを入れて、椎茸の戻し汁と水(具材にかぶるくらいの量)を入れて、沸騰させる
沸騰したら火を弱めて、筍を入れて全体的に火が通って柔らかくなるまで中火で煮る(15-20分)
火が通ったら、一旦火を止めて、ハヤシライスのルーとビーフシチューのルーを1:1の割合で入れて混ぜる
水に戻した椎茸(まるごとのものはカットしておく)を鍋に入れて、弱火で時々混ぜながら5分程煮る
出来上がり
椎茸は早くから鍋に入れると、椎茸の出汁が全てルーのほう出てしまい、椎茸そのものの味がなくなってしまうので、気をつけてください。
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