小さなお花屋さんのお話③〜梅雨〜
自然が豊かな町にある、
小さなお花屋さんのお話。
お花が大好きな店主がお店に立つ
小さなお花屋さん。
そこは時間がゆっくり流れるような
のんびりした場所。
カランコロン
さて、今日のお客様は…
ゆっくり店内を見てまわられています。
でもその顔は少しお疲れの様子。
「お手伝いできることありますか?」
店主が声をかけます。
「お花、綺麗ですね。
最近何だか疲れちゃって…
元気もらえないかなーと思って。」
「紫陽花のスワッグはどうでしょうか?
お部屋に吊るしておけばそのままドライフラワーになって楽しめますよ。」
「いいですね、お願いします。」
紫陽花
ユーカリ
スモークツリー
ラベンダー
瑠璃玉アザミ…
梅雨の時期を彩るお花たちを束ねていきます。
優しい色味でまとめられていきます。
「お待たせしました。
こんな感じでどうでしょうか?」
「わぁ、素敵!
爽やかで優しくて…
泣きそうです…」
「きっと気づかずに毎日頑張ってきたんだと思います。仕事や人間関係で、誰かや何かのために少しずつ無理や我慢を重ねてしまったのかもしれませんね。あなたはこの花束のようにとっても優しい人なんですね。」
「…何やってもうまくいかなくて、空回ってるのはわかってるのにどうしたらいいかわからなくて…」
お客様は泣き出してしましました。
溜まっていた感情が溢れだしたようです。
店主はそっと寄り添って言います。
「梅雨の時期に咲くお花たちは、雨がとてもよく似合うんですよ。そして、雨上がりにキラキラ輝く姿はとてもかっこいいんです。
あなたも雨のようにたくさん泣いたら、心と体が軽くなって、キラキラ輝く笑顔になれるはず。」
この優しいスワッグに少しでも癒されて、自分にも優しくできるようになるといいなぁと店主は思うのでした。
ここはお花が大好きな店主の小さはお花屋さん。
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