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難病だと発覚した義母の話3

2016年1月
1人の患者(義母)に対して3人の付き添い(義父、姉のkさん、私)という超過保護気味のフォーメーションで紹介された総合病院へと検査に臨んだ。

大きな病院だから、予約時間なんてあって、無いようなもの。
ものすごく待たされた割に検査だけで、結果は後日、いつもの診療所に送ります…との事で、検査に3人も付き添い要らなかったじゃ〜ん。
ってか、観光気分で病院をうろうろしてた義父はホント、要らなかったよなぁ〜と思いつつ、そっか、だからいつもKさんも付き添いに付いてたのか!と納得したのだった。

検査結果は2月の心療内科の受診時に聞けた。
その時に私も初めてその心療内科に付き添いでついて行った。
小さなテーブルに対面して女医と義母が座り、今回の付き添いの私と義父は少し離れた横と後ろに控えていた。
検査の結果は異常なし。
送られてきたデータを元に『認知症の兆候はみられません』と。

えぇ〜?そうなの?本当に?
そう思っている私をよそに、義母と義父は
はぁ、と息を吐き出しながらほっとしていた。
そして女医さんはこの話は終わり…とばかりに
『体調はいかがですか?』といつもの診察を始めた。
長谷川式の認知症テストすらしなかった。

『家事はできていますか?』
『掃除機をかけるくらいの事なら出来てます』
義母が答えると横から
『掃除機なんて、ここ何日もかけてないだろ』
義父が突っ込む。

『ご飯は食べられていますか?』
『はい、それなりには(苦笑い)』
義母が答えると
『菓子パンばっかり食べてるよな。甘いやつ』
また義父が口を挟む。


『眠れていますか?』の質問に義母は
『とれています』と答える。

ちょいちょいちょい!
これに関しては薬を処方してもらうのに重要な事だと思ったから、思い切って後ろから
『眠れずに探し物している事や、お姉さんに電話しちゃう事もあるんですよね?』

この話は事前にKさんから聞いていて、相談してほしいと言われた事だった。

『そうなんですか?、夜はちゃんと寝たほうがいいですね。眠剤を増やしましょうか』
そして、女医さんはたいして話も聞かずに
『では眠剤を増やして処方しておきますので…』と診察終わりの雰囲気が出ていたため、私は思い切って女医さんに相談を持ちかけた。

『家で何もやる事が無いと、どうしても生活が不規則になりがちなので、デイケアみたいなものを利用してはどうかと思うのですが、どうなのでしょう?母はそういったものを利用しても大丈夫なのでしょうか?』

これは姉のKさんと私で前回の病院受診の待ち時間に話し合っていたもので、私は今回の心療内科受診前に私が知っている精神病院のデイケア施設に話を聞きに行き、資料をもらってきておいた。
先生からOKが出れば、義母と義父に話すつもりでいた。

『いいんじゃないですか?規則的な生活は大事だと思います』先生からOKをいただき、診察が終わった。

家に戻ってから、早速『デイケア』についての説明を資料を見せながら説明をする。
『とりあえずは見学に行ってみましょう?予約しておきますね』
義母の反応は悪くなく、むしろ楽しみにしている雰囲気さえあった。

2016年2月
義母と義父、私の3人でデイケアの見学に訪れる。

施設を一通り見学させてもらった。
1日のほとんどを過ごす事になるという大広間にはラウンドテーブルがたくさん並んでいて、そこで食事や工作などをするとの事だった。
ちょうど見学した時間はこれからオヤツの様で、皆んなそれぞれの場所に座り、おしゃべりしたり、本を読んだり…ぼんやりとしている人もたくさんいた。

私が働いていた時、実は同じ系列の所に研修をさせてもらった事があった。
そこでは、大声を出して騒いでる人がいたり、手を叩きながらウロウロしているような人もいたのだけど、そこはそんなこともなく、落ち着いた雰囲気だった。

しかし、それはあくまでも私の感想。
義父と義母は精神病院のデイケアの独特な雰囲気に怖気付いてしまった。

見学が終わり、職員さんと話をする頃には
『私、人間関係が上手くいかなくって…ここで人間関係を築く事に不安が…』と義母は言い。
『朝早いのがなぁ、起きれねぇよ』と義父が言った。
無理に人間関係を作る必要は無い。
生活リズムを整えるために通うんだから、起きれねぇ…じゃなくて起きる努力をさせたいって話なんだけどね。
私と職員さんとでそんな風に話をしたものの、2人の心には全く刺さら無かった。

とりあえず、考えますって事でデイケアに通う事は保留にしたのだけど、2日後には
『せっかく色々と調べてくれたのに…申し訳ないのだけど…』と義母からデイケアには通わないと断られてしまった。

義母には『別に気にしなくて大丈夫よ』と返事をしたものの、自分らで変わろうとしない人達に何か提案してもね〜σ(^_^;)

私もなんだかやる気が無くなり、じゃあ好きにすれば〜とばかりに特になんの働きかけもしなかった。

義母も義父も昼近くまで(義母の場合はヘタすると昼過ぎまで)寝て、適当にご飯を食べ(義母は特に菓子パン)1日家でだらっと過ごす…そんな毎日が変わらずに続き、とうとうどうにもならない事態になっていったのだった。

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