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ちょっと、旅行に行って来るよ

義母が施設に入居してから、私が旦那の実家に行く頻度はぐっと減った。
それでも、義母の面会の日時の相談、お中元の事など、用事を見つけては様子を見に行くようにしている。だいたい月に1度くらいの頻度。

今は義妹と義父と2人で協力しながらワンコを飼っているので、義妹がほぼ毎日、義父と顔を合わせているので、私は月に1度ぐらいがちょうどいい。

先日、お中元発送の報告の為に実家に行くと
『ちょっと旅行に行って来るよ』
と義父が言った。

義父の最近は平日、リモートワークで働く義妹からわんこを預かり、ワンコの面倒を見つつ、ほぼソファーでゴロゴロ。
休日もほぼ、ソファーでゴロゴロ。
庭にキュウリとナスを植えていて、それの手入れに庭に出るけど動くといえば、その程度。

ほとんど動かないため、下肢静脈瘤があるのか、足が痛くて歩くのが辛いと訴える日々。
『少し運動した方がいいよ』というと
『動いてるよ〜、買い物行ったりご飯食いに出てるよ〜』と返す義父。
いや、だからね、買い物は運動じゃなくて、日常動作だよ。しかも買い物だって車でしか行かないじゃない。
ダメだこりゃ。

そんな義父が友達と旅行に行くと言う。

『いいじゃん、旅行。楽しんできなよ』
義父がやっと、何かをやろうという気になってくれたのが嬉しかった。

どうやらそのお友達も半年前に奥様を亡くされたらしくて、もしかしたら話をしているうちにこのままじゃいけない、と思うところがあったのかもしれない。

『3泊4日くらいになるかな、何泊するか特にどこに行くかきめてないんだよな』
と不安になる事を言い始めた。

その一緒に行くお友達とは昔、大きな仕事がひと段落つくと、そのようにふらっと旅をしていたのだと言う。
『三陸方面にはよく行ったんだよ、そっち方面に行ってみるか〜って話はしてるんだけど…まぁ、お互い歳だし、しばらく遠出してないから途中でやめたって事になるかもしれないし、それでいいかって話をしているんだ』と。

なるほどね、それが義父とお友達の旅行の仕方なのだとしたら、私が口出しする事じゃないのかもしれないな。

義妹も心配をして
『ねぇ、旅行に行くとか言ってんだけど、大丈夫だと思う?』と相談してきた。
え!この人も心配とかするんだ!
義妹はどうやら、私と、一緒に反対をして欲しかった様だ。
まぁ、確かに心配だよね。
でもさ、それ以上に義父が旅行に出かけようって気になった事が嬉しくて、反対なんてできなかった。

『1日目はとりあえず松島を目指すことになった』と義父は出発して行った。
水曜日出発で帰りは土曜日の予定。

水曜日の夕方、1枚の写真が送られてきた。
おそらくは松島だろうと思われる写真。
コメントは無し。
『松島に着いたんですね?運転お疲れ様でした』
メッセージを送るとしんちゃんが『ありがと〜』と言っているスタンプが送られてきた。

次の朝。
おはようございますのスタンプと共に
『今日も安全運転で、無理のないように行ってきてね』
とLINEを送った。
本当は昨日の長距離の運転、疲れていないんだろうか?体調は大丈夫なのだろうか?
そういった心配があったからなのだけど、そう送る事で義父からどんなメッセージが返って来るか…と様子を伺ったのだった。

『今日は浄土浜に泊まります』
一言の返信が返ってきた。

岩手まで行くのか〜。
案外、体力的に問題無しって事かな?

3日目の朝
『旅行楽しんでますか?今日も無理をしないように安全運転でね』
と再び様子伺いのLINEをすると
『厳美渓に向かいます』と。

本当に聞きたいのは体調なんだけどなぁ…
そう思いながらも行き先を知らせてくれるのはなんとなく安心できた。
安否確認って事でまぁ、いいか。

4日目、土曜日の朝。
『今日はこちらに帰って来る感じですかね?引き続き安全運転で気をつけて帰ってきてね』とメッセージを送ると
『そのつもりですが、なにか?』
とメッセージが…
文章だけじゃなんともだけど…イラッとしてる?
毎日毎日『安全運転で!』と念を押されたらムカつくか??

そう思ってちょっと反省。
楽しい旅行にちょっと水を差しちゃったかなぁ〜。

それでも帰り途中のSAから
『今から帰ります』とメッセージが入り
あと1時間ほどで帰って来るんだなぁと確認が取れ
『あと少し頑張って』と返信したのだった。

帰宅したとのメッセージは無かったけど、きっとヘトヘトになってバタンキューかもね。
そう思った。

後日、私のバイト中に旦那と息子が実家を訪れるとお土産をたくさんもらって帰ってきた。
桃、笹かま、萩の月、かもめのたまご。
定番ばかりなのは義父らしいなって感じ。

話はあまり聞いてあげてないみたいだから、近いうちに用事を見つけてお土産話、聞きに行ってみよう。
旅行に出かけた事で義父に何かしらの変化がある事をちょっとだけ期待して。

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