嵐の夜に

「明日病院へ行こう、明日病院へ行こう、明日病院へ行きたい、明日病院へ行きたい…………」
と言いながら泣き続ける息子。
私の腕をつかんで、「明日病院へ行こう、病院へ行こう」と言い続ける。
「明日病院へ行くから早く寝なさい」「今すぐに寝たら、病院へいくよ」と返事をしても、まったく状況は変わらない。
明日はこども病院の定期受診日なのだが、そのことで泣いているわけでもなく、いわゆるパニック状態になり、自分でコントロールがきかなくなっているのだ。


言葉が言葉として伝わらない。
発する言葉に意味がないとき、どう聞こえるのだろうか。
ただの音なのか。
気持ちを吐き出すだけ、なのか。
言葉にかわるものはないのかを考えながら、嵐が通り過ぎるのを待つ。

でも我慢も限界に達すると、「あんたのせいで、かあさんはね……」と、口に出してはいけない言葉が次から次へとあふれ出てくる。
ひどい親だと思う。

今夜の息子のパニックの状況を書いたところで、この場にいない人に伝えることはとても難しい。
この病気を知る人であっても理解できないくらいに、息子の人格は変わってしまうのだ。
息子のためにと今までやってきた努力が全てむなしくなる。
今夜はそんな夜です。

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