自◎を仄めかす知人に極力理詰めで会話してみた話。

数年に1度ペースで精神的に不安定な方に全力で来られたりするんですけれども。
不安定になる事は否定しません。
季節の変わり目や、それによるホルモンバランスの乱れ、はたまた社会情勢から個人的な外的事件により、精神的疲労や乱れはあるものだと理解している。

だが。季節の変わり目は誰にでも同じく来ているんだ。
なんで、自分以外は誰も傷一つ負わないと思っているんだ。
まぁ心が弱まってるから、「周りはどうせ私より強いんでしょ」 とか思いがちですよね。
理解は出来る。うん。

だが、だからといって自死を脅しの道具に使うもんじゃないよ、という話。

とある夜中にスマホが鳴るから出てみたら、ライブやイベントで会う知人の方からの電話。
この方が、なかなかクセが強い。

「こんばんは。今、私どこにいると思います?」
「えー。。家ですか?」
「家じゃないです。うちのすぐ裏にある山の中の電話ボックスです」
「…ご自宅、G県でしたね」

着信はスマホから。
よく電波が届きますな。

「そうです。G県の山の中ですからね、真っ暗だし1歩進めば簡単に遭難できますよ」
「へー、危ないですね」
「そうなんです。心配でしょう?」

んー。心配といえば心配ではありますけど。

「ここで、私が一歩踏み出しさえすれば、あなたが私と話した最後の人になるんですよ」
「…踏み出すんですか?」
「そうです。この世から去る前に最後にお話しようと思いましてね
 どうですか? これで私が踏み出して、この世から去ったら、ずっとあなたは後悔して私を助けられなかった事に罪悪感を抱きながら生きていくんです」

なんか楽しそうですね。

「一生、私に対して罪悪感を抱きながら生きていくんですよ
 後追いしてくれても構いませんけど」

いや、あいにく死に憧れを抱かないんでな。
というか、なんか楽しげですね、この方。

「どうですか? 止めに来るなら今の内ですけどw」
「…まぁ残念ですが、今からでは無理ですね。
 まず私は車も免許も持っていない。移動するなら公共機関だけど、あいにく今は夜中だし。
 それに我が家からG県だと早くても3時間はかかる。あなたがその気になったら、まず間に合わない。
 あいにく。残念ですが」
「……では…あなたは一生後悔することを選ぶんですね! 私を助けられずに罪悪感を抱えて過ごすんです」

まだ頑張るな。
これは。なんか嬉しそうなんだよなぁ。
困りますなー。

「これもまた、あいにく。残念ですが。
 一生は、ないんじゃないかな」
「…え?」
「うーん…悲しむのは、正直なところ3日くらいじゃないかな」
「…え‥?」
「あなたがもし亡くなった報を聞いたとして、悲しみはするんです。悲しみはするんですが長くて1週間。
 正味3日間悲しんだとして、私は悲しみに慣れ、日常に帰っていきます。
 何かのタイミングで、あなたを思い出す事もあるでしょう。その時に悲しんだり残念に思うかも知れませんが『一瞬』です」
「…一瞬」
「そう。一瞬です。悲しみ続けるのも正味3日」
「3日…」
「どうです? 正味3日、私が悲しむために、一生を棒に振ることになりますが、如何です?
 やり直し効きませんけど」
「…」

沈黙ー。

「どうです?」
「…萎えました」
「そうですか。
 じゃ、夜も遅いし帰った方がいいんじゃないですかね」
「…はい…」
「お気をつけて。おやすみなさい」


あくまでも、あくまでも淡々と対応していたら萎えてた。萎えてよかった。

死を見せびらかすんじゃない。
脅しに使うな。
あ、よくある「生きていたかった人がいるのに、自ら云々するなんて」みたいな話はしません。それはそれ。
本当に悩んでる人の話は聞く気はあるが、そんなじゃない場合が舞い込む事が多いので、その際はそれなりの対応をせざるを得ない。

死は耽美な訳じゃないぞ。
それに、そんな耽美なキャラでもないの知ってるんだからな。

「絶望したことないから、そんな風に言えるんだ」
など言う人もいたが、私にお前の絶望が判らないように、お前も私の絶望が判らないだろう?

死に憧れるなよ。
脅しに使うな。
メメントモリでカルペディエムは良いか悪いか未だ判らないけど。

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