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刻まれてんだなあ

中華街ってどこ見ても食べ放題と占いしかない

しかも軒並み「ナンバーワン」「第一位」の文字がギラギラ光っていて、一体何のランキングで何がグランプリに輝いたのかもうわからない。

寒空の下、カタコトで「手相!有名な先生よ!」と声をかけてきたおばさんも、いつもなら苦笑いでスルーするのだけど、その日ばかりはなぜかすすいと、店の中に吸い寄せられてしまった。

狭い店内に並ぶ小さな椅子に20歳の男女4人がギュウギュウになって座る。
先生が一言、「全員恋人いないでしょ」と初っ端言い放ち、
全員ぎくり後苦笑。そんなにモテなさそうかしら私たち。差し出した手に汗が滲む。先生はピンクのボールペンで、手際よく手相をなぞっていく。

所感とおぼえがき


いろいろ見てもらってざっくり覚えてることを書き出すと、

・目標があれば頑張れる強い運が出てる
・モテ線(エロ線←⁈)あり
・婚期は26歳
・会社員よりフリーランス向き
・愛情深いけどクールでドライ

とかなんとか。的外れなことは一つもないし、まあまあ良いことを言って頂けているので満足。

過去と未来


占い初めに、「まずは過去からね」と私の左手を見た先生は、中央に濃く伸びる真っ直ぐな線をなぞって、「頑張ってきたのね」と言った。

過去の記事からもうかがえると思うのだが、私は人よりちょっぴりハードモードな10代を歩んできた。高校を卒業し、成人してからはとても平和な日々を送っているが、時々フラッシュバックする数々のトラウマは消えることはない。

「えっ…そうです」と声が漏れてしまっていた。先生曰く、手相はその人の生き様を刻んでいくものであり、年を取るにつれて変わっていくものなのだという。

大変だった過去は消えずに、私の体にきちんと刻まれている。忘れないように。思い出して、踏ん張って前を向けるように。その結果が、この右手を貫く運命線が切り開く未来に導いていることを示しているかのように。

過去は過去だけど、必ずしも悪いことばかりではなくて、自分自身の経験として積もっていくのだなあと、少し自分を肯定された気がして嬉しかった。

余談ではあるが、逆に人生であまり大きなトラブルを抱えてこなかった友人は手相がまあツルッツルで、これから刻まれていくのかもね~なんて言われていたから、本当に手相ってその人の人生を反映するのね。

恋愛に全然関心のない友人は案の定、恋愛線がことごとく薄く結婚線もなかったし、図々しい性格の彼には金持ちの線が出ていたのが面白かった。

また数年後に同じメンバーで見てもらったら、結果がまた変わってくるんだろうか…集まる理由が一つ増えたことに、ちょっとだけ心が弾んだ。

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