『冬期限定ボンボンショコラ事件』を読みました

本当に心の底からこの本が発売することを望んでいて、この日が来るのを待ち続けていた一方で、この日が来ることが一生来なければいいのにという二律背反を抱えていた本です。

だからPカップに逃げ、春から読むという心の準備をするというていで逃げていました。
もちろん、Pカップはやりたかったし、読み直しは改めて『小市民』シリーズともう1度向き合うことができたという点で、むしろプラスになったと思っています。


米澤先生のシリーズの中でこのシリーズが一番好きです。『古典部』シリーズも好きなんだけれども、どちらを他人に勧めたいかと聞かれればこちらを選びます。
小山内さんが好きなんだー、どうにも。ファン的な目線として。
彼女が自由に動き回っているのを見たい。正面じゃなくていいので、スイーツを食べてるところは見たい、くらいの気持ち。


あ、基本的にはネタバレなしで書こうと思っています。あらすじ部分くらいは書くかもとは思うけど、なるべくそれ以外は書かないようにと。つまりはこれ、感想です。


いきなり轢き逃げに遭うの中々ハードだなーと思ったのがまず感じたこと。
どうしても読みたいと思っていたパートが、ちゃんと書かれていたことが一番嬉しかった。
なぜ彼(彼女)がこうなったのかというのは、この物語を終える上で重要なんじゃないかなと思っていたので。


解決編は結構意外な部分もあったものの、おおむね読めてて安心でした。
一応本筋ではないものの、2つ完全に読み損ねてたところがあって悔しいとは思った。片方は観察力不足、片方は気になってたけど、スルーしちゃったんだよな、感度がよくなかった。


終章が本当によかった。美しいというかきれいというか。これを読むために待ってたんじゃないかなと思うほどには。


全部読み終わった後に、51ページの一番左を読んで、趣を感じたので、これが正しいかは分からないけど、置いておきます。
1回目に読んだときとは違う衝撃を受けた。1回目はまっとうに受けるべき衝撃で、2回目はこうだったらいいな、と思う甘い夢みたいなもの。


もちろん続いてほしいし、次の春も来てほしいんだけど、物語としては、ここで終わるのが一番美しいんじゃないかなと思う。
2人の関係というものが、回り道なんだか正道を進んだんだかよく分からないけど、モラトリアムの時代ってこういうもんだよね。どっちにしても結論が出るのはもっと後だろうし。



あとこれは書いておきたいなと思うこと。
解説を見て感動したのは生まれて初めてかもしれない。言葉選びがあまりにも美しかった。
もちろんちょっと感じていたことではあったんだけど、ちゃんと語ったうえで、これ以上の言葉を重ねることが、作品に対して野暮であると弁えているのが本当に素晴らしかった。



『小市民』シリーズに出会えてよかった。可能なら記憶を全部飛ばして、もう1回出会って、もう1回好きになりたいなと思える作品だった。


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