白い恋人
冷蔵庫に白い恋人が一箱入っている。
べつに北海道へ行ったわけでなし、友人知人から土産で貰ったわけでもなし。私が通販で注文したのだ。なぜなら、デザートによさそうだと思ったから。
著名なお土産の中で、白い恋人と萩の月は、どういうわけだか群を抜いて美味しい。一般のスイーツ市場でも通用する味であるように思う。純粋にデザートとして、あるいはお茶請けとして普段遣いでも採用したいくらいだ。紅茶にも緑茶にも合う。味で言ったらヨックモックのそれに匹敵する。
欲を言えば、白い恋人には生クリームやソフトクリームを載せたりして食べたい。以前、販売元の会社が運営しているイシヤカフェで白い恋人パフェというのを注文したことがある。ソフトクリームを基調としたパフェに白い恋人が突き刺さっているような代物で、食べるたびに口の中でクレミアが完成していくのだ。自社製品の魅力を知り尽くした直営店の企業努力には恐れ入った。
さて、手作りのキノコ料理とチーズで白ワインなぞをあおった先週、デザートに白い恋人を食べてみた。
ラングドシャとホワイトチョコレートのハーモニーが広がる。それと同時に、いつかの幼少の日、ジャンボジェットで新千歳空港へ向かう機内で飲んだ無料のコンソメスープの匂いが頭をよぎった。ジャンボジェットで北海道旅行というのは、あまりにもステレオタイプな「平成の記憶」すぎて、少しおかしかった。