見出し画像

これからの計画論の条件(11)専門家としてのプランナーの役割

11.参加型計画論におけるプランナーの役割
 従来の能動ー受動モデルではない、各主体がステークホルダーとして水平的に関係しあう参加型計画においては、プランナーの役割・専門性もまた大きく変わってきます。従来の個々に受け手の要望や与条件を聞いてプランを提案するというスタティックな役割から、ステークホルダーを巻き込んだグループワークを含んだダイナミックな役割が求められるようになってきます。
 まずは各ステークホルダーに議論や判断に必要な知識や、表現能力を備えてもらうための教育としてのキャパシティビルディングを行いつつ、計画に必要な与条件を整理して、実際のワークショップをリードしつつ、ある方向性に議論を集約していく①ファシリテーターとしての能力が求められます。
 また実際の実行や運営管理段階においても、住民や各ステークホルダーの参加は不可欠ですので、しっかりとした運営のためにきっちりと権限移譲していくような、組織の②オーガナイザーの役割も必要でしょう。
 あるいは、特に意見の反映されにくい弱者の代弁者としての③アドボケイトの役割も、社会的公正を担保するためにも重要なプランナーの任務です。
 さらに、都市計画やまちづくりの分野においては特に、より広範に市民・住民を巻き込むパブリックインボルブメントのための、いわば④アジテーターというセンスも求められるでしょう。
 このように、プランナーとは従来のハードな計画を立案する能力だけでなく、ワークショップや組織、議論をマネージしてコーディネートしていくというソフトな能力における専門性が求められてきています。もちろんひとりのプランナーがそれを必ずしも備えているということではなく、むしろそれらの専門家たちのチームで対応していくということになるでしょう。いずれにせよ、ここに掲げたこれら4つの役割を認識しておくことが大切です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?