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何者にもなれない病/特別な存在になりたがる病

我々は皆、中二病を患っている。だが、実態は退屈でちっぽけな存在である。その事実から目を背けるべくして自分を異常な人間に仕立て上げる。

仕立て上げるというよりかは、異常/特別/捻くれ/変人という設定で自我を保っている側面があるということだ。

「俺って捻くれてない?w俺が捻くれている理由は」みたいな感じで口を開けば聞いてもいない異常自慢をしてくる輩のことを僕は何者にもなれない病、又は特別な存在になりたがる病を患う患者と称している。

これは、自分には何もないという空っぽの生き様からくる劣等感やコンプレックスから自分を守る為の一種の自己防衛になっているんじゃないか、と僕は思う。

これには、滑稽だなと思う反面、強く共感ができてしまう。ただ、その虚像に縋っている限り、その退屈な自分からは離れられないだろうな、と僕は思う。(受け入れたところで退屈な自分から抜け出せるかは知らないが)

何故なら、実際の自分自身は停滞したままだからだ。虚勢ガチ勢になったところで何も変わらない。現実に立脚せず、理想だけに目を向ける姿勢は自分自身を苦しめる他ない。

やはり、こういった何者にもなれない病を患っている患者の言動には欲望が滲み出ている。「俺ってすごいだろ?」「私を特別な存在として認めろ」といった具合に。言葉に出していなくてもすぐに分かる。

唐突ではあるがここで、この病の構成要素を分解するとこうなる。

【自己認識の歪み/コンプレックス/劣等感/他者への羨望/承認欲求】

といったところか。まず自己認識の歪みだが、これは"自分から見た自分と他人から見た自分の像の乖離"である。つまりは、思い込み。そう、この病を患っている者は自分のことをそこそこ優れていて変わり者だと思っている。

だが、ここで一刀両断させてもらおう。自分はそこそこ優れていて周りの人間がバカに見えるというのは自分が一番のバカであることの証左である。気持ち悪く自分に自惚れているだけ。そんなに、自分のことを優秀な人間だと言うのなら何かしらの功績を挙げてみろ、盲目ゾンビが。

それから、他者への羨望だろうか。人は手に入れられなかったものに執着する。手にしたいけど自分には備わっていないものや人に魅力を感じるようだ。だからこそ、地味/目立たない/平凡/退屈/つまらないというありきたりな自分から差別化を図るために自ら異常性を嬉々として語るのだ。

「他の奴らから逸脱してる俺、逆にかっこよくね?」という見事なダサい拗らせっぷり。彼ら彼女らの中で異常=人と違う=魅力的という図式が成り立っている。

そして、これもよくあることなのだがこの病を患う患者が自分より上だと思う人に対して「貴方は才能に恵まれていますよね」だとか「貴方は私の苦しみを知らない」などのネチネチしたみっともない攻撃。本当に、これはやめたほうがいい。普通に嫌われるから。 

外側からは"何者かになれた人"だとしても実は目には見えない地獄の底で創意工夫をしているなんてことは大いにあるから高確率で反感を買ってしまうことになる。

まあ、認識の歪みというのは自覚が難しいなと思う。何故なら、指摘してくれる人がいないからだ。たとえ、指摘してくれる人がいたとしてもそれを受け入れるための受け皿が用意されていないと本人は認めることはできないだろう。

痛い目を見て苦しい現実に直面するか、歪んだ認識に向き合わないまま死ぬかしかないんだと思う。更に言及するなら、苦しい現実に直面した後の行動でその後の人生が大きく変わる。行動パターンというのは僕の中で3パターンあるのだが、

➀現実に気づき気持ち悪く藻掻き苦しむ
②方向を変えその場から立ち去る
③現実を受け入れ対策を打つ

大きく分けてこの3パターンだ。

③が重要なのだが、受け入れる過程の中で最も重要なのは①である。

嫌な現実に直面する機会が多かったとしてもただ、逃避しているうちは何も変わらない。だが、逃避を繰り返していく中で自分の無様さに気づき、そこから現実と向き合う人はいると思う。

僕の経験則を話すなら、②を繰り返していく中でいつしか放心状態になる程のダメージが自分に与えられるときが来る。僕の場合、大きなダメージが自分に来たときに①に直面した。

これは一時的には苦しい出来事ではあるが、これを乗り越えさえすれば灰色のスタート地点には立てる気がする。自分の中にある無能さを自覚するところからがスタート地点である。だから、自分を無能だと感じられる場所に一度、身を投じるというのがベストな気がする。

この記事を書く上で誰かを救いたいなんてそんな傲慢なことは思わないが、この文章でもしも救われる人がいるなら嬉しく思う。

ここまで何者にもなれない病/特別な存在になりたがる病について皮肉たっぷりに嫌味ったらしくかなり攻撃的に語らせていただきました。何者かになりたい病を患っている患者からは以上です。

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