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雨穴『とある一軒家で見つかった不気味なビデオテープの真相』の呟き考察

2021年9月24日に公開された雨穴氏の動画『とある一軒家で見つかった不気味なビデオテープの真相』に関して、各方面で既に十分な考察がなされています。
2年前に動画を視聴した際にコメント欄に書いた考察と文献の詳細について書き留めておこうと思います。
申し遅れましたが、雨穴氏のYouTube動画は全て視聴しており、書籍も読了しております。推し活の一環として本考察をご笑覧下さい。又、大学の先輩方におかれましては、私の筆力が少しも向上していないことを笑って見守って頂けると幸いです。

故に本稿はネタバレを含みます。雨穴氏の動画を未視聴の方はご留意願います。又、雨穴氏の動画の再生回数に差し障らぬ様、あらすじは最小限に記します。詳しくはリンクから本動画でご覧くださいませ。

それではどうぞ↓↓↓

登場人物

事実確認も含めて登場人物を書き出しておきます。
雨穴:依頼を受けたYouTuber。(本動画にでてくる人物と書いている人は別かも?またの機会に考察します)
栗原氏:雨穴の知人で設計しを営む。ホラー映画愛好家。
八原久美子:自宅から発見されたビデオテープの件を雨穴氏に依頼。
八原脩斗:八原久美子の一人息子。
八原咲江:修斗の祖母。久美子の義母。
八原誠一:久美子の夫。自死。
中田明人:八原一家に家を売る。誠一の幼馴染。

2017年2月 八原家は都内の一軒家に引っ越す。
2017年4月 修斗くん(当時2歳)が大怪我を負い大量出血。その後助かる。
2017年5月 夫誠一氏が自死。(久美子談では突然死)
2017年6月 咲江が階段から落ちて複雑骨折。

2017年の修斗くんの大怪我による輸血のため、血液型が調べられる。近年、血液型は出生時に調べる事はあまり無くなってきた。その後成長の過程で型が変化するため、輸血時に調べてから輸血をすることとされている。
夫と久美子さんはO型。修斗くんはA型であった。
このことから修斗くんは夫誠一の子ではなく、明人(A型)ととの子であることが露呈してしまう。5月に夫誠一氏が自死したのはその為である。

血液中に存在する赤血球はその表面に存在する「抗原」の型により、いくつかの分類方法があるが、一般的にO型同士からA型は生まれる可能性は低い。このことについては作中の動画の中で既出である。

私はこの時、動画を目で見ずイヤフォンを通して聴いていた。幼少以来ミステリーや推理物が好きな私は暗号アルゴリズムやパズルを解くのが好きである。殊に近年は名付けをするに当たり、古語や平仮名の成り立ちをおさらいした。そして、頭の中で以下の図のように変換された。

修斗くんの名付けには何も触れられていませんが、久美子さんが名付け親だとしたら含みを感じますね。答えのないことで深読みしすぎかもしれませんが、それが考察ということで。
血液型や『阿波国風儀貫伝書』という架空の文献に記載された「嵓蜾(がんら)」なる呪術に焦点が行きがちですが、修斗くんの名付けの音から少し考えてみました。中田氏が「明人」ではなく「秋人」であったら、もっと関連づいたかもしれませんね。

嵓蜾と阿波国風儀貫伝書について

嵓蜾(がんら)と呼ばれる人形を使って空間の四隅にまじないをかけ、部屋そのものを呪詛にかける呪術が本作では使われているが、フェイクと見てよい。しかしながら、四隅に人を置き、順番に隣の角へ移動する「雪山遭難の時よくやる遊戯」は降霊術が元ネタである。ミステリー好きな皆様なら一度は覚えのある怪談ネタではないだろうか?

また、この嵓蜾が記載されている阿波国風儀貫伝書は実在していない。それらしい文献といえば『阿波国風土記』を挙げたいが、これも現存しない幻の書籍である。

古風土記の行方

続日本記によると律令制度下、元明天皇の詔により編纂が開始された地方の国ごとに地理や土壌の肥沃度合い、歴史や地誌などを記した報告書です。
写本のみが現存し、常陸国、出雲国、播磨国、豊後国、備前国の5つのみであり、他の国は全て逸文とされています。
古文書を小説や動画で目にするといつも思い出されます。
この現存する5つの古文書(特に完本の形をとる出雲国風土記)から当時編纂された「奈良時代」と称される日本の姿を垣間み、令和を迎えた現代ホラーミステリーとして各方面で資料として大きな役割を担っていると考えると、襖を張り替えるときの古紙や古い倉庫の中の古書も簡単には捨ておけませんね。

おわりに

久しぶりに古文書が関係するミステリーに触れられ、とても楽しかったです。
雨穴氏の動画視聴後、ホラーにありがちな謎を残しつつ終焉を迎えた本作に、微弱ながらの着地点を示さんとこのnoteを立ち上げました。
咲江さんの思惑を匂わせる終わり方、ゾッとしました。修斗くんに呪いを完成させることを予定していたのならば、毎日どういう気持ちで孫の面倒を見ていたのでしょう。いや、孫でもないんですよね。息子を裏切って他の男の子を産んだ嫁。その嫁の不実の結実である幼子を面倒見るなんてなかなか出来ないです。
とにかく呪いを完成させたかったのでしょうか。

(以下参考文献)
網野善彦著『古文書返却の旅』戦後史学史の一齣 中公新書
丸山幸彦著『祖谷山舊記・忌部神・予章記考 ― 四国の近世社会からみた中世・古代 ―』溪水社など、

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