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SLOWLYCOLLAPSE

皆様お世話になっております!Eversolitudeのギターと作詞作編曲を担当していますゲンスナミです。

今回は先週末11/25にリリースされた我々の1stEP「SLOWLYCOLLAPSE」のセルフライナーノーツを書いていこうと思います。

前作INNER GHOSTSから約半年ぶりの音源でかなりいろんな要素が詰まっている一作なのでこの記事を読んで、また音源を聴いてもらえたら少し聴こえ方も違うかもしれませんし単純にとても嬉しいです。
それでは、少し長くなるかもしれませんが最後までお付き合いいただければ幸いです。

まずは音源の紹介から。
Eversolitude - SLOWLYCOLLAPSE

2022/11/25 Release.
Tr.1 供花が鳴く(Prequel) / Tr.2 過日の影を踏む(Beyond Causality) / Tr.3 時を縫う魔法(Clockwork Youth) / Tr.4 或いは幽き放物線(Faint Afterimages)

各種試聴リンクなど
Linkcore
 : https://linkco.re/hr4a9mAh?lang=ja
Spotify : https://open.spotify.com/album/1DW1dUCFopHOkhAGW9lLBi?si=VJmHo2ckT_603nUSfcH8nQ
AppleMusic : https://music.apple.com/jp/album/slowlycollapse-ep/1656209593
Bandcamp : https://eversolitude.bandcamp.com/album/slowlycollapse
Soundcloud : https://soundcloud.com/gen-sunami/sets/eversolitude-slowlycollapse
過日の影を踏む(ミュージックビデオ) : https://www.youtube.com/watch?v=dJ_eM_vhV-g

・EPについて

今作はある種コンセプトEPにも近い形をとっていて、タイトルの通りSLOWLYCOLLAPSE、緩慢な破滅をテーマに4曲全てを書きました。

大元のテーマある状態で曲を書いているので歌詞や楽曲にもそのテーマから枝分かれを起こしているのを想起するべく詩の温度感や楽曲の構成は意識して作っています。具体的には、直接的に言葉に起こしてはいないけど退廃や破滅を連想させる陰鬱な歌詞だったり、楽曲にキメを多用して相互に共通ポイントを作る、などです。

恥ずかしい話ですが、歌詞は自分がメンタル落ち込んでいる時に書いているので正直なところを言えばこのEPはほぼほぼ自分語りです。血肉を削いだ分だけ作品に熱は宿るけど自分のメンタルはすり減っていく。1人でずっと極限のジェンガしてるみたいな気分でした。

後地味にジャケットの写真も自分が撮りました。
カメラほぼ触ったことない状態でこれ撮れたの地味にビギナーズラック感あるけど好きな写真です。
アートワークをアップした時、速攻でこの写真が常磐線松戸〜北千住間なのバレてウケました。
何を隠そう自分は松戸住みなので地元をレップして歌詞の実在性や解像度を上げたかったので即バレは結構嬉しかったです。この辺住んでる人は見知った光景と詩、曲を重ね合わせてくれたらこのEPの効き目が長く強くなるかもしれないです。

という感じです、こいつこの見た目でこんなこと考えたのかよみたいな生ぬる目の視線を挟んでもらいつつ、ここからは曲毎にお話したいと思います。

・Tr.1 供花が鳴く(Prequel)

供花は今作のイントロダクションでもありTr.2の過日の影を踏むへの導線にもなる曲。

曲自体の位置付けや意図としてはイントロダクションとしてのコンパクトさは保ちつつも情報量は曲と扱って遜色ない豪華な導入といった感じで、このコンセプトは上手く纏められたなという思いがあります。

・作曲の話としては、日常の中にいる誰かへの後悔や現状への焦燥感、過去に縛られるが故の未来への不安をテンポと同期しない、ピッチも違う踏切の音や電車の音で不規則な違和感を演出したいと思いました。
また、今作の裏テーマとして庵野秀明監督へのリスペクトという意図でも使用しています。エヴァ旧劇は俺の人生のバイブルです。
後悔を繰り返すという意図で、メインのフレーズはギターの逆再生など用いアプローチしたつもりです。

バンドインからの激情パートは前述の過去に縛られるが故の不安、というところから前身バンドや自分のバックボーンを想起できるパートにしようと考えてあのような形となりました。
やりすぎたかな?と当初は思っていたけど今では導入から終わりまでの静と動の勢いやバランスなど特に気に入っているバースの一つです。

・詩や歌に関しては、EP通してですがたよりさんの柔和な声質と自分のピーキーなシャウトの対比を歌詞の字遣い音遣いでも意識しています。
初夏、帰途、夕立ちなど夏への憧憬が際立ち、後半はその蒸し暑くて不快な湿った空気感は孕ませた上で後悔や自問、問いかけを歌詞に投影しました。

過日とは明確に世界観を繋げているつもりだけど、劣夏にも通じるところがあるなと感じて、よく考えたら書いてるやつ同じだわ…となり納得したのかしていないのかというのも一つ…

・Tr.2 過日の影を踏む(Beyond Causality)

この曲にはミュージックビデオがあるので、そちらも合わせて観て頂けたら解像度が上がる気がします。


もともとこの曲はNefertitiという曲でした。我々の前身バンドで演奏していた曲です。

この曲をリメイクしようと思ったのは、元々この曲に対して作曲者の目線でもっといい形に出来たはずだという後悔があったことや、今の体制になってからボーカルのピッチ的に合わせづらいキーであること、そしてこの歌詞は書いた人間でなければきっとその意味を成さないと感じていたし、きっと本人もそう思うだろうと考えた結果で、系譜としての流れはあってのことだけどNefertitiはSASNの楽曲としてこれからも残るし、過日は新しい楽曲として、Nefertitiへ俺なりのアンサーとしてEversolitudeのモノになってくれると踏んだからです。

この曲は自分を鼓舞するための曲でもあるし、名も知らぬ誰かへのラブソングでもあるし、鎮魂歌でもあります。曲や歌詞を聴いて、見て、思い浮かべるものは自分もその時々によって違うからそこはそれぞれでいいんだと思います。
けど、一つ明確なのは影踏みのように無くしたくない思い出を踏んだままでいたいけど、思い出に後ろ髪を引かれたままでは未来を現在にすることは出来ないし、その連続の上で自分という存在や環境は成り立っているというニュアンスで曲名を「過日の影を踏む」、そして複合的に過去の楽曲に対する俺から俺へのアンサーという意味で英題をBeyond Causalityとしました。
当時BCをリリースした時から、いつか盤のタイトルを曲名でさらうのはやりたいと思っていたので、俺の中で伏線回収ができたのも嬉しい。

・作曲の話としては、Nefertitiという土台の良いところはさらに良くして今の俺ならもっと上手くできる、を地でいこうというのがテーマです。

当時の俺がやりたくても追い付かずにできなかったことを今の自分からありありと見せつけてやろうと考えました。ギターのメロやフレージングなど、過剰すぎるくらいに、今の自分のキャパシティの限界まで詰め込んでいます。
そうじゃないと自分の曲じゃないなというくらいに、普通の奴がやらないなら俺がやると思って作っています。

細かい話は、実はこの曲にはもう一つ、Nefertiti以外にも過去演奏していた曲のフレーズを隠していて、そちらには今後のリリースで色々ある為あえて触れないので見つけたら教えてください!嬉し泣きします。

後は、俺がリスペクトするDance Gavin Dance、もといWill Swanへの影響が1番濃いのもこの曲かもしれません。あまりリスペクトしているものに近くなるのは避けてきたけど、逆に直球でリスペクト出してこうと思ってメインリフを書きました。

・詩や歌に関しては俺なりにNefertitiという歌詞を咀嚼して、あの曲自体に外部への問いかけなんかはなかったけどNefertitiに対してというか、あの頃の自分自身やバンドへのアンサーとして書きました。

そう言った意味での決意表明をしっかり詩の中に出せたたんじゃないかなあと思っています。
英題の回収というわけじゃないけど、途中にBeyond Causalityに収録した曲の歌詞をワンフレーズずつ引用したのも、届いてくれてたら嬉しいです。
後半にある自分のシャウトパートの歌詞、本当に気に入っているのでここにも載せます。
時の河の行方は知れず 
ひたすらに流れていく
かつて現在だったあの夜の激情が
今は血となって体を巡ってる
新たな風を孕んでまた空を蹴るんだよ
積み上げるレガシー
誰にも知られない痛みの記憶
意志し、行動し、またいくつもの現在を重ねて1人の夜を噛み潰す
そしてまた過日の影を踏む
そしてただ次の今を掴む
因果の先で
本当に気に入ってます。
そこ以外では、過去張り上げるように歌っていたサビが優しく話しかけるような風合いになっていて、最後半音転調してから張って歌っているようになるのも結構胸が熱いです。
今、Vo.のたよりさんは仕事の都合で地方にいる為、レックも現地でディレクションが出来なかったりと不安な点が多かったのですがこのテイク聴いてそういうのは吹き飛びました。彼女をボーカルに立てて本当に正解だったと思っています。

・Tr.3 時を縫う魔法(Clockwork Youth)

この曲は唯一既にライブでは演奏している曲です。

EPの中ではだいぶ異質な楽曲だと思います。速いし。
そう言った面で中弛みの3曲目にしたくなかったのでピーキーな曲を書きたくて書きました。

ごく個人的にはバンド以外の音楽、特にアイドルミュージックへのリスペクトを込めて作りました。既にツイートしてくれている方もいらっしゃいましたが、自分はMaison Book GirlとCYNHNというアイドルもといアーティストが大好きで、自分がもしこれらのアーティストの曲が書けたのならというのをテーマに作成しました。

・作曲の話としては、先述で挙げたアーティストのオマージュ交えつつもEversolitude感は決して潰さないというのがテーマです。
アルペジオとフィンガースナップを合わせる箇所やリリースカットのピアノとキメの多用がこれ実在性高いな…と思いながら作っていました。

後、既にライブで演奏している曲でもあるのでそのまま出すのはつまらんなと思い中盤〜後半は大幅にテコ入れしてきます。元々なかったシャウトのパートや後半のピートやフレーズの変更など、バンドの中では間違いなく最もアグレッシブな楽曲になったと思います。テコ入れした中盤のツービートのバッキングのフレーズの改変や、最後アウトロなんかはボーカルのメロはそのままにコードを変えてライブで演奏したバージョンと差別化を図っています。↓昔のVer.との比較

あとは、ライブがあまり出来てない現状ではありますがフル尺がほぼTwitterサイズなので、ライブの際フルで撮影してもらいやすいだろうと意図もあり、短くて分かりやすいシンプルな曲として改めてリリース出来たな、と満足感があります。

・歌や歌詞に関しては、普段は実体験や自分の考えに基づいた歌詞を書くタイプなので逆に全部想像だけで書いてみようと思い自分がティーンの女の子だとしたらどのようなことを考えるかというのをテーマに書きました。ネガティブな性根なのは自分が女の子になったと仮定しても動かなかったのでもう諦めようと思います。

内面へ閉じ切った孤独感や、自分の弱さ初め色々なことを認められない自分自身への苛立ちを深夜、夜明け前が1番暗いと揶揄されることがあるように、先の見えなさをどうにか歌詞に落とし込んだつもりです。

この歌詞にも車窓、電車を想起できるフレーズが入っていて、このEPが曲の寄せ集めでなくコンセプトのもと作られた曲であると言うことがイメージできるのではないかと思っています。

・Tr.4 或いは幽き放物線(Faint Afterimages)

最後の曲です。
実はOVERWRITEを作っていた頃には違うタイトルで既にデモを起こしていた曲だったりします。
ようやくリリース出来ました。
自分の所感ではありますが、過去1番難しく、過去1番ネガティブな歌詞を書いた曲です。正直歌詞を書いていた時期のことはあまり思いだしたくないです。

EPのラストを飾るにふさわしいエンディングテーマ感あり、SLOWLYCOLLAPSEの先で俺が何をしたいのか少しだけ見せられた感もあり…何気今作で1番思い入れがある曲かもしれません。
テーマはストレートに自己嫌悪です。

・作曲に関してはキャッチーさとテクニカルさの両立を意識して作りました。
キャッチーなところはそのままに、自分の曲に対してのエゴ全開ではあるんですが前に出すフレーズは当然、前に出てこないフレーズやレイヤーで鳴っているギターひとつとっても全てに意図のあるテクさをかなり考えながら作っています。Bメロのギターとか、後半のポエトリーのバッキングとソロ回しのあたりはその極致行けた気がします。そんな感じで実地の演奏のことは度外視してとにかくピーキーな曲を、と思って書いていたのでリハで死ぬかと思いました。文句言わずに普通に完コピしてきたメンバー、キチガイ?

誰にも真似させないというのは言い過ぎかもしれないですけど、割と本気でそう思いながら作りました。

後は結構この曲自体結構挑発的な曲だったりしていて、中盤のリズム隊がチャグっぽいことをしている所では歪んだギターを一切鳴らしていなくて、昨今の意図のないギターのローチューニングへの煽りも正直含んでいたりします。
正直メタルコア作るのであれば負ける気はないので、いつでも受けて立つぜという気持ちも含んでいたりします。Orbit//ArclightというFoTのもっちーとやっているプロジェクトでは全然いまだにメタルコアやってるので、もしよかったらそちらもチェックしてみてください笑

・歌や詩については、前述で自己嫌悪がテーマと言いました。歌詞書くにあたって、自分が書いててしんどかったり気分が悪くなるくらいじゃないと嘘をさながら本当かのように世に出して、詐欺師とやってること一緒じゃないか自分は考えてしまうのですが、一方当の俺はそれをできているのか?と問われたら即答できないと思い、そんな自分が恥ずかしく思えて自分のよくないところとか包み隠さず歌詞にしてみようと思いました。

Eversolitudeは歌詞のテーマが仄暗いものが多いのですが、暗い歌詞や、そういったバイブスを孕んだものを書くのに、痛みを文字に、形に形容することに慣れ切ってしまっているのではないかという自分へのアンチテーゼと戒めを直球で書いたつもりです。

ヒリつく歌詞をもっと書ける文章力が本当に欲しいです。頑張ります。

以上、EP収録曲4曲のセルフライナーノーツでした!

あくまでこれらは俺個人の感情や所見なので、バンドのオフィシャルかと言えばそういうわけでもないのかもしれません。でもコンポーザーはこんなこと考えてんだな〜というのは提示できたのかなぁと…

今回は明確にコンセプトがあったり、結構テクニカルでアップテンポなものが多かったので次回以降もそこは強みになるとしても幅の広さは出したいなと思うので、バラードだったり逆にミニマルな曲も書きたいなと思っています。ギター使わないでパッド触りたいしやりたいことは結構たくさんあります。あとピアノ弾けるようになりたいです。これからも自分の過去最高を更新し続けるのを目標に曲書いていきます!Eversolitudeは勿論ですが、コンポーザーとしての俺にも良い感じに注目してもらえたら嬉しいです!

終わりに

こんな長い記事を最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございます。

今回この記事を書こうと考えたのも、Eversolitude自体が月に何本もライブできない状況にいるので、リリース以外でも発信を増やして人の目につくタイミングを増やしたいと思ったのと、やはり何かしら曲に関して話す機会が欲しかったのでもう自分で作ってしまえよと言うところで書き始めました。

最後に、SLOWLYCOLLAPSEを作るにあたって当時影響を受けた楽曲をプレイリストにまとめました。
この記事を読んで、プレイリスト聴いて、またSLOWLLYCOLLAPSEを聴いてもらえたら、コンポーザーとしてこの上ないくらいに嬉しいしこれから自分がどんな曲を作ってどんなバンドになっていきたいか皆さんも少し見えるんじゃないかと思います。

音源の感想など今回想定よりもたくさんいただけて本当に嬉しいです。
一度この場を借りてお礼をさせて欲しいです。そしてこれからも、是非Eversolitudeをよろしくお願いします!

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