穴口一輝さんボクシング死亡事故、脳外科医の分析と、新たに分かった「兆候」
「ボクシングは危険、競技を廃止すべき」
そんな意見がネット上をたくさん飛び交った。プロボクシングに「廃止論」が聞かれたのは、昨年12月の日本バンタム級タイトルマッチ後、日本ランカーの穴口一輝さん(真正ジム所属)が、右硬膜下血腫のために開頭手術を受け、2月2日に死去したからだ。
この訃報には、反射的に「ボクシングは競技の目的が、人の頭部にダメージを加えて脳震盪を起こして勝負を決めるのだから、廃止にすべき」とか、「3ラウンドでやればいい」という現実的ではない意見がネット上に溢れていたが、危険性でいえば、スポーツ中の事故死では、陸上競技や登山などの方が多数、競技人口に対する死亡率も上だ。危険だから廃止の理屈であれば、世の中に廃止すべきものはスポーツ以外でもたくさん出てきてしまうが、当然そんな思考停止みたいな話をしても意味がない。そこで、脳外科医の見解も聞いて、ボクシングという文化を前提にした事故防止策を見たいのだが、取材を進めると、リング上の激闘とは直接関係ない「兆候」があったことが分かったのだ。
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