式濱原理

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小説「for」注釈6 エリック・ドルフィー

エリック・ドルフィーはアメリカのジャズ・サックス奏者、作曲家。 マルチリード奏者でアルトサックス、バスクラリネット、フルートを主に作品に残している。フリージャズの文脈で語られることも多いし、それは相当魅力的な考察の角度だけれど、本筋はチャーリー・パーカーの音高(音高は調性音楽を決定する重要な要素)をさらに拡張し、高速化したとある手練れ中の手練れのジャズメンから聞いたことがあるように、ビバップを通過したストレート・アヘッドなジャズの文脈でも語ることが可能な稀有な人。 ジョン・コ

    • 小説「for」注釈7 ジョルジュ・リゲティ

      リゲティは現代音楽の作曲家。現代音楽の最大のアイコンの一人。ピアノ曲のエチュードの作品群は全てが美しく、演奏家に高度な技術を要求するが、その要求は極めて正当なものと作品を聴くとわかる。友人のピアニストにリサイタルの候補の曲を相談された時、リゲティはどうかな、と話した時にその難易度と美しさに言及していたのを思い出す。そのピアニストはナクソスからアルバムを発表したばかりだった。  個人的にはバルトークの弦楽四重奏から着想を得たリゲティの弦楽四重奏曲の1番(半音階を順に上昇する動機

      • 小説「for」 注釈5 ドビュッシー、サティ、オリヴィエ・メシアン

        ドビュッシーはフランスの作曲家で全音音階の導入などにより現代音楽の扉を開いたと称されることもある。その美しい作品群は聴けばそれとわかるものばかりだ。印象派とイメージが重なるのも多く語られる。自分の作品を演奏家に勝手に解釈されるのを極度に嫌ったとか、女性にとにかくモテたとか、文献は山ほどあるからそれらを目にすることも多いはず。フランス作曲家の最大のアイコン。  サティはそれに反して女性にこっぴどくやられた経験からずっと一人でその生涯を閉じたとか、、、ただサティの作品は後のジョン

        • 小説「for」 注釈4 ジョン・コルトレーン

          ジョン・コルトレーンはモダンジャズ史上の最重要テナーサクソフォン奏者。テナーサクソフォン奏者のレジェンドはソニー・ロリンズを初め幾人かの名前があがるが、その誰とも違う存在。その演奏と作曲作品は未だに多くのジャズメンの研究対象であり、giant steps 、countdownなどのコルトレーン・チェンジを始めとするジャズの機能和声構造の新たな視点の導入も含め、活動年度毎にその演奏の内実が変化、更新され続けているのが採譜すればわかる。当然のようにジャズのスタンダード作品も多く残

        小説「for」注釈6 エリック・ドルフィー

          小説「for」 注釈3 アルバート・アイラー

          アルバート・アイラーはアメリカのテナーサックス奏者。フリージャズの重要人物として必ずあげられるひとり。アルバム「spiritual unity」は最も有名で「ghost」は様々なアーティストによってとりあげられて今もその影響力を知ることが出来る。アルバムジャケットのアートワークも有名。作中にある中上健次の「破壊せよとアイラーは言った」の単行本の装丁もこのジャケットのアートワークがそのまま使われている。  ジョン・コルトレーン、エリック・ドルフィ、アルバート・アイラーが度々地元

          小説「for」 注釈3 アルバート・アイラー

          小説「for」 注釈2 ペンデレツキ他

          ペンデレツキ、ブーレーズ、ジョン・ケージ、シュトックハウゼン、クセナキス、ウェーベルン、シェーンベルク これらの作曲家は全て現代音楽に於ける結節点となる最重要作曲家。シェーンベルク発案の12音技法、その門下生のウェーベルン、ベルクはウィーン学派として知られている。ジョン・ケージは現代音楽最大のスター。また、ブーレーズは指揮者としても数々の功績を残してい、シュトックハウゼンと共にトータル・セリエリズム関連で語られることも多い、ペンデレツキはトーン・クラスターの導入でつとに有名

          小説「for」 注釈2 ペンデレツキ他

          小説「for」 注釈1 morton feldman

          Morton Feldmanはアメリカの作曲家。所謂ニューヨークスクールの作曲家の一人。John Cageとの邂逅も有名な話だ。図形楽譜の最初の話とか。演奏時間の長い作品も多い。楽譜を所有しているが、初期の図形楽譜、intermissionなどが収録されている。抑制された弱音の音数の少ない作品を多く作曲しているが、その全てが美しいという奇跡の作曲家。特にピアノ曲には心を奪われ続けている。「バニータ・マーカスのために」はその中でも特に美しい作品であると信じて疑わない。巨大なクラ

          小説「for」 注釈1 morton feldman

          小説「for」 誤植箇所 注釈

          こちらにアップしている小説「For」に於ける以下の サクソフォン奏者の譜読みについての言及箇所 バンドマスターがサクソフォニストだとしてもin E♭とかin B♭とかで皆が読むなんてことは100%ないんだ。in Cが絶対の基準になるから、当面サックスの参考者は買わないように。 (誤)サックスの参考者 (正)サックスの参考書 2週間ほどで小説「for」を書いてアップするのが締め切り直前でどのようにアップされているのか確認せずに今までいた。改行なども訳のわからない箇所で改

          小説「for」 誤植箇所 注釈

          「for」 短編小説

          あらすじに変えて 物語は音楽を軸に展開される。jazz 現代音楽 free improvisation 音楽に関する詳細な記述は人物の造形と物語を進める上での必要不可欠な記述である。 僕  ピアノを弾く女の子  音楽を介して二人は邂逅する。 その後女の子はフランスに行き 僕はサクソフォンを吹き始める。 物語はサドン・フィクション的恋愛小説と言えなくもないし、あるいはポストモダン文学の短編小説のフォーマットを擬態して進む。直接的ではないが、ある種のメディア・アート的

          「for」 短編小説