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経済知識

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記事一覧

そもそも経済#1「円安とまらず」

そもそも経済#1「円安とまらず」

日本経済新聞社を退職し、フリーランスとなって2カ月がたちました。おかげさまで、Twitterフォロワーは29万人、YouTube登録者は13万人を超えました。noteはTwitter, YouTubeとあわせた3本柱として、本格稼働します。経済になじみのなかった方にもわかりやすく、おもしろく――。資産形成に役立つ知識や経済時事教養を、できるかぎり中立な立場で伝えていきます。

「そもそも経済」スタ

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そもそも経済#2 「いい円安?悪い円安?」

そもそも経済#2 「いい円安?悪い円安?」

円安が止まりません。6/8には1㌦=134円台となり、連日で20年ぶりの円安記録を塗りかえました。最近は「悪い円安」という言葉が増えましたが、10数年前は「円安=日本にプラス」という捉え方が多くありました。いったいどうなっているのか、現状を整理します。

まず結論円安はプラスかマイナスか。答えは識者の間でもはっきりしていません。恩恵を受ける人もいれば、負担をこうむる人もいます。それらを全部足し合わ

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そもそも経済#3「黒田日銀」

そもそも経済#3「黒田日銀」

円安加速や値上げラッシュで、日銀への国民の関心が急に高まってきました。先日、黒田総裁が「家計は値上げを許容している」と発言し、批判が殺到。撤回に追い込まれました。また、世界の利上げラッシュに孤立するように日銀は金融緩和を続けています。最近の話題のポイントをザックリまとめます。

6/20(月)、けさの日本経済新聞・朝刊1面に世論調査(6/17-19調査)が載りました(https://www.nik

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そもそも経済#4 日銀短観って?

そもそも経済#4 日銀短観って?

けさ「日銀短観」が発表されました。日本経済新聞にいたころ、なんども記事を書きましたが、うまく伝えるのがなかなか難しい統計でもあります。そもそもどういう統計なのか、という点までサクッとみながら、今日の統計のポイントをグラフ多めで解説してみます。

短観は日銀が年4回発表する「企業短期経済観測調査」の略です。全国約1万社もの企業へのアンケート調査です。日銀の事務作業も膨大なようで、これほどの定例調査は

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そもそも経済#5 米雇用統計 なぜ重要?

そもそも経済#5 米雇用統計 なぜ重要?

久しぶりの「そもそも経済」です。なにげなく聞き流している経済ニュース。「そもそも何?」「そもそもなぜ?」を掘り下げることで、ニュースの意味がもっとわかることを目指したコーナーです。

今回は「米雇用統計 なぜ重要?」です。

雇用統計は世界で最も注目される経済指標といわれます。結果と市場予想との差を巡って、金融市場をしばしば揺らします。しかし、日欧では雇用データはそれほど注目を集めません。なぜ米雇

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そもそも経済#6 実質金利って? 株価・景気を左右

そもそも経済#6 実質金利って? 株価・景気を左右

最近、経済ニュースで「実質金利」という言葉が増えてきています。何度か聞いたことある方も「わかったようで、また忘れる」という方が多いのではないでしょうか?

このnoteでは、どこよりもわかりやすい説明となるよう奮闘しました。それでいて、株価や景気への影響もすんなり頭に入るようにしています。というわけで、始めます。

◆ まずは計算式この記事では何度かこの式を出しますので、なるべく頭に入れてください

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そもそも経済#7  VIX(恐怖指数)って?

そもそも経済#7 VIX(恐怖指数)って?

「そもそも経済」、少し久しぶりの配信です。最近、日々の市場の動きが派手なのでどうしても目先の解説が多くなりがちなのと、会社設立など庶務もかさんでいたためです。

きょうはマーケットニュースでしばしば耳にする「VIX」です。「恐怖指数(Fear Gauge)」の別名もあります。

簡単にいうと「株安の警戒度」ですが、「そもそもどういう仕組みなのか」「VIXが上がればなんなのか」といったあたりは曖昧な

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そもそも経済#8  G20会議って?

そもそも経済#8 G20会議って?

ワシントンでG20財務大臣・中央銀行総裁会議が開かれています(米時間10/12-13)。テーマは多岐にわたりますが、今回の注目の1つは為替変動でしょう。

とはいえ、「G20ってよく聞くけど、そもそもなに?」「金融市場に影響あるの?」という素朴な疑問もあろうかと思います。きょうはG20会議の役割をコンパクトに解説します。

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【金利入門#1】まず金利って?

【金利入門#1】まず金利って?

「金利って、わかりそうで、よくわからない」。そんな方、多いのではないでしょうか。それでいて、ニュースでは「FRBが異例の利上げ」「金利差で円安」「金利上昇で株安」と金利の話が相次ぎます。あいまいなまま聞き流していると、頭の整理が追い付かなくなります。

というわけで、「金利入門」の連載を始めます。誰にでもわかるように、でもいま抑えておくべきポイントをしっかりつかめる説明します。週1-2回のペースで

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【金利入門#2】株価と金利の関係㊤

【金利入門#2】株価と金利の関係㊤

おとといスタートの「金利入門」。有料記事にもかかわらず1万以上のアクセスがありました。「大事そうだけど、やっぱりとっつきにくい」という方が多いようで、解説しがいのあるテーマだと再認識しました。

前回、金利は「経済の体温」と説明しました。ほどよく温まっているのが健康的だけれども、高けりゃいいというものでもない。そして、「金利と景気」の関係は単純ではないという話でした。

今回のテーマはそこから延長

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【金利入門#3】株価と金利の関係㊥

【金利入門#3】株価と金利の関係㊥

5日前に流した「株価と金利の関係㊤」(下記リンク)、とても好評いただきました。その翌日、パウエルFRB議長講演@ジャクソンホールで、利上げ警戒が再び強まり、株価が急落しました。世の中の関心としてもちょうどいいタイミングで、直近の動きにも触れながら説明していきます。

なにかを学ぶとき、いきなり分厚い本を読むよりも、最近の話題に関連付けて少しずつ知見を積み重ねていくほうがいいように感じています。その

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【金利入門#4】金利と株価の関係㊦

【金利入門#4】金利と株価の関係㊦

為替の乱高下などがあって、配信が遅れていました「金利と株価の関係㊦」です。この数日も「金利上昇 & 株安」が目立っているので、まずはチャートを。

「金利と株価㊤」では景気と金利の関係を解きほぐし、「㊥」では債券投資か株式投資か?という観点で、株価と金利の関係を整理しました。

㊦では金利と密接に関連する「マネーの量」に焦点を当てます。

「ジャブジャブのマネーが株式市場に流入」といった表現を耳に

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FRB入門 #1

FRB入門 #1

アメリカの中央銀行、FRB。経済や株式市場の報道で連日あらわれるキーワードです。しかし、中央銀行って、小難しい世界。「なんとなくわかっているけど、実はよくわからない」「いや、なんとなくもわかっていない」という方も多いのではないかと思います。このnoteで、だれでも数分で読める解説を連載します。FRBのキホンをおさえ、ニュースの意味がスッと理解できることを目指します。

今回はまず「中央銀行って?」

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FRB入門 #2  利上げと国債金利

FRB入門 #2 利上げと国債金利

前回、中央銀行の「利上げ」は「銀行間の短期金利の引き上げ」と伝えました。一方、最近の報道では「米国債金利」「米長期金利」という言葉も報道でよく目にすると思います。今回のテーマは短期金利と長期金利の関係。少し複雑ですが、ここを理解すると景気や株価との関係も一気にわかりやすくなります。

国債金利と銀行間金利カードローンや住宅ローンに返済期日があるように国債も3カ月債や30年債など様々な種類があります

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