単機能は美しい ラジオにしかならないラジオ

僕はラジオにしかならないラジオを2台持っている。

そのうちの1台はSONYのICF-P36というもの。防災向けに使われるシンプルラジオ。ベーシックな作りで本当に健気。このラジオはYouTubeで紹介されていたのを見て購入した。その方はかつて実際に被災した経験があり、どのようなラジオがあるとありがたかったのかを考え、このラジオを紹介していた。胸ポケットに入るような名刺サイズのラジオもあるが、そういうのは役に立たないそうだ。避難所では数人が固まってラジオを聴くことになるのである程度の大きさがあることはむしろ都合がいい。単3乾電池が使えて消費電流も小さい方がよい。

我が家は電波状況がとても悪くて、一生懸命聞かせてくれているんだろうなあとさえ思う。中学校の授業でトランジスタラジオを作った。トランジスタが7つ使われているものだったと記憶している。中学校の教材として作ったものだから構造は本当に標準的で特筆するものはほとんど無い。スピーカーを鳴らして、高周波増幅回路という回路を付け足して少し性能を上げただけのものである。

もう一つは、TECSUNという中国のメーカーのPL-660。BCLラジオと呼ばれるアマチュア無線家のサブ機に使えるようなもの。これは高機能。長波(中波のラジオ放送帯より低い周波数)から短波、超短波(FM放送や航空無線の周波数帯など)まで聴くことが出来る。周波数はデジタル表示でアバウトさが無い。そこは高性能機たるゆえんだと思う。かつては日本にもこうしたラジオがたくさん生産されていた。多分、こうしたラジオの需要が減ったことと、日本で生産すると採算も合わないのだと思う。

ラジオにしかならないという意味では上記のシンプルラジオとなにも変わらない。「突き詰めている=極めている」美しさがなんとも言えずに心地よい。アンテナをきちんと整備すると海外からの放送やアマチュア無線の電波もしっかり聞こえる。なかなかである。

ラジオに何かをくっつけると、CDラジオなどというカテゴリーの製品になる。かつてはラジカセと呼ばれたものがあった。これはかなり高機能な製品でゴテゴテといろいろと機能が満載になったもの多かった。こうしたラジオはラジオが壊れると一緒についているCDやカセットデッキの意味も半減してしまう。便利だけれど、美しくは無いと思うのは私だけだろうか?

単機能はただただ、「その目的に使われるため」だけの機能しか無い。そして、何かが壊れたらそこだけで終わる。そこが徹底していてすがすがしい。

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