電車内の広告には日本の魅力が溢れていると思う。
最近、Twitterで電車広告に関するつぶやきが話題に。
この投稿への反応は様々でしたが、電車内の広告に対して批判的なコメントも見られています。
電車広告を扱う人間の一人として、批判的な目線は寂しく感じるものの、私自身は日本に住んでいないので電車内の広告を見ていないですし、過去には美術館のように電車を活用してみませんか。という提案をした事もあるので、このつぶやきを一つの意見として理解ができます。
日本を象徴する文化としての電車内広告
一方で、世界各国の電車内広告について知る中で、日本の電車内広告って、そこにあるだけで既に日本を象徴する文化として機能しているのではないかと感じるようになりました。
なぜそう思うのか?
まずは、世界の地下鉄車内の様子をご覧ください。
ロンドン
ソウル
ニューヨーク
各国の地下鉄にも広告はありますが、東京の写真と比べるとその差がわかると思います。
見てわかる通りですが、日本の場合は窓、ドアの上、座席の上などスペースさえあれば、広告枠化していますし、画面から映像も流れてきます。そして何より天井から吊られる中づり広告がかなり目立ちます。
日本の場合、広告として売れていなくても、鉄道会社の自社の広告が掲出されていることもあるので、何も掲出されていない。というケースは非常に珍しいと言えます。
なぜこんなに日本は電車内広告が多いのか
インターネット広告の発展に伴い、電車内広告の売り上げは、10年前から比べると少し減っているものの、いまだに多くの広告キャンペーンに使用されており、需要のある状態は続いています。
イギリスに来た当初、日本ではまだまだ車内広告の需要があるはずなのに、なぜ日本だけこんなにも電車内の広告が多いのだろう。スペースはあるのだから、車内広告を増やせばいいのになー。と考えて居ました。
なぜだろうと考えていた中で、海外で車内広告が広がっていかない理由を、この動画が簡潔に説明してくれました。
職人の技が見せる日本人の緻密さ
生で見たことがある方もいるかも知れませんが、日本の電車では終点に電車が到着し、出発するまでの数分間で、作業員の方々が手作業で広告の入れ替えを行います。
動画内では全てまとめて貼りかえれば良い感じになっていますが、実際には貼られているポスターごとにキャンペーン期間(開始日と終了日)が異なるので、入れ替えるものと入れ替えてはいけないものが細かく規定されています。
これは、中づり広告だけではなく、他のまど上のポスターやステッカーも同様です。
その為、職人(作業員)さんは事前に車内のどの場所の広告を何と交換すべきか把握し、限られた時間の中で迅速に貼り換えを行っていきます。
これは、日本人の細やかな気配りと集中力があるからこそできる仕事だと思っています。
イギリス人とオーストラリア人の同僚にこの動画を見せた時、案の定とても驚いていたのですが、柔軟な対応が必要ならデジタル化されているもの(車内の映像媒体など)を使用したほうがミスもないし効率がよいのでは?という疑問をぶつけられました。
まさに彼らの指摘の通りで、こうした手作業に頼った電車内広告は、もしかすると将来的にはデジタル化されているものに取って代わられて、見られなくなってしまうかもしれません。
ただ、こうした細かな作業が日本の電車広告の種類の幅を広げ、売上を支えてきたことは間違いありません。
日本人らしさを伝える場所として
ここで冒頭のtwitterに戻りますが、電車広告の内容は、勿論議論されるべきことだと思っていますが、そこにあるだけで”日本”の素晴らしさを感じさせてくれる芸術作品であり、日本人の文化や精神性を表現するのではないか。
と、海外に来た事で感じるようになりました。
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