見出し画像

20年前の話、「緑家園」の生態游(エコツアー)に参加して by 村松弘一(GEN世話人)

======================
いまから20年前、私は「緑家園」という中国人NGOのエコツアーに参加しました。山西・四川、そして内モンゴル、懐かしい思い出です。今の「緑家園」の活動を調べてみると、なんとGENと同じ蔚県で活動しているとのこと。今後のGENの活動のヒントがあるかもしれません。
======================

 今回はちょっと昔のことを振り返ります。2002年のことですから、もう、20年も前のことになります。私は国際交流基金の若手研究者派遣事業で陝西省西安市に滞在していました。「中国黄土高原の沙漠化と森林の変遷」というテーマでの派遣でしたので、専門の歴史研究はもちろんのこと、環境NGOの活動にも興味をもっていました。結構自由な時間を過ごせたので、緑化ツアーや講演会に毎月のように参加していました。8月にはGENの大同ツアーに参加しましたし、12月には北京まで夜行列車に乗って高見さんの講演を聞きに行ったこともありました。

 この中国滞在中、特に印象に残っているのが、中国人が組織した環境NGO「緑家園」のエコツアー(生態游)です。「緑家園」は汪永晨さんという女性ジャーナリストが1996年に立ち上げた団体で、私はこの年、3回のツアーに参加しました。まず、最初の4月には山西省と陝西省の間、黄河中流の壺口瀑布という巨大な滝の近くの黄河河岸の岩盤や浸食谷の急斜面で植林活動をしました。果たして、その時植えた松は、現在、生育しているでしょうか。植林活動の前後には、臨汾の伝説の帝王・堯の廟や軍閥・閻錫山が拠点とした克難坡での宿泊、そしてなんと言っても大迫力の壺口瀑布、黄河の歴史と自然も満喫できるツアーでした。


2回目、5月のツアーは南方の四川省徳陽市での植林。ここでは、イチョウの木を植えました。夕食にはイチョウの葉で作った薬用酒(?)が振る舞われ、どうも製薬会社がスポンサーのツアーだったようです。もしかして、植えたイチョウは薬の原材料になったかもしれません。ツアーでは、のちに四川大地震で被害にあった臥龍パンダ保護センターなども訪問しました。そして、3回目は7月の内モンゴルの草原観鳥ツアーでした。赤峰市の克什克騰(クシクテン)の草原で遊牧民のパオに宿泊し、バードウォッチングをするというものです。毎年同じ場所で鳥の数と種類を定点観測して環境の変化を調査するとのことでした。この時は、遼王朝の中京遺跡やホルチン沙地を見学。「緑家園」のツアー参加者には北京の大学教授や弁護士のほか、街中の自転車屋さんもいて、環境問題への意識の高い幅広い市民が集まっていたように思います。どのツアーも懐かしい思い出です。


 さて、この「緑家園」は現在も活動をしているのでしょうか。久しぶりにネットで検索をしてみました。すると、今でもしっかりと活動していることがわかります。しかも、驚いたことに、最近の活動として、蔚県涌泉村で環境保全を子どもたちに教えるサマーキャンプの活動が報告されていました。ご存知の通り、蔚県はGENの現在の活動拠点ですね。もしかすると、現地でかかわっている人が重なっているかもしれません。エコツアーに参加してから、20年後、日中のNGOがひとつの場所で活動をしていると知って、ちょっと、うれしい気持ちになりました。蔚県でコラボレーションすることもできるかもしれませんね。では、また。
緑家園志願者HP  http://chinagev.org/p/dashiji.html


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?