買い物で出来る生物多様性の保全 by 小倉亜紗美(GEN世話人、呉工業高等専門学校准教授)
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5/14は母の日です。母の日のプレゼントを選びながら生物多様性について考えてみませんか。
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呉工業高等専門学校の小倉亜紗美です。
今回は買い物で出来る生物多様性の保全について考えてみたいと思います。
4~6月は環境に関する記念日が多くある月です。
4月22日は「アースデー(地球の日)」、5月第1土曜日は「環境の日」、5月22日は国連が定めた「国際生物多様性の日」、6月第1土曜日は「環境の日」で6月は「環境月間」です。
そして毎年5月第2土曜日は「世界フェアトレード・デー」という、世界中でフェアトレードをアピールする日です(5月は「世界フェアトレード月間」)。この国際フェアトレード・デー、実は母の日(毎年5月第2日曜日)の前日なので、今年の母の日プレゼントにはフェアトレード商品も候補に入れてみるのも良いかもしれません。
ところで、日本でフェアトレードの啓発活動などを進めているフェアトレードジャパン(https://www.fairtrade-jp.org/)は、 5月の1カ月間、合計200万アクションを目標とした(フェアトレード商品の購入、#fairtrade2023をつけてSNS投稿、イベント参加などをカウント)「ミリオンアクションキャンペーン」(https://fairtrade-campaign.com/)を実施するそうです。今年で3年目の企画で、今年は企業・団体からの協賛金を原資として1アクションにつき1円を開発途上国の生産者へ寄付する取り組みが行われるそうです。そして、このキャンペーンの今年のテーマは “環境”と“ギフト”だそうです。
フェアトレードは「人権に配慮したもの」というイメージが強いかもしれませんが、国際フェアトレード基準には、経済的な基準(フェアトレード最低価格の保証、フェアトレード・プレミアムの支払い、長期的な取引の促進、必要に応じた前払いの保証などなど)だけでなく、社会的基準(安全な労働環境、民主的な運営、差別の禁止、児童労働・強制労働の禁止など)、そして環境的基準(農薬・薬品の使用削減と適正使用、有機栽培の奨励、土壌・水源・生物多様性の保全、遺伝子組み換え品の禁止など)も定められています。
そのため、フェアトレード商品を購入することは、土壌・水源・生物多様性の保全を進めることにも繋がります。生物多様性についてはすでに一度紹介し、まずは身近な自然を知ることが大切だとお伝えしましたが、次の一歩として、生物多様性の保全につながる買い物をするということも、私たち市民が出来ることの一つかもしれません。
私が運営員を務める西条・山と水の環境機構(http://www.kamon.ne.jp/~yamamizu/)では、広島の西条の酒や米(賀茂八十八)を購入することで、売り上げの一部が山の保全に回る仕組みになっていますので、そういった農産物の購入なども保全につながる買い物の一つになると思います。
フェアトレードのことを2回連続でお伝えしましたが、実は去年出版された「産官学民コラボレーションによる環境創出」(2022)(https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784780718416)という本の第3部「産官学民連携による健全な消費社会の形成」で、4人の著者がフェアトレードについて説明しており、私もその一人です。
この本のタイトルに「産官学民コラボレーション」とあるように、私たちの住む地球環境を守っていくためには、産官学民全ての協力が必要です。それを進めるために立てられた目標がSDGs(持続可能な開発目標)で、SDGsのゴール14「海の豊かさを守ろう」および15「陸の豊かさも守ろう」にも、生物多様性やその価値の持続的な利用について触れられています。産官学民それぞれが、社会における役割を認識し行動に移していくことが、生物多様性の保全にとっても重要なことだと思います。
まずは今年の母の日プレゼントを選びながら、どんな社会を創っていきたいか考えてみませんか。