黄土高原史話<15>原点は心の中で懐くもの by 谷口義介
十数年前、詩人・評論家の谷川雁氏と一夕、不知火町の料理旅館で飲んだおり、氏の著作『原点が存在する』が話題に。そもそも<原点>という言葉を書名で使ったのは氏が最初で、以後「何々の原点」という言い方が広まった由。『二十歳の原点』なるベストセラーもありましたね。
ワタクシ的なことですが、中国史の原点といえば、黄土高原のほぼ真ん中、陘水(けいすい)の中流、陝西省北部の彬(ひん)県、以前は邠(ひん)と書かれました。もっと古くは豳(ひん)。
『史記』周本紀によると、周族が興ったのが