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本の選び方とKindle Unlimited

Kindle Unlimitedに加入した。

Kindle Unlimitedというのは、amazonが提供する電子書籍の定額読み放題サービスで、小説から実用書、コミックや雑誌まで豊富に取り揃えている。料金は月額980円に設定されている。

読み放題の対象の中には、光文社古典新訳文庫や、NHK出版新書などが出版する魅力的な本が多く含まれている。

サービスの利用を開始してまだそんなに時間は経っていないが、自分が今後どうやって本を選んでいくべきか悩む部分があったため、考えを整理するために記事を書いてみる。

読書のハードルが下がる

Kindle Unlimitedが提供する本を読みはじめるハードルは、圧倒的に低い。読みたい本を検索して「読み放題で読む」ボタンをクリックするだけだ。本のデータのダウンロードは、ものの数十秒ですむ。ネット環境さえあれば、いつであっても、どこであっても、すぐに本を読み始めることができる。

定額読み放題のサービスだから、何冊読んでも、追加で料金を払う必要はない。

Kindle Unlimitedに含まれない本を読むハードルが相対的に上がる

Kindle Unlimitedは、すごく安価で、利便性の高いサービスだと思う。それは否定できない。サービスにどっぷりつかって、提供される本だけを読むのも、それはそれで快適だろう。ただ、心配していることもある。それは、その利便性ゆえに、Kindle Unlimitedに含まれない本を読むハードルが相対的に上がると感じてしまうことだ。

具体的に書いてみる。

もし間違って、Kindle Unlimitedに含まれている本を書店で買ってしまった場合、損をした気分になる。Kindle Unlimitedで読めば、毎月の定額料金以上の支払いは必要ないからだ。だから、何か本を買おうと考えたときには、まず、その本がKindle Unlimitedに含まれているかどうか、検索して確認することになる。

検索して、その本がKindle Unlimitedの対象外だと分かったら、書店で買うなり図書館で借りるなり、これまで通りの方法で本を入手すればいい。

最近読みたくなった本があり、その時にもまず、その本がKindle Unlimitedの対象か確認した。その本は、対象外だった。この瞬間「Kindleで読めないのか、じゃあ入手が少し面倒だな」と感じてしまった。書店や図書館が遠くなったわけでも、本が値上がりしたわけでもないのに。無意識にKindle Unlimitedの安さ、便利さと比較をしてしまい、従来の本の入手方法が相対的にまどろっこしいものに感じてしまった。

杞憂かもしれないが、この「Kindle Unlimited対象外の本を読むハードルが相対的に上がる」現象が進むと、そのうち自分が読む本は、すべてamazonにおすすめされたものだけになってしまうんじゃないか、と不安になった。そう思ってしまうくらい、Kindle Unlimitedは利便性が高い。

自分が読む本をamazonに規定される

なぜ、amazonに選書を任せることが不安なのだろう。

これまでも、自分が読む本を、100%自分の意思で選んできたとはいえない。「読書家の方におすすめされたから」とか「お気に入りの書店で推されていたから」とか、そんな理由で選んで読んだ本はたくさんある。自分が本を選ぶ時には、大なり小なり他人の意思が入っている。

その「他人の意思」として、amazonを採用することに抵抗があるのは、きっと自分がそんなにamazonを信用していないからだろう。少なくても、これまでにお会いした読書の方や、長く通っている書店に比べたら、amazonへの信頼度は低いと思う。

最近にも、amazonへの不信感を増す出来事があった。

米AmazonがKindle版の一部のラノベ、漫画を予告なしに発売停止するという出来事があった。発売停止の理由を問われたamazonは「プラットフォーム上で適切と考えられるものを決定する権利を留保している」とだけ回答したそうだ。米国と日本の温度差なのかもしれないが、少なくとも自分は、今回amazonが発売停止した本は、発売停止するほど悪質な本ではないと感じた。

米Amazonで複数ラノベ作品が販売停止 出版社が抗議、署名運動も
https://kai-you.net/article/76553

amazonだって一つの書店だから、売る本・売らない本を選んでも構わないだろうという意見もあるかもしれない。ただ、amazonくらい独占力のあるプラットフォーム企業が「この本は売りません」と意思決定することは、ほとんど国家権力による検閲と似たインパクトを持つと思う。

こういった部分も含めて考えると、自分はまだamazonを全面的に信頼する気にはなれない。

まとめ

一部、amazonの悪口のような文章になってしまったが、amazonの不買運動みたいなことをするつもりはないし、自分が必要とする範囲でamazonは活用したいと思っている。

本の選び方、本の買い方について、まだ自分のなかで確立しているものはないけれど、こうした新しいサービスを活用しはじめたタイミングで、そのたびに考え方を整理していきたい。



最後までお読み頂きありがとうございました!