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転職したことで気づいた、前職の前時代的な慣習について

数年前まで自分が勤めていた前職は、良くも悪くも昭和の匂いを色濃く残した職場だった。良く言えば古き良き企業、悪く言えば旧態依然とした企業。

その後、転職したことで「前職のあの文化はちょっと前時代的だったんじゃないか?」と考えられるようになったことがいくつかあったので、記憶の残っているうちに書いておく。

前職での慣習たち

断片的だけれど書いていく。

・非正規雇用の女性たち

お茶くみとか電話の取次とかの雑務をやる有期雇用の社員が一定数いた。女性が9割で、「正社員男性のお嫁さん候補」という意味合いもあると聞いたときには呆れた。女性は結婚まで腰掛けで働くだけ、って前提じゃないと出てこない発想だ。

しかも人事の人に日給を聞いたらほとんど最低賃金レベルで、ワープア製造工場じゃねえかと思った記憶がある。昔だったら、一家を養える男性と結婚すればそれで解決したのかもしれないけど、男性でも収入が上がりにくく、社会保障費の負担が増えまくっている現代にはそぐわない。

余談だけど、この社員さんたちは驚くほど社内の人間関係に詳しかった。社内の誰と誰は反りが合わないだとか、あとは「課長の息子はどこの大学を出てどこの企業に入って、結婚してて」みたいな「なんでそんなことまで知ってる??」と思うことまで知っていた。おそらく仕事がそこまで多忙じゃないので、世間話での情報収集を精力的に行っていたのだろう。

・FAXがバリバリ現役

FAXめちゃくちゃ使ったなぁ…メールでもなんでも結局は紙に印刷してファイリング&回覧する文化だったため、FAXは印刷のひと手間を減らしてくれるツールという位置づけだった。現職では紙の書類を触ることすらほとんどないので、今思い返すと前職はペーパーレス化とは程遠い職場だったな。

FAXの番号を手入力して書類を送信するなんて、誤送信の温床みたいな業務フローだと今なら思える。

・秘書システム

主に20代の女性社員が選ばれて、部長などのお偉いさんの部屋の前にスタンバって、スケジュール管理や訪問客の取次など諸々を担当していた。最近になってこのシステムは、女性社員の不評を買って廃止されたらしい。

・新聞を読む仕事

若手社員が朝、始業時間前に新聞を読んで、業務に関係する記事をコピー・切り抜いて回覧する仕事があった。複数の紙面を読むのだけれど、どう見ても不要なスポーツ新聞があって「これは無駄だろう」と感じた記憶がある。

この仕事は始業開始の数十分前にはじめるわけなんだけど、勤務時間には含まれておらず「サービス残業じゃないか」という議論が起こって、いつからか始業後に行われるようになった。

・先輩が後輩におごるルール

先輩社員と後輩社員がいっしょに飯にいくとほぼ必ずおごりになった。また飲み会では全額おごりにならずとも、支払いに傾斜をつけて、年長者は多く、若手は少なく払う仕組みになっていた。

このおごりが発生する背景には、年功序列に基づいた昇給制度があるんじゃないかと考える。「年上の社員は年下の社員より稼いでいる」という揺るぎない前提があったからこそ出来あがった慣習である。若手社員はその恩恵に浴す代わりに、先輩社員に敬意を払い、自分が歳を重ねた暁には後輩におごって慣習を維持する、という暗黙のルールがあった。

おごりが発生しなかった例外として、定年退職後に再雇用された先輩社員と飯に行った時は割り勘だった。再雇用社員は若手社員と同程度まで収入が減るため、前述した前提(先輩の収入>後輩の収入)が機能しないためにおごりにならなかったのではないかと思う。

・ゴルフの会で臨時収入(仮)

社員のうち、希望者たちが会費を集めて、休日に皆でゴルフに行く。これだけなら現代の会社でも良くある話である。

特筆すべきは、ゴルフ会の会費が給料天引きになっていて、会費をすべては使わずに年末に一部返却する仕組みになっていたこと。なぜそんなしち面倒臭いことをするかというと、いわゆる「小遣い制」のせいで手元に現金が少ない男性社員のへそくりにするためだそうだ。給料として振り込まれるぶんは嫁さんに押さえられてしまうため、そんなこせこせした工夫をしていると聞いたときは驚き呆れた。

そもそも小遣い制そのものが、男性だけが働き、女性が家事・家計を一括管理する時代の名残り・残骸でしかないと思っている。男性が稼いだ金を、自分自身で使えないというのもちょっと理解しがたい…家計の一括管理に合理性があるのは理解できるけれど。

まとめ

こうして書いてみることで、前職での暗黙の慣習たちが可視化できたように思う。年功序列のフルタイム男性社員と、労働力としては期待されない女性社員を前提にした謎慣習が多いな…共働きが増えてきた現代から見ると前時代的だと感じてしまう。このへんは、日本の雇用慣行に関する本を読んだおかげで解像度が上がったと感じる。

転職を全肯定するわけじゃないけど、転職は前の職場を相対化して見る視点を与えてくれるな。また思い出したことがあったら記事に書きます。

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