同人誌を国立国会図書館に納本した話
経緯
先日、お世話になっている「彩ふ読書会」で、創作小説や読書にまつわるコラムを集めた同人誌を作成しました。自分もコラムをひとつ寄稿させてもらい、完成した同人誌は文学フリマ東京にて頒布しています。
本が作成されたタイミングで国立国会図書館の「納本制度」を思い出し、前からやってみたかった納本をいっちょやってみることに。
納本制度 is 何
日本で作成された本は、文化の保存のため、基本的に国会図書館に納本する義務があります。
納本制度の概要
https://www.ndl.go.jp/jp/collect/deposit/outline.html
パンフレット(納本制度をご存じですか?)(PDF: 770KB)
https://www.ndl.go.jp/jp/collect/deposit/pdf/deposit_about.pdf
同人誌も、前例を調べたところ100冊以上作成され、一般に頒布されたものであれば対象となります。今回の同人誌はその条件に該当するため、納本の対象になると判断しました。
納本された本は、国会図書館の書庫で安全に保管されます。一度見学したことがありますが、本が傷まないように温度や湿度、照明まできっちり調整された最強の空間でしたね。制度上は、日本国内で出版されたあらゆる本が国会図書館で保存されていることになります。
昨年度の数字では、国会図書館は1年間に約70万冊の資料を受け入れ、蔵書数は4000万点を超えるそうです。凄まじい。
How to 納本
個人が納本する場合、方法は2種類あります。
①寄贈
無料で本を寄贈します。希望すれば、後述する受領証を受け取ることができます。
②代償金を受け取って納本
必要な手続きを踏むことで、本の定価の半額+送料程度の代金を受け取ることができます。
今回はそもそも営利目的ではありませんし、代償金を受け取ると手続きが煩雑になることもあり、①の寄贈を選択しました。
余談ですが、②の代償金制度を悪用して、意味のない文字列を並べただけの本を大量に作成して納本し、多額の代償金をせしめようとした不逞の輩がニュースになったことがありましたね。
Let's 納本
納本は、国会図書館に直接持ち込む方法と郵送する方法があります。今回は同人誌一冊で送料も大してかからなかったので、同人誌を送り状と一緒に同封して、郵送しました。
送り状はこんな風に作りました。
after 納本
郵送してから約2週間後、国会図書館から受領証が郵送されてきました。無事に納本が完了し、今回寄贈した本は「国民共有の文化的資産として永く保存」されるそうです。後世の研究者が2020年頃の読書文化を調べるときに、今回の同人誌が参照される可能性が微粒子レベルで存在する…?
これで、国会図書館に行けば同人誌が閲覧できるようになりました。いちおう、自分の手元にも一冊残してあるのですが、最悪紛失した場合でも国会図書館がストックしておいてくれる安心感があります。
また約1ヶ月後には、国会図書館のデータベースで検索が可能になるそうです。ちなみに今回作成した同人誌は「彩宴」というタイトルです。国会図書館のデータベースで「彩宴」と入力して検索すると、同じワードを含む本が国内にすでに3冊あることが分かりました。うーむ、3冊目が異彩を放っている…。
まとめ
同人誌を納本した経験についてまとめました。
正直言って、今回の納本は自己満足の域を出ないものではありますが、この手の経験は「とりあえず一度やってみる」ことが大事だと思っています。実際に納本をやってみて、制度を深く理解できましたし、納本した同人誌への愛着も増したので、やって良かったと思っています。
おまけ 国会図書館への送り状テンプレ
需要があるかわかりませんが、郵送で納本する場合に使用する送り状のテンプレを貼っておきます。自由にご利用ください。
※多種多量の冊子を寄贈する場合、このテンプレをつけていきなり郵送するのではなく、あらかじめ冊子のリストを国会図書館に送付し、事前に確認してもらう必要があります。詳しくは以下ページの「寄贈に際してのお願い」をご参照ください。
寄贈に際してのお願い
https://www.ndl.go.jp/jp/collect/collection/index.html
参考にしたサイト
同人誌の納本について、以下のサイトを参考にさせてもらいました。先人たちに感謝です。
(2021-01-23追記)
国会図書館でのデータ登録作業が終わったようで、国会図書館のオンラインデータベースに同人誌と著者の情報が登録されていました。
これで納本の一連の流れは完了ですね。
最後までお読み頂きありがとうございました!