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ビットコインとリップルと

 小田玄紀です

 ビットコインの価格が再び上昇傾向にあります。

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 12月25日に日本円建てで1ビットコインが250万円を超えて過去最高値を更新したと思っていたところ、本日もさらに急騰して290万円を超えました。年内にも300万円を超える可能性も出てきました。

 年末年始には取引量も減少するため、上昇トレンド・下降トレンド共にトレンドに従うことが高いためとは言われていますが、それにしても非常に高いペースで上昇が進んでいます。

 今後のビットコインの傾向などについては↑に考察をまとめてありますので、ここに詳細は譲りたいと思いますが、今回の価格上昇の要因そしてこれからどうなるかについては「This is Bitcoin」としか言えません。それらしい理由を並べることは簡単です。しかし、そうした論理的な理由を超えるものが存在していることが事実です。

 ただし、まだ日本においては2017-2018年に中心的存在だった個人投資家は暗号資産(仮想通貨)投資に戻ってきていません。そのため、暗号資産(仮想通貨)市場が面白くなってくるのは、2021年に個人投資家が戻ってきて以降からだということは間違いないと思います。

 さて、このようなビットコインとは逆の動きを見せるのがリップルです。

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 リップル社が米国SECより訴えられたことで一時期70円を超えていたリップルは20円台にまで急落しました。

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 その後、12月25日に一時的に38円台にまで回復しましたが、再び現在は30円台を下回る価格で取引がされています。

 リップル社に対する訴訟の経緯や詳細については既にいくつかのメディアがまとめているので、そちらを参照頂いた方が分かりやすいので割愛します。

 多くの論者がリップルについては否定的な見方をしています。また、国内外の暗号資産交換業者(仮想通貨交換業者)においてはリップルの取扱を中止するところも出てきています(ビットポイントはリップルの取扱を継続しています)。

 これからリップルがどう取扱われていくのか、これは米SECの訴訟状況が大きく影響を与えることになることは間違いないですが、日本におけるリップルの立ち位置を考察してみます。

 ↑から一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)が統計した国内における暗号資産(仮想通貨)の取引状況がまとめられた統計情報が入手できます。

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 こちらを見て頂けると分かりますが、2020年10月末時点においてリップルはビットコインに次いで2番目に日本人が保有している暗号資産であり、811億円相当の財産価値となっています(ビットコインは2103億円)。

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 また、現物出来高としても国内3位で月間302億円程度の取引がされている人気暗号資産となっています。

 今回、米国SECとしてはリップルが暗号資産(仮想通貨)ではなく証券に該当する可能性があるとして提訴をしていますが、日本においては暗号資産として認められてきたことは事実です。既に811億円相当の資産価値があることから、現時点において短期的に日本でリップルの取引が『積極的に禁止』されることは利用者保護の観点からも無いと考えられます。

 ここで『積極的に禁止』という表現をしましたが、取扱うことが禁止されなかったとしても、取扱いが事実上出来なくなるような自体になれば話は別です。

 たとえば、米国系の暗号資産交換業者においてはリップルの価格配信および取扱を停止したところもあります。我々、暗号資産交換業者(仮想通貨交換業者)は国内外の暗号資産交換業者(カバー先といいます)などとシステムを接続して、顧客取引で買い超しまたは売り越しになった場合にはカバー先での調達を行っています。

 仮に米国系企業しかカバー先が無い場合には、リップルの安定的な価格提供および取引が出来なくなる可能性があります。そのため、日本においてもいくつかの暗号資産交換業者がリップルの取引を停止することとなっています。

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 なお、こちらはリップルの世界出来高の上位取引所ランキングなのですが、現状では大半が非アメリカ系であり、上位取引所においては1日あたり1000億円近い出来高が形成されています。

 以上の観点から、少なくてもリップルに対する訴訟判決が出るまでは、リップルが国内で取引される可能性は残っていることが考察されます。

 しかし、日本においてリップルが暗号資産として取扱うことが認められているとはいえ、取引所としても価格が乱高下するリスクや将来的に価格配信や取引に影響が与えるリスクがあることは顧客保護の観点からも発信をしていくべきですし、ましてや特別な優遇契約をしている場合については、これは会社法上の開示原則からしても公表をしていくべきというところについては求められてくると思います。

 ビットコインとリップルがこれからどうなっていくか、それは誰にも分かりません。誰にも分からないが故に断片的な情報ではなく、様々な情報を仕入れて、最終的には自己判断として売買をするべきなので、敢えてリップルに対する反対意見だけでなく客観的意見も取り入れてみました。

 2020年12月27日 小田玄紀

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