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生薬百選 77 山査子(サンザシ)

夏の暑さも盛りを迎え、花火が夏の夜空に映える季節になってきました。海や川などに遊びに行くにもよい時期ですが、夏バテでどうも体がだるい、最近お腹が弱っていてバーベキューはちょっと…なんていう方はいらっしゃいませんか。そのような方に関係のあるサンザシを紹介します。

生薬としてのサンザシは、バラ科のサンザシおよびオオミサンザシの成熟果実を乾燥したものです。中国原産の植物で、日本には享保19年(1734)頃もたらされました。シベリア、朝鮮半島にも分布します。古くから民間薬、食用として重宝されており、3千年に近い栽培の歴史があります。
西洋サンザシはメイフラワー(Mayflower)といいます。その名の通り、5月頃に開花します。白か桃紅色のかわいらしい花です。「メイフラワー号」という船の名前を思い浮かべた方もいらっしゃるかもしれませんが、この船はイギリスの清教徒が信仰の自由を求めアメリカに渡った時に乗っていたもので、船尾にはサンザシの花が描かれていたようです。キリスト処刑の時のイバラの冠は西洋サンザシの小枝といわれているためでしょうか、きっとサンザシの花言葉「希望」を乗せた船出だったのでしょう。

サンザシの実は8〜10月に実ります。甘酸っぱい味なので、中国ではサンザシ酒、サンザシジュースなどがごく一般的に中華料理店などで見られ、またお菓子やドライフルーツなどとしても楽しまれています。中国では日常的に食品としても用いられるようです。中国北部ではサンザシを竹ぐしに刺し飴で覆った「氷糖葫蘆(ピンタンフーロー)」というリンゴ飴のようなお菓子が街角で売られています。一度食べてみたいものです。
生薬のサンザシ(山査子)
薬効としては、消化不良を改善し胃腸を元気にし、特に肉類の消化を助けるといわれています。また血液の滞りを改善するとされ、民間では女性の月経痛、産後の腰痛改善に用いられたり、下痢止めとして、夏冷たいものを摂りすぎてお腹を壊したときにサンザシを炭にしたものが用いられてきました。

成分はクエルセチン(フラボノイド)、コーヒーにも入っているクロロゲン酸(フェノール類)、美肌成分のウルソール酸(トリテルペノイド)などが確認されており、抗酸化作用が期待され美容にもよさそうです。また消化酵素も含んでいます。

真っ赤なサンザシの実のように太陽の暑さに負けず、夏を元気に乗り切りましょう。

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