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不妊症と年齢(4)

前回のコラムで、漢方医学では加齢による卵巣機能の低下を「腎虚」と考えていると紹介しました。ですから、35歳を過ぎて卵巣機能の低下が見られる方は、強力に腎を補うことが大切になります。強力に補腎するためには、動物性の漢方薬を使う必要があります。動物性の漢方薬は「血肉有情(けつにくゆうじょう)の品」といわれ、漢方製剤としては、参茸補血丸(さんじょうほけつがん)、海馬補腎丸(かいまほじんがん)、参馬補腎丸(じんばほじんがん)、ビタエックスなどがあります。通常の卵巣機能低下には、養血・活血作用のある漢方薬と上手に配合すると、とてもよい効果があります。

 さて、問題になるのは年齢による自然な卵巣機能の低下ではなく、さまざまな事情により卵巣機能が低下したケースです。よく見られるケースでは、(1)ダイエットや強いストレスによる無月経や排卵障害、(2)先天的な子宮発育不良や卵巣機能の低下、(3)病院の治療(排卵誘発剤やホルモン剤の使いすぎ、体外受精を繰り返す、卵巣の手術など)によるもの、があります。

 (1)のケースは漢方医学による体質判断(弁証論治)が大切になります。ダイエットが原因になっているときは、脾胃を丈夫にして気血を補うことを重視します。ストレスが原因のときは肝の働きを良くして、気血の流れを良くすることを重視します。

 (2)のケースは初潮が遅い、子宮や卵巣が小さいということが特徴で、遺伝的な要素が強いです。子宮や卵巣の状態によっては、非常に難治になることがあります。強力に補腎することが大切で、参茸補血丸や胎盤エキスなどの動物性の漢方薬が使われます。重度でなければ、一定の効果が期待できます。

 (3)のケースは不妊治療をしている方では良く見られます。排卵誘発剤は長期に使うとだんだん効果が低下して、卵巣機能が低下する傾向があるようです。また、体外受精では1回に多くの卵子を育てるため、採卵を繰り返すことで原始卵胞が消耗されます。卵巣の手術を行うと物理的に原始卵胞が減ります。特に体外受精を繰り返して排卵が来なくなった方は、難治になる傾向があります。動物性の補腎作用の強い漢方薬に、養血・活血の漢方薬を適切に配合する必要があります。

 いずれのケースでも卵巣機能の低下には補腎が大切で、年齢が上がってくると動物性の漢方薬を使うことが不可欠になります。その上で、生理周期の乱れが少ない場合は、生理周期(生理期、低温期、排卵期、高温期)に合わせて漢方薬を使い分ける周期療法が効果的です。

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