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願望日記 10/5 ペットボトルごみにスタバのプラペチーノの容器を捨てる奴

10/5(木) 21時15分。

帰宅しようと都内の某地下鉄・Q段↓駅に乗る。
ホームで電車を待つ。右隣を見ると自販機。
ざっとラインナップを見ると、その中にポンジュース。

自販機のポンジュースは200mℓほどで160円くらいする。
ただ、疲れた日の帰りに飲むと、めちゃくちゃうまい。ご褒美。

・まだ始業開始3分でラジオ体操第一しかしてないのに、僕たちアルバイトに朝から機嫌悪い態度を取ってくる、私情のストレスをバリバリ持ち込む社員にも口答えしなかった。

・アルバイトなのにまるで社員みたいな態度でアルバイト達に指示命令するアルバイトに対しても、無心で働いた。

↑の2つは充分、ポンジュースに値する。

自販機に向かおうとした時、僕の前をそそくさとスーツ姿の30代男性が通り過ぎた。軽く肩がぶつかった。

そして男は、自販機横のペットボトル専用ごみにスタバのフラペチーノ容器を捨てた。
ごみ箱は満タンで入れるスペースはもはや無いのに、無理やり押し込む。
しかもベンティサイズの容器だ。

「おまえ。そこはフラペチーノ容器を、ましてやベンティサイズを入れるごみ箱じゃねえんだよ」

写真はフリー素材で頂いた自販機

僕は睨んだ。男に気づかせるために。
尾野真千子さんの目力を意識して睨んだ。『極悪がんぼ』の時の尾野真千子さんだ。
だが睨んだところで、男は気づかない。

男は捨てた後、すぐに歩きスマホし、電車のドアが開いた瞬間には降りる人を待たずに車内に入り、空いてる座席を探し、あれば猛ダッシュ。
そして座ればネットニュースで書く必要もないのに、芸能人の結婚ニュースのコメント欄に「だれこいつ見たことねえ」と書き込む。に違いない。
こいつは新入社員に自己紹介されても、「だれこいつ見たことねえ」と言う。に違いない。

僕は睨み続けた。だが男は全く気付かない。

その時。男のスマホが鳴った。
出ると会社の上司から「今すぐ会社に戻れ!」との電話。

駅から男の会社まで約10分。
だが上司は「おれは、朝ドラ『カーネーション』をリアルタイムで観たいから3分で来い!」と怒鳴る。

「朝ドラは15分だし、この時間にリアルタイムではやってないし、そもそも今やってる朝ドラは『ブギウギ』なのにな…」と思いながら、男は急いでホームを出て、会社へ向かう。
が途中、男はBluetoothイヤホンの片方を落とす。男はそれに気づかない。

そしてここから、雪崩が始まる。
Bluetoothイヤホンのみならず、自宅の鍵も、右目のコンタクトレンズも、今日履いてるズボンも、洗濯に干しているズボンも、そしてこれまでのキャリアまでもが無くなる事を!

居酒屋のキャッチ、ガールズバーのキャッチ、聖書の勧誘、『笑ってコラえて!』の〈朝までハシゴの旅〉のロケに出くわし、
徒歩10分の所を、急いだのに47分かかって会社に着くと、誤送金を疑われる。

男は、取引先に100万円を送金するはずが、100円を送金していた。

「4桁数字が違うんだよ!」と怒鳴る上司。

「そんなはずはないです!」と弁明する男。

なんとか誤解を解く為に、取引先の会社がある西ヨーロッパに向かうが、もう遅い。

男は、気づいた時には、砂漠にいた。

そこには阿部寛や二階堂ふみはもちろん、ドラムも助けに来ない。
ずっと砂漠。永遠に砂漠。ドラムのいない砂漠。
ドラムのいない砂漠は辛いぞ。

これが男のいる砂漠。

そして捨てるごみも、当然ごみ箱もない砂漠で、男は思うのだ。

「ああ…捨てるものがあるだけ幸せだったんだ、せめて正しい所に捨てなければ。あとスタバでレジ会計する時はイヤホンを両耳ちゃんと取ろう…」

と。だが、おまえはもう………スタバには、行けない!!!
スタバカードは僕が引き継ぐ。
おお、1066ポイントもあるじゃないか!無理やり読めば1066=ドラムと読めるじゃないか!
よかったな!おまえのスタバカードの中にはドラムがいたよ!

「はははあぁあああハハ!!!・・・え」

その時、僕は目覚めた。
駅のホームのベンチで寝てしまっていた…。

すでにあの男はいなかった。そしてちょうど電車が来ていた。
急いで乗ろうとしたその瞬間。

変な体勢で寝てたからだろうか、足が痺れて動けない。
動けない…。電車までのあと8歩が出ない…。8歩。8歩。はちほ。まちこ。尾野真千子。『極悪がんぼ』の尾野真千子に見られてる気が…。
いや、『カーネーション』の尾野真千子の目力を持った誰かに睨まれている…?

電車は行ってしまった。
その後も痺れはなかなか直らず、さらに睨まれている感覚によって動けなく、僕は終電を逃した。21時過ぎにはホームにいたのに逃した。

せめて終電の電車を目で追いかけると、先ほどの自販機が目に入った。

「尾野真千子じゃなくて、おまえか…?」

僕は160円約200㎖のポンジュースを買った。
このままだと駅員さんにも睨まれるので、急いでポンを飲み干し、ごみ箱に入れようとすると、奴が目に入った。

ベンティフラペチーノ容器。

こいつのせいで、僕は終電を逃したのだ。
だがこいつは悪くない。悪いのは、あの男だ。

あの男はどこ行った!?…あ、21時台の電車に乗ったのか…。

僕はベンティフラペチーノ容器を睨んだ。睨み続けた。
だがベンティに、僕の状況が分かるわけもない…。

僕はベンをごみ箱から取り出し、飲み終わったポンのぺットボトル容器を捨てた。右手にはベン。

仕方ない…。始発までこの容器が捨てられるごみ箱を探しに行こう。


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