戦略を上回るカルチャーを作ることこそが、これからの時代で勝つカルチャー戦略の作り方
Culture eats strategy for breakfast(カルチャーは戦略を食う)
ピータードラッカーは数々の名言を残しているが、その中の一つが上記である。
どんなに素晴らしい戦略を立てようが、それを実行する企業=組織のカルチャー(文化)がひどいものだったら戦略なんて機能しない。逆に言うと、素晴らしいカルチャーがあるなら、戦略が多少まずくても自分たちの目標を成し遂げる可能性は高いということである。
例えば、カルチャーが問題が起こると常に犯人捜しをして、1人1人が自らできることを考えて実行することがない組織だとする。
そんな組織で戦略を機能しようとしたとしても、戦略を実行するのは組織であり、人であるからこそ、上記のカルチャーの企業であれば、戦略実行中に問題が起これば、すぐに機能不全となりプロジェクトは失敗になってしまうのは想像が難しくないだろう。
戦略がカルチャーを上回る時
スターバックスはカルチャーが対社外、対社内にうまく表現し浸透している企業だと感じたことはないだろうか?
以前、弊社で、スターバックスジャパンの元CEOの岩田氏に講演会を依頼した時に紹介してくれた話がある。
ある日岩田社長に男性から手紙が届いたのである。どんな内容かというと
『娘は近所のスターバックスが大好きだったこと。お店の雰囲気や商品はもちろんのこと、いつも接客してくれるお姉さんの笑顔がとても素敵だったので通っていたとのことでした。そんな娘さんは心臓に持病を持っており、日本では手術は難しく、アメリカで難しい手術をする必要ことに。 そして、アメリカに行く日、娘さんはどうしても大好きなスターバックスのシナモンロールを食べてアメリカに行きたいとお父様に言われたそうです。 朝早くに出発することもあり、お店が開店する時間の前にその街を出ないといけないため、本来は難しいところを、ダメもとでお店のスタッフの方にご相談されたところ、なんと翌朝の早い時間にわざわざ届けてくれたとのことでした。残念ながら、娘さんは亡くなられてしまったのですが、最後にともて素敵な思い出をくれたことに心から感謝したい』
とお手紙には書いてあったそうです。
戦略やマニュアルには、開店時間と閉店時間があり、その中でお客様を満足させることで売上を上げることが決まっているでしょう。
しかし、スターバックスにある、『ひとりのお客様、一杯のコーヒー、ひとつのコミュニティから』というミッションを体現していく中で生まれた、お客様の要望には最善を尽くして応えていきたいというカルチャーが、上記の行動を生み、一つのストーリーとしてこうやって色んなお客様、そして働くスタッフにも共有されることでブランドが生まれるという好循環を生み出す。
これこそが、戦略では決して計算できないカルチャーの力であると思う。
カルチャーはミッションとバリューの徹底から生まれる
先述のスターバックスでは
「人々の心を豊かで活力あるものにするためにー
ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」
というミッションを掲げています。
そのミッションを体現するべく
『私たちは、パートナー、コーヒー、お客様を中心とし、valuesを日々体現します』と宣言し、下記を日々意識し実行しています。
■お互いを心から認め合い、誰もが自分の居場所と感じられるような文化をつくります。
■勇気をもって行動し、現状に満足せず、新しい方法を追い求めます。スターバックスと私たちの成長のために。
■誠実に向き合い、威厳と尊厳をもって心を通わせる、その瞬間を大切にします。
■一人ひとりが全力を尽くし、最後まで結果に責任を持ちます。
■私たちは、人間らしさを大切にしながら、成長し続けます。
というバリューを謳っています。
上記の手紙にあった行動は、まさにミッションを体現するためにバリュー通り行動した結果であるともいえます。
つまり、カルチャーが出来上がっていくには、上記のようにミッションを体現するためにバリュー通りに行動していくことが習慣になることで文化=カルチャーになっていくのです。
世の中にはミッションとバリューを持っている会社はたくさんある。しかし、カルチャーになっていない会社がほとんどであるのもまたご存じの通りです。
その違いとは、”ミッションとバリューを日々徹底して実行しているかどうかの差”にあるのです。
バリューを浸透し体現していくための5つのステップ
バリューを浸透し体現していくためには下記の5つのステップがある。
① バリューの位置付けと目的の理解
② 社長自ら実践&伝える
③ 周知&日々のリマインド
④ 共感&自分ごとにする
⑤ マネジメント&評価
そもそも、バリューを実行していくのは働く従業員1人1人です。
そのために最も重要なのは『いかに自分事にさせるか』が鍵となります。
逆に言うと、バリューが浸透、体現されていない組織は、一方通行になっており、やらされている、企業が言っているだけになってしまっているのが大きな原因にあります。
上記は、それをよりステップ化するために5つに分けておりますが、大切なのは社員1人1人が自分事になるために、社員がバリューの意味や目的を理解し、トップが言うことで、会社として本気さを感じ、日々リマインドをすることで、習慣化させ、そして共感し自分事にしていくことで体現され、さらにそれを日々マネジメントして評価をされることで会社の文化=カルチャーになっていくのです。
そして、下記はバリュー浸透の5段階に分けたステップです。
最終段階がバリューがカルチャーになりブランド化していくことになります。
自分たちの組織がどこにあるかをしり、一段一段を登り5段階を目指していくことが大切です。
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