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相対性理論を理解したければこの動画を見るしかない

タイトルの通り。どの動画かというと、この動画である。

相対性理論が何を説明している理論なのかを、数式を一切使わずに90分でわかりやすく解説するというスゴイ内容だ。相対性理論を(玄人が気にするような理論的正確性はざっくりと切り落として)素人にもわかるように説明する試みは、書籍でも動画でも各方面で行われており、そのいくつかは私も見たり聞いたりしたことがあるが、その中でもこの動画は群を抜いてわかりやすかった。

解説しているのは、カリフォルニア大学バークレー校教授、兼バークレー理論物理学センター所長(UCバークレーのHP上の記載だと、Professor, Director, Berkeley Center for Theoretical Physics)の野村泰紀氏。経歴を見れば明らかな通り世界でもトップレベルの理論物理学者である。その野村氏が相対性理論の要点を絞り込んで、「前提知識ゼロでも理解できるくらいわかりやすいが、エッセンスは掴むことができる」というそう簡単には両立し得ないバランスを実現し、丁寧に解説してくれている。

私が「アインシュタインの概念的思考力」の凄まじさを改めて認識したのは、この動画の11:00以降あたりの「特殊相対性理論」のコアコンセプトを解説しているパートである。それまで時間が絶対的なもの(変化しないもの)という前提で捉えられていて、その前提に立つとガリレイの相対性原理とマックスウェル方程式が矛盾してしまうと考えられていたところ、アインシュタインは両者は矛盾しておらず、時間が可変であれば全て辻褄が合うという思考の転換を行ったという件が説明されている(私が野村教授よりわかりやすく説明できるはずもないので、詳しくは動画を見てほしい)。

アインシュタインの思考様式は凡人には模倣しようがないが、「暗黙の前提に目を向けて、それを疑い、その前提を崩すことで新たな視点を獲得する」という構造自体は一般人である私にも学び取れる部分である。

仕事においても、知らぬ間に皆が考えることをやめている「聖域」が存在することが多い。その聖域に触れると皆が信じている神話が崩れてしまうので、「それを言っちゃおしまいよ」という感じで誰もまともに扱おうとしないのだ。しかし、抜本的な組織変革や経営改革を行う時には、この聖域を正確に捉え、切り崩し、ゼロから新しい組織や経営方針を作り上げていくことで、驚くほどシンプルな形で変革や改革を推し進められることがある。

アインシュタインが特殊相対性理論を発表した当時において、「時間」という要素は「聖域」だったのだが、アインシュタインはそこに切り込んで新しい境地を切り開いた。そのすごさと面白さを、ぜひこの動画を通じて感じてみてほしい。

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