信頼残高とパフォーマンスの関係性
信頼残高とは何か
「信頼残高」という概念を広めたスティーブン・R・コヴィー博士が共同設立者であるフランクリン・コヴィー社のブログから、その定義を引こう。
つまり、銀行残高のように他者に信頼されれば残高が増えてどんどんプラスが重なり、反対に信頼を失うもしくは過去の信頼をベースにお願いを聞いてもらったりすれば残高が減っていく、という考え方である。
信頼残高は「平時に貯め、有事に使う」
信頼残高の特徴は、自動的に増減するだけではなく、プラスの場合には「引き出す」ことができる点にある。「引き出す」とは、これまでに信頼を積み上げていれば、その過去の信頼をベースに、こちらのお願いを聞いてもらうことができるということを意味する。
聞いてもらえるお願いは、これまでどれだけ残高を積み上げてきたかに依存する。もちろん、厳密に数値化できるものではない。
信頼残高は、「平時に貯め、有事に使う」のが鉄則だ。以前、「仕事における馬力の重要性」という記事で説明したが、仕事のパフォーマンスは有事をうまく切り抜けることで桁違いに向上する。ここぞというときに、これまで貯めた信頼貯金を放出して急場をきりぬけることで、パフォーマンスが向上するのである。
平時から「当たり前のことを当たり前にやる」ことが重要
ここで重要になるのは、平時にちゃんと信頼残高を積み上げておくことである。ではどう積み上げるのかというと、「当たり前のことを当たり前にやる」ことに尽きる。
つまらないと思うかもしれないが、信頼残高は一気に積み上がるものではない。毎日毎日、誠実に行動していると、複利的に蓄積されているものである(その意味では、金利がちゃんとついている預金残高に似ている)。
だからこそ、普段、当たり前のことをちゃんとやる。これが重要である。仕事のできる人は身なりもちゃんとしているし、細かな気も使えるということがよく言われるが、この信頼残高の考え方をあてはめるとその理由がよくわかる。こういう人は、日常で信頼残高を貯めておいて、いざという時に放出しているのだ。