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神田伯山独演会(2回目)

狛江、遠いっ!

経路を調べた結果、電車で行くよりもバスで行ったほうが便利ということなので、電車とバス2本を乗り継ぐ2時間ほどのローカル路線バス乗り継ぎの旅になりました。


・黒田武士(くろだぶし)

弟子の青ノ丞さんの一席。頑張って稽古してください。


・阿武松(おうのまつ)

飯をめっちゃ食う相撲取りのお話。

「今日は楽しいお話を」ってことで楽しいお話。

「どうして面白い人の話は面白いのか?」という当たり前過ぎる真理を哲学的命題として考えてしまいますが、私がたどり着いた答えは「センスに尽きる」ってことです。

練習・稽古することによって、滑舌が良くなる、間が良くなる、声音や声の抑揚・凹凸・浅薄等の出し方が上手くなるってことはあるでしょうが、「面白くない人が面白くなる」ってことはないと思ってます。

伯山さんには間違いなくそのセンスがあり、弟子の高座がまだまだであったので、余計にその大きすぎる差が明確になった一席でした。




・万両婿(まんりょうむこ)

前回、独演会に行った時も聞いた最高に好きな爆笑ネタ。

正直ね、最初は2回目だから飽きてるかな・・・って思っていたんですが、やっぱり大家がしゃしゃり出てくるところあたりから面白すぎて最高だw

前回も「良いお客さんの時は話が伸びる」って言ってましたが、今回も30分の話を45分やっていたらしいです。

前とは微妙にくすぐりというか細部が変わっていたので、やる度に変化・成長はするし、客によっても構成は変わってくるんでしょうね。

私はつまらない話を聞くのが大嫌いだし、同じ話を2回聞くのもクソだるいわけですが、「となりのトトロ」や「天空の城ラピュタ」を何度も見ても飽きないように、極めて完成度の高い物語は何度体験しても別に飽きないものだな、って思いました。

もちろん、講談や落語の場合は毎回微妙に変化をするので、トトロの声優が毎回新たにアテレコをしているような感じであって、それはそれで楽しいわけですが、強度の高い物語を強度の高い演者が演じれば、それを聞いて飽きることは決してないのだ、ってことを確認した日でした。



・矢矧橋(やはぎばし)

「前半で1時間40分もやってしまったので、最後は短めにしますw」ってことでやった豊臣秀吉の人生パッケージ版。

このお話には、豊臣秀吉のセリフとしてドラマチックな言葉が出てきますが、私ね基本的に説教臭い話とか、人生訓めいたことを前面に出してくるモノが好きではないんですね。

好きではないのだけれど、前から4列目の席で極めてレベルの高いエンタメとして物語の中の叫びとして聞くと、中々響くものがあります。


前回、初めて神田伯山の講談を聞いて、大好きなサッカー関連のアレコレを抜いて、今までの人生で見てきた全エンタメの中で最高であったと感じました。

多分、伯山さんの人気なら1000人、2000人のホールでも埋まるはずですが、前回のホールが400席、今回のホールが700席ほどだったように、あえて小さいホールでやることにしているんでしょうね。

そこはジレンマなんだと思います。

私は、前回も今回も「前から数列目」の席で見ましたが、地声が届くような席で体験する講談はね、やっぱ全然体感するデータ量が違うわけですよ。

2000人のホールの1番後ろの席で初めて講談を聞いた人は、「なんだ、こんなもんか」ってなってしまう可能性が高い。

2000人のホールでやれば呼べる人は増えるけど、「こんなもんか」って思わせてしまう可能性も高まるわけで、講談の芸の普及と人気の獲得をどうやって行くべきかは極めて悩ましいところなんでしょうね。

マジで、紙飛行機を飛ばしたら届く距離で聞く大音声の講談の迫力と凄みはね、やっぱり近距離じゃないと伝わりません。

M-1で優勝した漫才師の芸なんかはね、テレビで見ても生でも見ても、面白さもインパクトも変わらないと思うんです。

実際に、私はM-1の決勝に出るテレビで有名な吉本芸人が何組も出るライブを前から4列目のど真ん中の席で見ましたが、「テレビより凄い・テレビより面白い」ってことは全くありませんでした。

でも、伯山さんの講談は、トップガンマーヴェリックをスマホで見るのと、超大画面の4DXの映画館で見るくらいの差がある。

マジで全っっっっっ然違うから。4DXで映画見たことねえけどw


というわけで最高でした。

1個だけ超絶うざかったのは、隣に座ったジジイが、伯山さんがまくらでネタを喋るたびに、「そんなわけないよ」「おおげさだよ」とかってことを一々小声で言うことです。

うるっせえんだよ、クソじじい、俺はてめえの小言を聞きにきたんじゃねえんだよw


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