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【講義メモ】椅子=chair ではない。

和英のズレを自覚することは、英語表現において大変重要であると考えています。

ここでは、椅子riceを例に単語レベルで生じる和英のズレを捉えてみることにします。

椅子 (日)
chair: 1人用で背もたれがあるもの
bench: 2人以上で座るもの
stool: 背もたれがないもの (バーのカウンターによく設置されている)

日本語の場合、公園に設置されているベンチを「あの椅子...」と言わないかもしれませんが、座れるものであれば基本的には「椅子」と表現してまず問題ないでしょう。

rice (英)
米:調理前のもの
稲:収穫前のもの
ごはん:調理後のもの・食事そのもの

その一方で、英語ではこれら全てを「rice」と1語で表現します。

ここで強く意識したいのは、文化的、歴史的に重要度が高いものは細かく使い分け、重要度の低いものはざっくりと表現するということです。

食事のことを「ごはん」とも呼びますが、日本人が昔からお米を大切に食べる習慣があったからと言えます。

しかし、椅子が一般家庭に普及したのは明治時代以降であり、和室などで床に座る生活をしてきた昔の日本人からすれば、椅子に対する強い関心はなかったのかもしれないですね。

例えば、畑を指して「ここでご飯を育てています。」という日本語は極めて不自然でしょう。

米、稲、ご飯を使い分けるように、chair, bench, stool を英語圏出身の人々は重要語として無意識に使い分けています。

つまり日本語の椅子に当てはまる正確な英語はないということです。



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