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オンライン学習を取り入れたこれからの授業のあり方

2月末の一斉休校要請を受け、多くの学校や塾はオンライン学習の導入を迫られました。これまで遅々として進まなかった教育現場でのICTの導入もようやく本格的に進みつつあるようです。まだまだ課題は山積しているとはいえ、オンライン教育を教室での授業にどう取り入れていくかという議論が今後本格化していくと思われます。

例えば各単元の内容をざっと予習するための5~10分程度の講義動画を作成し、生徒たちに事前に見てきてもらうというのはどうでしょうか。教科書なりプリントなりを読んできてもらうよう指示するのも一つの手ですが、すべての子供にそれを求めるのは無理があります。今の子供たちはyoutubeなどに親しんでおり、動画に対する抵抗感はありません。動画を活用することで予習のハードルを下げ、気軽に見てもらうことができるでしょう。

とはいえ、それぞれの教師が毎回動画を作成することになると、ただでさえ過酷と言われる職場環境においてさらに負担が増大することになります。この問題を解決するために地域の複数の学校の教師で学校横断的なワークグループを立ち上げて、共同制作するという手もあるのではないでしょうか。特に公立学校では有効な手段だと思います。

この動画は予習のための手段として機能するだけではありません。動画制作を通じて、教師間で指導方法について様々なアイデアが飛び交うはずです。ベテランの教師にとっては、自分の指導方法を見直し、新たな知見を得る重要な機会となります。また、最初は指導技術の優れた人に講義をお願いすれば、若手の教師にとっては指導技術向上のための研修を兼ねた場とすることもできるでしょう。

また実際に生徒に見てもらい、その反応や結果を検証することでデータが蓄積されていきます。次に動画を作成する際にはデータに基づく改善策を議論することが可能になり、それは各教師の更なる指導技術向上へとつながっていくことでしょう。もちろんその地域内だけでなく、他の地域の教師とも情報交換を行えばさらに活性化すると思います。

これはいわば、これまで経験という形でそれぞれの教師の中に蓄積されてきた指導技術を、誰もがアクセス可能な形で共有・可視化するということです。新人教員の育成に役立てることもできますし、若手・ベテラン教師双方にとって大切な学びの場となると思います。

もちろん、講義動画を見たから直ちに演習に入って良いということではありません。動画の視聴という予習を前提とした上で、各教師がそれを補うための補足説明を授業の冒頭で行う必要があります。ここでは個別の教師の独自性や指導技術が試されることになるでしょう。

実際の授業は講義動画の補足説明のほか、演習やグループワークを中心に行うことが望ましいでしょう。特に高校までの教育において身体性、すなわち実際に教室に教室に集まって行われる授業の重要性が損なわれることはありません。子供は他者と議論し意見交換をすることで、他者だけでなく自分自身についての理解を深めるからです。しかし、これすらもおそらくそう遠くない将来、VR技術の進展によって解消されることになるかもしれません。

これは既に多くの学校で取り入れられていますが、アプリやGoogle classroomなどを利用すれば、課題の提出・添削をオンライン上で行うことができます。単語テストなどをアプリで行い、進捗状況や点数を学校側で集約することも可能です。知識を問うようなテストをわざわざ学校の授業時間を割いて行う必要はなくなるでしょう。こうすることで教員の負担を減らしながら、より効率的に授業を進めることができます。これも教育における可視化の1つの恩恵だと言えるでしょう。

ここまで見てきたように、ちょっと考えただけでもオンライン教育が多くの可能性を秘めていることがわかると思います。オンライン教育が身近なものではなかった世代の人にとっては、なかなかイメージしづらいかもしれません。しかし、今後世界全体は確実にこちらの方向へと向かっていくでしょう。社会の急速な変化に伴い、硬直化している教育が大きな変化を求められている時代だといえそうです。


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