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みんなで学ぶ意味を共有する - 「メイクテン」と「ことば集め」

 こんにちは。ひなた教育実践工房です。Children Firstという学習集団づくりに取り組む教師の研究会が、昨日ありました。参加している指導教諭の実践で共通していたものに、「メイクテン」と「ことば集め」という常時活動があります。「メイクテン」と「ことば集め」という常時活動に、なぜ取り組むのか。実践の意味を考えました。
 
 「メイクテン」とは、4つの数字を組み合わせて、四則計算を使いこなして10になる計算式をつくるものです。たとえば、5月21日で27回目の算数の授業の前に、5と2と1と7で、7+5-2×1=10とか、7×2-5+1=10、7+5-2÷1=10というように、答えが10になる式を4つの数字でつくります。答えは、一つではありません。コツをつかむと、一人で何通りもつくることができます。かけ算やわり算を学んでいない低学年で「メイクテン」に取り組むのは難しいのですが、高学年などではかっこのある式など多様な答えが出しやすいので、子どもが熱中する活動になります。

 「ことば集め」は、たとえば、教師が「トマト」と板書し、子どもたちに何のことば集めかを想像させ、「やさい」だとお題を子どもたちと共有したのち、「キャベツ」「きゅうり」「なす」「ピーマン」など、野菜のなかまをできるだけたくさんノートに書きだすものです。上位概念と下位概念を意識させるだけでなく、スイカやイチゴは野菜なのか果物なのかを調べたり、カタカナだけでもう一度集めたり、となりの子どもと同じものがいくつあるかを確かめたり、みんなが思い出さなかった唯一の名称がひねり出せた子どもがいるかどうかを確認したりするなど、活動を展開させていくこともできます。これまで読んできた教科書に載っている物語の登場人物を挙げさせたり、今読んでいる説明文に出てくるキーワードを思い出して取り出したり、新しく学んだ漢字の熟語をたくさんつくらせたり、学年等に合わせた活動にひろげることもできます。
 
 「メイクテン」も「ことば集め」も、できるだけ授業の開始前に取り組む常時活動です。というのも、ノートを開いておくとか、鉛筆を出しておくとか、授業準備に対する指導を成立させることができるからです。授業の中で「ノートを開いていません」と不十分さを子どもに指摘するのではなく、子どもが意欲的に取り組む活動のなかで、「ノートをひらいて始めよう」と呼びかけるほうが、授業準備に対する指導が成立します。ただし、授業準備に対する指導は、結果的に起こった効果であって、授業準備に対する指導を成立させるために「メイクテン」や「ことば集め」を行うとならないように、目的と手段の関係を見誤らないことが大切です。
 
 「メイクテン」も「ことば集め」も、多様な回答が生まれるアウトプットの活動です。答えは一つではない。自分の思いついた答え以外の可能性も常に想定する。自分とはモノサシが異なった他者の考えにすなおに驚き、自分のものにしていく。「メイクテン」と「ことば集め」には、みんなで学ぶことの意味が現れてきます。

 「誰も見つけていない回答を発見してごらん。」

 違いがあるからこそ学びが生まれる。子どもたちと共有したい授業観や学習観があるからこそ、毎日のように子どもたちと取り組んでいるのです。
 

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