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過程重視探究発表会

 宮崎東高等学校でひらかれた過程重視探究発表会に参加した。探究の成果に対する評価をする場ではなく、探究のプロセスにおける意味づけや価値付けをする場であり、発表者も緊張はしていたのだが、聴き手の方が試される時間であった。

 宮崎東高等学校定時制の生徒も、もちろん発表した。彼らの発表を聴いていると、ことばに表裏も過不足もないことに気づく。人間がそのまま差し出されるように、経験を盛ることばも、上滑りすることばもない。「嫌なことがあっても楽しくなくても、火曜日の1コマがあるから学校というものに行けると感じている」と、生徒に言わしめる総合探究が宮崎東高等学校定時制にはある。

 審査員の方の講評に、「努力は、夢中に勝てない」というコメントがあり、各々が“好き”にはまっていることを表現していた。ここでいう“好き”は、「わからないことを大切にしながら、モヤモヤを携えながら真実に迫っていく」ような、自分を大切にしていくプロセスである。

 金賞は、「コスパ最強の地図作成法は何か」というタイトルで取り組んでいる発表だった。歩数で測る方法だけでなく、歩く範囲を決めかかった時間で計測する方法や感覚で計測する方法を試した上で、実際の地図の誤差や始点と終点のズレなどで分析した探究である。25km以上も歩いたり走ったりしたらしい。単に、いろいろな方法で地図をつくってみたというだけでなく、分析があり、探究のプロセスが螺旋になっている。何よりも、伊能忠敬に小学生からはまっている彼自身そのものが感じられる発表だった。さらに、彼の言う「コスパ」は、達成感÷時間なのか、充実感÷ストレスなのか、達成感・充実感÷責任なのかを考えさせられてしまうような、他者の関心を引きつける魅力があふれていた。

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