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ベル着ができたら

 「授業開始1分前に着席ができる」にも取り組んでいた。「時間を守る」というマナーを子どもたちに身に付けると言うからこそ、必ず教師は2分前には授業の準備を終え子どもたちの前に立つことに取り組み、時間通りに授業を終えることに取り組むという学校の宣言でもあった。

 着席ができている1分間に、子どもたちは何をしているのが、気になった。ベル着という生活改善運動は、授業に遅れずに出席することにはなるが、授業に参加することを促すものではない。看護大学での講義や看護師さんたちとの研修では、5分前着席をされているので、私も5分前に教室に行き、5分早く授業や講習を始め、5分早く授業や講習を終えるようにしている。

 低学年の子どもたちは、ノートをひらき、日付と題名をていねいに書くということに子どもたちと取り組まないのだろうか。あるいは、ことば集めの実践のように、語彙を増やしていくとともに、ていねいにすばやく書くことに取り組まないのだろうか。1分間という短い時間であることを利用して、息継ぎなしの1分間音読や暗唱に取り組み、丹田を鍛えることに取り組まないのだろうか。

 中学年の子どもたちは、「子どもたちが自分の声を届ける」ということが課題ならば、1分前着席と同時に、一人の子どもが黒板の前に立ち、詩の暗唱や前回のまとめの暗唱などに取り組まないのだろうか。毎時間取り組めば、1週間に1回、子どもたちはみんなの前で発表することになる。

 高学年の子どもたちは、すでに授業開始1分前に着席はできているというので、社会や理科の教科書にある定義文を視写したり、国語の教科書にある学習用語やことばの力の視写に取り組まないのだろうか。できていることを教師がどうほめるかに悩むより、子どもたちができていることにはどんな可能性があるかを子どもたちと考えた方がよい。

 どのような学習習慣を子どもたちに定着させていくと、子どもたちは授業に参加しやすくなるのか。継続すると学力が向上することは見通せていても、家庭学習ではなかなか取り組めない、場の力が必要となるトレーニングには何があるのか。学力向上に子どもたちがどのように参加できるかを学校で検討してはどうだろうかと考えたのである。

 出席から参加へと子どもたちと学校生活を転換していくところに、実践の展開が生まれてくるのである。

  

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