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再挑戦の機会を与えることは、子どもを信頼することである

 授業研究だった。2年算数「かたちづくり」という特設単元を参観する。かまって感の強い子どもたちだった。授業に関係のない発言がよく出るとも言えるし、細部に反応するとも言える子どもたちだった。教師が注意をすると、はぶてて不機嫌になり、寝転んでしまうのではないかという子どももいた。事後検討会で聞くと、4・5月は寝転んで白目をむいていたこともあるという。

 教師は、子どもの反射とも言えそうな、内言がそのままに出てしまっている子どもの発言を、一つ一つていねいに取り上げるものと取り上げないものを見極めながら、穏やかにローテンションで対応していた。エスカレートしない限りは注意をするのでもなく、かといって、そっけなくするのでもなく、心をこめて応答する。頭ごなしには叱らない。子どもたちが学びに向かっているならば、付き合うこともある。子どもたちに選択肢をもたせたり、活動に幅をもたせたり、子どもたちがご機嫌よく、心地よく教室にいることをていねいに構成していく。うまくいかなかったときこそ、教師の指導のどこを修正すればいいかを丹念にふりかえる。そうした積み重ねを感じる一コマだった。

 正方形3枚でできるかたちはいくつあるか。種類を確かめていく中で、ある子どもが、回したら同じかたちになるものを提示してしまった。回転と反転は判断が難しいのだ。「ちがうよ」というのはほんとうなのか、どうして違うのかをグループで考えさせた後、教師は、回したら同じかたちになるものを提示してしまった子どもを再度指名した。再挑戦の機会を与えられたのだ。再挑戦した子どもがなぜ違うのかを説明できるようになっていることも、グループがその手助けをすることも、教師が子どもたちを信頼しているだけでなく、子どもも自分が教師に期待されている点を理解していることが伝わってくるシーンだった。

 

 

 

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