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1年算数「3つのかずのけいさん」

 川南町の小学校の授業を参観した。

 子どもたちが見違えるほどに成長していた。教科書やランチョンマットが散乱している子どももいるのだが、教師が机間指導をしなくても、一人ひとりの子どもたちが板書をノートに写せるようになっていた。挙手も3分の2がするようになっていた。しかも、「ひき算だ」「答え、わかった」「リンゴ食べた」など授業内容に関するつぶやきができるようになっていて、授業に全員が参加しているのである。さらに、「先生、1こ下?」とノートの書き方を尋ねたり、「先生、2回引くと?1回ひくと?」と課題となっていることはどこかを確かめたり、加えて、「先生、これ、どういうこと?」と「わからない」を表明できるようになり、誰もが授業を投げ出していないのである。

 教師が、一人ひとりの子どもと目を合わせ、固有名詞を呼び掛けている。視野が広く、丁寧なのである。教師自身が、どうして子どもが成長してきたのかをどのように自覚しているかを聴いてみたいと思った。本日は、時間の関係で事後検討会ができないのが、残念だった。教師は、やっとスタートに立ったという実感もあるのかもしれない。今後の実践の展開をどこにするのかも聴いてみたいことである。ある女の子が、授業の終盤で「先生、わからん」と先生を呼んでいたが、「わからない」に一言付け加えられるようになると、次の段階に学びがひろがっていく。「わからないので、もう一度説明してください」なのか「わからないので、一緒にしてください」なのか、子どもたちが「わからない」とき、あるいは「できない」ときに、要求を言葉にすることができると、他の子どもも巻き込める可能性がひろがってくるからである。「わからない」「できない」誰ひとりをも取りこぼさない、無視をしない、そういう学びをつくっていくためには、「わからん」「できん」だけでなく、どうしてほしいのかを言えたり、聴けたりするといいのだが、子どもたちはどう考えるのかを聴いてみたいのである。

 授業者や子どもたちと検討したいことは、以下の3点もある。

 一つには、まとめの工夫である。「−(マイナス)を2かいつかって」「まとめて1つのしきにする。」「まえからけいさんする。」と、子どもたちとやりとりしながら、指導案に書かれていたまとめとは異なるまとめをつくっていた。さらに、「−(マイナス)を2かいつかって、まとめて1つのしきにする。まえからけいさんする。」とまとめ全体を読む機会もあった。でも、まとめは、一度読めば定着するわけでも、リーディングスキルが向上するわけでもない。たとえば、子どもたちとまとめの全文を読んだ後も、工夫してはどうだろうか。具体的に言うと、一文目を画用紙などで隠して、子どもたちに再現することにチャレンジする機会が必要ではないだろうか。子どもたちが自分たちがどう理解しているかを表現することを繰りかえすような工夫が要るのではないかと考えたのである。

 二つには、ブロック操作は、計算のプロセスを視覚的にとらえる機会というより、式を表現をかえてブロック操作で説明する機会ととらえる必要はないだろうか。子どもたちの理解を促す機会ではなく、子どもたちの理解を表現させ、式の意味を共有する機会とブロック操作の機能をとらえるのである。子どもたちは、式で考えることと、ブロックで考えることを別々にとらえていないのだろうか。式も、ブロック操作も、言葉で説明するのも、同じことを異なった表現ですることであり、手を動かすことは、誰かに説明しながら考えることだという習慣を定着していく必要があるのではないかと考えたのである。

 三つには、レベル1から4のワークシートを作成し、問題づくりを段階を踏ませて取り組ませていたが、子どもたちは練習問題を個々に取り組みたかったのだろうか。たとえば、最初からぺを組んでインタビューさせ、ワークシートのガイドのもとに、ペアで問題をつくり、ペアを変えながら、一人ひとりが多様な問題を集めていく活動でもよかったのではないか。インタビューして集めてきた問題を、自分で解いて、一緒につくった人に採点してもらうという活動をイメージしたのである。子どもたちは前後左右の子どもたちがどんな問題をつくったのかに興味津々であり、他の人のワークシートをのぞき込んでいた。かかわりながら、学びたいと子どもたちは思っていないだろうか。

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