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ラグビーを幼いころからやっている。どうやったらうまくなれますか。

  5月6日の宮崎日日新聞に掲載された「げん先生の悩む前に質問しよう」の記事に投稿した原稿である。 高校生からの質問である。ラグビーは観るのは好きだが、私自身は高校の体育で体験した程度である。
 
 私は、小学生から大学生までサッカーをしてきました。私の体験をふまえて質問に応えます。

 うまくなるには、考えることが必要です。自分よりうまい選手を観察していますか。自分のプレイを分析していますか。どうしたらそうなれるのか、自分が下手なのはなぜかを考えながら練習する必要があります。早く正確にできるようになるために反復練習するだけでなく、柔軟にプレイできるようになるために一つ一つの行為の意味をわかり直していくような探究をしていますか。経験の蓄積とは、自己の変容を繰り返すことです。試合をした後や練習した後にも自分のプレイをふりかえり、なぜうまくいったのか、なぜうまくいかなかったのかを考える時間が重要です。

 そのさい、プレイのあり方だけでなく、練習への取り組み方も検討する必要があります。たとえば、サッカーでは、コーンを使ってドリブルの方向を変えるという練習をしてきました。ときには、次にパスをすることを考えてドリブルしながら、目線を上げたり、遠くを見たりする練習もしてきました。でも、ドリブルのスピードを急に上げてもボールをコントロールできるようになる練習をしてきませんでした。相手を抜くには、ドリブルのリズムを急に変える必要があります。しかし、そういう意識を持って練習をしていませんでした。自分自身を俯瞰して、どんな練習がどういうプレイを生むのかを考える必要があります。

 ところで、うまくなりたいことは、何でしょうか?パスやキャッチでしょうか?ボールのもち方でしょうか?たしかに、うまい人は基本的な動作に違いがあります。その違いは、ただ外から眺めているだけでは見えてきません。あるいは、ボールを見る、相手と自分たちの位置や人数のギャップを見る、空いているスペースを見る、相手の重心や体の軸の傾きを見るなど、プレイを選択するための情報を得るという「見る」という行為でしょうか。どちらも、コーチやチームメイトなどとコミュニケーションしないと深まらない技法です。自分自身が問いを持って観察し、いろいろな人と対話してプレイに対する問いを深めていく必要があります。

 どうしたら、うまくなれるか。ラグビーに対する問い方を学び、ロジカルにコミュニケーションできるようになる。そのような探究するかしこさを身につけると、うまくなること自体の質が変わってくると思います。

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