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日々読書‐教育実践に深く測りあえるために

工藤勇一・青砥瑞人『最新の脳研究でわかった!自律する子の育て方』SBクリエイティブ株式会社、2021年。

 自らの力で自分を成長させる術と、幸せな状態をつり出せる術、両方の実現に不可欠な「状態」が心理的安全性であり、不可欠な「スキル」がメタ認知能力だと本書は指摘します。

 心理的安全性を確保するには、同じミスを繰り返す子どもがいたとすれば、「子どもに問題がある」と考えるのではなく、「大人がそれをどう伝えているか」にも意識を向けてみることが必要だと言います。

 あるいは、自分に関する情報を一つの定点から眺めたところで脳を更新することはできない。複数の定点を同時に見ることを「俯瞰」という。日記のように、自分を振り返って言語化する行為は、自分を客観視するために有効な手段であるが、読み返して横断的に見て自分なりの傾向を見出したり、反省させられるのではなく課題を解決したい気持ちがわいてくることが保障され、課題の解決に自ら意識を向けたりしないと、「俯瞰」は起こらないというのです。

 では、教師には何ができるか。

 安心できる環境をつくることとストレスに強い脳をつくることを同時にできる魔法の言葉として、工藤さんは麹町中学校の「3つの言葉がけ」を紹介していました。
「どうしたの?」(「なにか困ったことはあるの?」)
「きみはどうしたいの?」(「これからどうしようと考えているの?」)
「何を支援してほしいの?」(「先生にはなにか支援できることはある?」)
 
 心理的安全性を確保し、メタ認知能力を伸ばすには、関係性が重要だと指摘しているのです。

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