胸部CT

アレルギー・リウマチ膠原病・感染症内科の臨床医が伝えたい胸部CTのポイント

スタッフ・研修医に向けて記事を書きました。

ポイントは3つ
①正常解剖を身に付ける
②間質性肺疾患を分類できる
③市中肺炎、結核、真菌感染症などの感染症の画像を認識できる(次回)


①正常解剖を身に付ける
呼吸器科医師や放射線科医師と会話するためには、マナーとして知っておくと良いでしょう。
下記の単語や画像所見を自分の言葉で説明できれば、対等な関係でコミュニケーションがとれること間違えなしです。

②間質性肺疾患を分類・鑑別できる。
間質性肺疾患の知識があると、診療に自信がつきます。
たとえば、
①UIP・NSIPパターンの陰影とステロイドや免疫抑制剤の治療反応性とが、比較的相関する
②皮膚筋炎に合併した急性間質性肺炎を診断できる
③市中肺炎だと思っていたら器質化肺炎で、精査したらCTD-ILDだった
④CTD-ILDだと思ったら、薬剤性肺障害(MTX、BUCなど)だった
⑤CTD-ILDだと思ったら、ニューモシスチス肺炎などの呼吸器感染症だった
⑥CTD-ILDだと思っていたら、悪性リンパ腫だった
⑦CTD-ILDだと思っていたら、細気管支肺胞上皮癌(BAC:Bronchioloalveolar carcinoma)だった
、など、膠原病関連間質性肺疾患(CTD-ILD)は頻度が多いことに加え、鑑別・ピットフォール・治療方針の点で自分自身で臨床判断することも多いです。間質性肺疾患の知識は、私たちの診療に大きな力を与えてくれることでしょう。

CTD-ILDを診断する上で重要なことは、まずは特発性間質性肺炎の分類を押さえておくことです。
特発性間質性肺炎の分類について、時間のない臨床医としては、ひとまず覚えてしまってから、その後、記憶定着のため・深い理解のために分類に至った経緯を学ぶことをお勧めします。
“AL DRINC”(Alcohol DRINK)と覚えましょう。
AIP
LIP
DIP
RB-ILD
IPF
NSIP
COP
、の頭文字を取っています。
この中で、我々が知っておきたい間質性肺炎はAIP、IPF、NSIP、COPの画像パターンです。画像パターンについては成書に譲りますが、下記がポイントです。
AIP:浸潤影、すりガラス影が混在。牽引性気管支拡張といった肺の収縮性変化が見られる。感染症、ARDS、心不全なども鑑別。皮膚筋炎に合併したAIPを見逃さない。
IPF:蜂巣肺。時間的空間的異時性。胸膜直下・肺底部優位。swiss cheese appearance(肺気腫+浸潤影)が鑑別。
NSIP:他の間質性肺炎像に当てはまらないもの。胸膜直下の索状影。halo sign, reversed halo sign
COP:浸潤影。治らない市中肺炎、wandering pneumonia 


また、特発性間質性肺炎の鑑別を押さえておけば、CTD-ILDを分類・鑑別することも容易になります。アルコール関係のネモニクス(記憶術)として、
“SHITFACED”(shit-faced:ぐでんぐでんに酔っ払った)と覚えましょう
Sarcoidosis
Histiocytosis X
Idiopathic pulmonary fibrosis
Tumor(lymphangitic)
Failure
Asbestosis
Collagen Vasculer Disease
Extrinsic Allergic Alveolitis(Farmer’s lung)
Drugs


③市中肺炎、結核、真菌感染症などの感染症の画像を認識できる
、については次回のnoteに。


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