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スレッガー・ロウ登場!ホワイトベースvsザンジバルの砲撃戦~機動戦士ガンダム 第31話「ザンジバル、追撃!」感想

おとり

ゴップ「ティアンム艦隊は21時にここジャブローを発進する。そこで君達ホワイトベースは、その2時間前に発進してくれたまえ」
ブライト「2時間も前に、でありますか?」
ゴップ「そうだ。あ、おとり艦はほかに3隻出す」
ブライト「はぁ・・・」
ゴップ「ティアンム艦隊はまっすぐにルナツーに向かわせるから、ホワイトベースは反対の人工衛星軌道に乗っていく。そのあとでジオンの宇宙要塞ソロモンを叩きに行くという訳だ」
ブライト「は。ホワイトベース、本日19時をもって発進いたします」

前回のラスト、ホワイトベースをおとりとして利用する話が出ていた。今回さっそくおとりとしてのお達しである。

ブライトは「2時間も前に、でありますか?」と、この扱いを私は不満に思っていますよ、という感じを醸す。

これを受けてか、ゴップも「あ、おとり艦はほかに3隻いるから大丈夫だよ(^^)b」と付け加えるが、何の慰めにもならない。

連邦軍の狙いはジオンの「宇宙要塞ソロモン」を叩くことである。ソロモンの名は今回はじめて登場した。その実態は今後明らかにされるのであろう。

本筋とはあまり関係ないことではあるが「ティアンム艦隊」のティアンムさんはいつになったらご尊顔を拝見できるのであろうか。ここ数話その名前はよく出てくるが、肝心のティアンムさんはまだ一度も登場していない。ブライトですら会ったことがあるのかどうかストーリー上明らかでない。

完全に外様扱いのホワイトベースの立ち位置を暗示しているかのようである。

ミライのフィアンセ

ゴップ「ミライ少尉も体には気をつけてな」
ミライ「ありがとうございます、提督」
ゴップ「大丈夫、ソロモンが落ちれば国力のないジオンは必ず和平交渉を持ちかけてくるよ。そこでこの戦争はおしまいだ。そしたら婿さんの面倒をみさしてくれ」
ミライ「え、ええ」
ゴップ「あ、ああ、フィアンセがいたっけな。ああ、すまんすまん」
ミライ「あ、い、いいえ・・・あ・・・」

ゴップは、ミライには労いの言葉をかけるがブライトにはしない。ミライの家柄の良さからくる差別的な対応である。第4話「ルナツー脱出作戦」でもワッケイン達の正規軍の民間人に対する差別意識が描かれていた。こうした差別意識丸出しな軍人をあえて描くところが機動戦士ガンダムである。

「お婿さん」の話をブライトの前でされてミライが困惑の表情を浮かべる。

「それ、いま言う?」

「私にはフィアンセがいるんだけど・・・」という感情と「ブライトの前で言わないでほしい・・・」という感情とがないまぜになった絶妙な表情だ。

ゴップは続けて「あ、ああ、フィアンセがいたっけな。ああ、すまんすまん」と追い討ちをかける。とことん空気の読めない上司だ。

「フィアンセ」という言葉にブライトが敏感に反応する。いかにも不機嫌ですといった表情で、足早に去ろうとする。

「そういうの、さきいうといて・・・」

この辺りの各登場人物の感情表現が実にうまい。言葉で説明しなくても表情や動きで、感情やその場の空気感まで全て伝わってくる。

ブライトは、第17話「アムロ脱走」で、アムロをガンダムから下ろそうという話をミライとしているとき、そっと手を肩に乗せようとしてミライに避けられた過去がある。ミライはブライトのこの思いを知っているので、実にバツが悪そうだ。

スレッガー・ロウ中尉

スレッガー「よう、ホワイトベース隊の責任者は誰だい?」
カイ「なんの用だい?」
スレッガー「どこにいるんだよ?」
カイ「ブライトさん、お呼びだぜ」
ブライト「ん、なんです?」
スレッガー「スレッガー・ロウ中尉だ。今日付けでこっちに転属になった・・・」
ブライト「ミライ、聞いているか?」
ミライ「えっ?あ、あります」
スレッガー「ははは、俺もついてきたな、こんなきれいなお嬢さんとご一緒できるなんて」
ミライ「よろしく、ミライ・ヤシマです」
スレッガー「よろしく」
カイ「ヘヘヘヘッ」
スレッガー「へへヘヘッ。よろしく、お嬢さん」
セイラ「セイラ・マスです」
スレッガー「んー?あんた、男の人の事で悩んでる相が出てるよ」
セイラ「えっ?」
スレッガー「ははははっ!よう、俺のねぐらどこ?」

スレッガー・ロウ初登場である。なれなれしくて、軽薄そうで、ホワイトベースのクルー達を舐めている節がある。艦長であるブライトに敬礼もしなければ敬語も使わない。今後、いかにもホワイトベース内の台風の目になりそうなキャラだ。

カツ「体の大きいとこなんか死んだリュウさんにそっくりだ!」
キッカ「リュウみたいにやさしいかな?」
カツ「お調子もんらしいぜ」
スレッガー「・・・フフフ」

カツ・レツ・キッカのスレッガー評は「体の大きいとろこがリュウにそっくり」「お調子者」らしい。いまはまだ新しい人がやってきたという物珍しさで興味津々といった段階だろう。

ホワイトベース発進!

ブライト「さて、いよいよ発進だ。各員持ち場につけ!ドッキングロック解除!ホワイトベース発進!」
連邦兵「上空クリアー。ハッチ開け!」

いよいよホワイトベースの発進だ。サイド7からジャブローまでのような逃亡ではなく、今度は軍事行動としての出撃である。なかなか感慨深いものだ。

このシーン、連邦兵がルパンと次元に見えるのだがただの偶然か、それとも富野由悠季の遊び心か。

今回も動物の登場である。ここ数話ジャブロー周辺の動物たちが数多く出てきた。このあたりについては一本まとめ記事を上げようと思う。

ザンジバル発進!

ホワイトベースがジャブローを発進したとの報を受けて、そのあとを追うようにシャアもザンジバルで出撃する。ザンジバルといえば、第12話「ジオンの脅威」でランバ・ラルが地球へ降下した際に搭乗していた艦だ。

この時のザンジバルはまだテスト中で、すぐにドズルの元に返還されたらしく、実践投入されることはなかった。今回、満を持して再登場である。

クランプ「せっかくの新造戦艦のザンジバル、なぜあれを?」
ハモン「まだテスト中のものを実戦に投入できますか?」

第16話「セイラ出撃」

しかし、この時点でシャアは連邦軍のおとり作戦に引っかかってしまっていた。作戦第一段階は連邦軍に軍配である。シャアがそのことに気づくのはもうしばらく後のことだ。

新型モビルアーマー・ビグロ

トクワン「30分ほどで戦闘圏内に入れます」
シャア「ご苦労だった。キシリア殿はお怒りだったのか?」
トクワン「はあ」
シャア「我ながらそうは思うよ。このザンジバルがビグロの実戦テストの準備をしていなければ木馬を追いきれなかった」
トクワン「シャア大佐、ご覧になりますか?ビグロを」
シャア「うん、見せてもらおうか。作戦を考える必要がある」
トクワン「このモビルアーマーのビグロなら、高速戦闘力に関してはモビルスーツなど物の数ではない、ということです」
シャア「しかし、1機では作戦はできんぞ」
トクワン「は、ドムが2機とテスト中止のモビルアーマーが」
シャア「ドム?陸戦用のか?」
トクワン「は、バーニアをパワーアップしてあるリック・ドムです」
シャア「改造型か?」
トクワン「ザクタイプよりははるかに使えます」

今回のジオン軍の新型兵器はモビルアーマーのビグロである。トクワンの説明では「高速戦闘」向きとのこと。

また、黒い三連星の見事なジェットストリームアタックを見せたドムもパワーアップして再登場である。

バーニヤ(副尺、遊尺、遊標、バーニア、バーニヤスケール、Vernier Scale)は、ノギス等に付随し、最小目盛以下の数値を読取る補助をするもの。(中略)転じて、英語では機械工学用語で補助装置の事を vernier と言う。また、微動・微調用に用いられることから、ロケットや宇宙船の姿勢制御用の補助エンジンもバーニヤ(あるいはバーニヤスラスタエンジン、バーニヤエンジン、バーニアスラスタ)と呼ばれる。

バーニヤ-Wikipedia

バーニアとは姿勢制御用の補助エンジンのことである。

「バーニアをパワーアップしてあるリック・ドム」とは、要するに、本来ドムは陸戦用のモビルスーツで宇宙空間での戦闘には不向きだが、今回登場するリック・ドムはバーニアが改良してあって、宇宙空間でも動きやすく姿勢を保ちやすくて、ザクよりもはるかに強いよということだろう。

作戦的中

マーカー「追いかけてくるのはどうもザンジバルクラスの戦艦ですね。このままですと20分で追いつかれます。直撃が来ます」
ブライト「よし、コースこのまま、ポイントE3で加速する」
ミライ「はい。そうすれば、ホワイトベースはいかにも月へ向かうように見えるわね」
ブライト「それがつけめさ」

ジオン兵B「木馬の推定コースが出ました。このままですと月へ向かいます」
トクワン「月だと?キシリア様のグラナダへ向かうのか」
シャア「まさかな」
トクワン「は?」
シャア「引っ掛かったんだよ、我々は。木馬はおとりだ。今頃南米のジャブローからは別の艦隊が発進している頃だ」
トクワン「ならば、転進してそれを」
シャア「本気か?我々が背中を見せれば木馬が攻撃してくる。この機会に先制攻撃を仕掛けるしかない」

月へ向かうよう見せかけるホワイトベース。しかし、シャアはそれをおとりだと見抜いた。そして、今頃はジャブローから別艦隊が発進しているであろうことまで推察している。さすがである。

しかし、見抜いたとはいえ、シャアたちがそのおとりに連れられてきてしまっていることに変わりはない。トクワンは引き返そうと提案するが、シャアは「先制攻撃を仕掛けるしかない」とホワイトベースとの戦闘を決意する。

ホワイトベースvsザンジバル

ホワイトベースとザンジバルの戦闘が始まった。ホワイトベース側はGスカイ、Gブルイージー、ガンキャノンである。対するザンジバル側は新型モビルアーマー・ビグロとドム2機だ。

アムロ「来たな・・・。よーし、見てろ。うっ」
セイラ「あっ。は、速い」

セイラのGブルイージーにビグロが突っ込んでくる。セイラがビーム砲で応戦するが、ビグロのスピードが異常に速い。撃った時点ですでにビグロはGブルイージーの上空をすり抜けていた。さすが高速戦闘用の新兵器である。

「判断が遅い!」

トクワン「このビグロのスピードをよけられるか?」
セイラ「な、なんてパワーなの。けど、引っ掛け方が悪かったわ、ビーム砲で。ま、まさか、このモビルアーマー、兄さんがパイロットだなんて・・・。ああーっ!」
アムロ「だ、駄目だ、セイラさん、上昇するんです!」

さらに、ビグロの攻勢が続く。すれ違いざまにかぎ爪状のアームにGブルイージーを引っ掛ける。

しかし、セイラの言う通り、引っ掛け方が悪かった。Gブルイージーのビーム砲がビグロの方を向いており、このまま発射すればビグロを撃墜できる。

ところがここでセイラがビーム砲の発射を一瞬ためらう。「このビグロにキャスバル兄さんが乗っているのではないか」ということが頭をよぎったのだ。

この一瞬のためらいがセイラを危機に陥れる。ビグロはGブルイージーを地球に向けて放り投げた。

アムロの「上昇するんです!」の声も虚しく地球に落ちていくGブルイージー。このままではガンダムに換装することもできない。果たして!?

「じゃあやらねえ」

マーカー「モビルスーツは3機です、ガンキャノンも出してください」
ブライト「よし、カイにガンキャノンを発進させろ。スレッガー中尉はどこだ?」
スレッガー「おう、なんだ?ブリッジのすぐ下にいるぜ」
ブライト「ご専門はなんでしょう?」
スレッガー「大砲でも戦闘機でもいいぜ」
ブライト「主砲の方にまわっていただけませんか?中尉」
スレッガー「条件がある」
ブライト「条件?」
スレッガー「ホワイトベースを敵に向けてくれ。慣性飛行をしているからできるはずだと思うがな」
ブライト「しかし、それでは追い付かれる」
スレッガー「じゃあやらねえ。当てる自信がねえからよ」

ブライトがスレッガーに主砲にまわるように指示をする。しかし、そのやりとりは軍隊のそれとは思えない。

「ご専門はなんでしょう?」とか「主砲の方にまわっていただけませんか?」とか、艦長としての指示というよりは「お願い」である。

しかもスレッガーの方も、ホワイトベースの向きを変えてくれと「条件」をつけたり、それが通りそうにないとみるや「じゃあやらねぇ」といって通信モニターを一方的に切断したりと、やりたい放題である。

「じゃあやらねえ」

まるでサイド7を出撃した直後、素人集団でまったくまとまりのなかった頃のホワイトベースを想起させるようなやりとりである。

スレッガー「おっと」
カツ、レツ、キッカ「わあっ」
スレッガー「やれやれ、これじゃあな・・・」
レツ「うしろの機銃でやっつけるんだ!」
キッカ「おう!」
スレッガー「やってくれやってくれ」

今回の転属の命令を受けた時、スレッガーはどう思ったのだろうか。こんな子供ばかりが乗り込んで運用しているテレビアニメみたいな軍艦に配属され、しかも命令されたのはおとりという危険な任務。

左遷されたという思いが強いはずで、だからこそなかばやけくそ気味にここまで奔放で自分勝手な言動をとっているのであろうか。それとも、もともとそうした言動で鼻つまみ者だったために「ここがお似合いだ」とホワイトベースに配属となったのか。

いずれにせよ、スレッガーにしてみればなんでおれがこんな船に乗らなければならないんだという思いが強いはずだ。

このカツ・レツ・キッカ達を見ている時の言動からもそうした思いが透けて見える。

アルテイシア回想

シャア「木馬の奴、なかなか手馴れてきたな。艦長が変わったのか?しかし、まさかとは思うが。民間人があのまま軍に入って木馬に乗り込むなぞ。(アルテイシア、アルテイシア、しかしあの時のアルテイシアは軍服を着ていた。聡明で、戦争を人一倍嫌っていたはずのアルテイシアが)フフフ、再び宇宙戦艦に乗り込むなどありえんな。よし、あと3秒で砲撃中止。当てろよ」

第4話で、シャアはルナツーに攻撃を仕掛ける前に、アルテイシアのことを回想していた。

このときは「アルテイシアはあんなに強い女じゃない」と自分に言い聞かせてルナツー攻撃を決意した。

今回も同様である。「あんなに戦争を嫌っていたアルテイシアが宇宙戦艦なんかに乗り込んでるわけないよな」と言い聞かせて、攻撃を継続する。やはりアルテイシアを危険にさらす行動をとることができない点はシャアのアキレス腱である。

セイラもシャアも全く同じことを考えているが、最後はためらわず攻撃をするシャアに対し、最後の最後で踏み切れなかったセイラ。戦場でこの違いはかなり大きい。

「指揮権は私にある」

スレッガー「ああっ。おおっとっと・・・」
ミライ「あっ・・・」
スレッガー「ご、ごめんよ、悪気じゃないんだ・・・。ブライト中尉さんよ」
ブライト「中尉、一言言っておくがあなたは私より年上だが指揮権は私にある。それを・・・」
スレッガー「それは当然だ」
ブライト「そりゃどうも」
スレッガー「だから頼んでるんだ。ホワイトベースの主砲を使えるように早いところ回れ右をしてくれ、と」
ブライト「今は無理だ。もう少し待ってくれ」

事故的にミライに抱き着く形になったスレッガーを苦々しく一瞥するブライト。スレッガーの「ブライト中尉さんよ」の呼びかけに「指揮権は私にある!」とブチ切れる。

そうはいいつつも、ホワイトベースを方向転換することは約束した。

なお、このシーン、スレッガーの手がミライの肩に乗ったままだ。ブライトですら触らせてもらえなかったミライの肩にである。

その手をミライがさりげなく払っているのも見どころだ。

ガンキャノン出撃

マーカー「敵3機のうち1機はモビルアーマークラスのようです。ガンキャノン発進、急がせてください」
ブライト「カイ、何してるんだ?」
カイ「オーライ、いろいろあってね。カタパルトOKよ」
ブライト「アムロとセイラを援護してくれ」
カイ「了解。行きますよー!」
ブライト「ホワイトベース、180度回頭!」
スレッガー「ははははっ、いいねえブライト中尉。あんたはいい」
ブライト「主砲の射撃をやってもらいたいものだな」
スレッガー「ミライさん、船は任したからね。頼んだよ」

ガンキャノンがアムロとセイラの援護に向かうため出撃。

それを確認してブライトがホワイトベースの180度回頭を指示。スレッガーの望み通りの展開に。

ここから先はスレッガーの腕の見せ所である。ミライに声をかけブリッジを後にするスレッガーだが、果たしてその腕前はいかに。

しかし、ブライトも成長したものだ。アムロと対立して意固地になり、なかなかアムロを独房から出さなかった頃のブライトのままであれば、絶対にホワイトベース回頭はなかっただろう。

リュウの死は決して無駄ではなかった。

ガンダム換装

カイ「さてどこだ?俺だっていつまでもふさぎ込んでいる訳にはいかねえんだ。よくやれると思うよ、セイラさんもアムロもよ。ん?」
アムロ「く・・・こ、このままじゃ」
トクワン「圧倒的にこっちのもんだな。もう時間の問題、おおっ!!」
アムロ「セイラさん・・・。カイさんか。ようし、この間にガンダムに換装させてもらう。と、とにかくスピードを落とさせないと。やってみるか。直撃したらおしまいだが、落下速度を落とさないと」

ビグロに完全に押されているアムロ。セイラは地球に落下中で役に立っていない。あの時の一瞬のためらいの代償はでかい。

地球に落下中のGブルイージーの直前でミサイルを爆発させ落下速度を落とすというアクロバティックな技をはなつアムロ。このあたりはいかにもアニメという感じである。

速度が落ちたところでガンダムに換装。宇宙でのガンダム換装ははじめてだが何の問題もなく完了。

セイラ「アムロ、あのモビルアーマーのパイロット、どういう人だと思って?」
アムロ「え?なぜですか?」
セイラ「・・・ううん、いいのよ。アムロ、ドムが来たわ、急いで」

セイラがモビルアーマーのパイロットについてアムロに尋ねるが、アムロには意味がわからない。当然である。戦闘中に話すことではない。

前回シャアとエンカウントしてからセイラはずっと悩み通しである。まったく戦闘に集中できていない。そろそろセイラとシャアの関係も隠しきれなくなってきているのではなかろうか。

宇宙戦艦同士の砲撃戦

マーカー「モビルスーツの戦いは高度が下がっています。砲撃戦に入れます」
ブライト「総員、艦隊砲撃戦用意」
シャア「Jタイプのミサイルが使えんのはやむを得んな。砲撃戦用意。回避運動を行いつつである。よーく狙え」
ジオン兵C「30秒で有効射程距離に入ります」
シャア「木馬の射程距離とどちらが長いか。神のみぞ知るというところか(アルテイシア、乗っていないだろうな?)」

ブライト「回避運動は3秒単位だ」
ミライ「了解」
マーカー「あと20秒で射程距離に入ります」

ジオン兵C「あと20秒で撃てます」
シャア「うむ」

いよいよ砲撃戦である。ホワイトベースもザンジバルも射程距離はほぼ同じ。壮絶な撃ち合いになるはずだ。なお、ブライトは「艦隊砲撃戦用意」と言っているが、ホワイトベースは1機だけなので「艦隊」ではない。

ブライトとシャアが言っている「回避運動」とは、敵艦に狙い撃ちされないようにジグザグに動いたり、加速したり、減速したりしながら、敵艦に狙い撃ちされないようにする行動のことである。こういう軍事用語をさらっと入れてくるところも機動戦士ガンダムらしい。

ここでもシャアはアルテイシアのことを回想している。しかも今度は幼い頃のアルテイシアの映像付きだ。ただこの絵は少々ひどい。

たしかにやさしそうだが・・・

砲撃開始!

ジオン兵C「来ました。こちらも」
シャア「待て」
ジオン兵C「ううっ!」
シャア「まだ撃たせるな。引きつけて撃つ」
ブライト「ミサイル!連続発射だ!」

ホワイトベースが一斉射撃を仕掛ける。これに対しザンジバルはじっと耐える。耐えてホワイトベースを引きつけてから一気にカタをつけるつもりだ。

シャア「・・・よし、よく我慢した。撃てっ」
シャア「よし、木馬にぶつかるつもりで突っ込め」
ジオン兵C「は、しかし」
シャア「うろうろ逃げるより当たらんものだ。私が保証する」

ホワイトベースの攻撃を耐えきったザンジバル。反撃開始だ。

ここでシャアがザンジバルをホワイトベースに向けて特攻させる。大胆な作戦だ。「うろうろ逃げるより当たらんものだ」というが部下は半信半疑である。ただこの場面で「私が保証する」と言い切ってしまえるのがシャアの強さであろう。

マーカー「ザンジバル、よけません。突っ込んできます」
ブライト「なんだと?ミライ、右へ逃げろ!シャアだ。・・・こんな戦い方をする奴はシャア以外にいないはずだ。セイラの言った通りだ、シャアが来たんだ」
シャア「木馬はおじけづいている。砲撃手はよく狙ってな」

シャアの特攻にブライトはこの表情。完全にうろたえている。すかさずミライに右によけろと指示を出す。

げえっ、シャア!

シャアは余裕の表情。ホワイトベースの動きをみて「おじけづいている」と見抜き一気に攻勢をかける。ブライトも艦長として板についてきたとはいえ、やはり采配はシャアの方が上である。

ヘイヘイ、木馬びびってるー!

直撃!

スレッガー「こいつ!」
ジオン兵C「ああっ」
シャア「うっ、直撃か?」
スレッガー「どうだい。俺の乗っている艦に特攻なんか掛けるからよ」

ホワイトベースとザンジバルがすれ違うその瞬間、スレッガーが主砲を発射。これがザンジバルを直撃する。

「くらえ!」
ちゅどーん

両軍ともに直撃はこの1発のみ。スレッガー、なかなかやるやん。

ドム撃破!

セイラ「あっ!ああっ!・・・まだまだ。逃げるものか。あと1機のドムは?ガンダムは?」

セイラのGファイターがドムを撃破。

ガンダムもビグロに挑む。

捕まったガンダム

トクワン「ビグロの使い方、見せてやるぜ」
アムロ「く・・・うわあっ・・・」
トクワン「ん?付属物が付いたぞ。まさかガンダムだったら?い、いや、もしつかまったなら加速度のショックでパイロットは気絶しているはずだ」

ビグロに引っ掛けられたガンダム。グラブロといいこのビグロといい、最近のガンダムはモビルアーマーによく捕まる。

ガンダムが高速のビグロに捕まり、その加速によってアムロが気を失う。

トクワンはこれさいわいと主砲による攻撃を試みる。両手でガンダムを固定し、主砲前にセット。ガンダムピンチ!

お目覚め

アムロ「・・・そ、そうか・・・クッ」
トクワン「・・・なぜだ?パイロットは平気なのか?うおおっ!」

と、思っていたら、アームがガンダムを掴んだ際の衝撃でアムロがお目覚め。

ビグロのビーム砲をギリギリでかわし、ビームライフルで撃ち抜く。危機一髪である。

「スレッガー中尉、さすがですね」

ブライト「スレッガー中尉、さすがですね。直撃はあなただけでした」
スレッガー「いやあ、まぐれまぐれ。それよりさすがだねえ、皆さん」
ブライト「ああ。みんなご苦労」
・・・
スレッガー「いやあ、尊敬しちゃうよ、セイラさん。モビルスーツ1機撃墜、たいしたもんだい」
セイラ「そ、そんな、やっとのこと」
スレッガー「そんなことはない、俺にはわかるよ。あんたの強さはすごいよ!よう、シャワーでも浴びさせてもらうぜ」
ブライト「5分間だけならな、ジオンはまたすぐに来る」
スレッガー「了解。ミライさんも行かない?」
ミライ「お一人でどうぞ」
スレッガー「はいはい。よう、行こうぜ」
カイ「行こ行こ」
アムロ「はい」
ハヤト「はい」
キッカ「行こ行こ、一緒に行こうー!」

スレッガーはセイラにウィンクしたり、ミライに「一緒にシャワー行こうぜ!」と言ったり女性陣からは顰蹙を買っている。ただの軽口セクハラ野郎である。

しかし、カイやアムロ、ハヤトとは一緒にシャワーに行っているということは馬があうのか。なかなかつかみどころの難しいキャラである。

第31話の感想

今回はブライトとシャアの対決を描いた回である。ホワイトベースとザンジバルというそれぞれの新型軍艦を率いる艦長同士の直接対決だ。

今回のホワイトベースvsザンジバルの砲撃戦は、ガンダムvsグフに勝るとも劣らない名勝負である。

この2人、以前にも対決したことがある。それは第8話「戦場は荒野」での一幕である。

その時はブライトの作戦が見事に決まり、ホワイトベースは危機を脱した。まぁその時のジオン軍の司令官はガルマで、シャアはわき役だったわけだが。

今回はどうか。ザンジバルの特攻作戦に完全に狼狽してしまったブライトと、その様子を的確に見抜き攻勢をかけるシャア。うろたえるブライトと余裕の笑みを浮かべるシャアの対比が見事だ。

ブライトにしてみればシャアが追撃してくるというだけでも大変なのに、そこに新入りのスレッガーがうろちょろして、しかも命令もろくに聞いてくれないありさまである。まさに「内憂外患こもごも至る」の状態だ。

そんな中ブライトの成長が垣間見えたのが印象的であった。リュウの死は決して無駄ではなかった。その反省や教訓はブライトの中で確実に生きている。なんとも胸熱な展開だ。

当のスレッガーであるが、なかなかその人物像をつかみきれない。表面的には周囲の女性になれなれしく、軽口をたたき、艦長命令には反発するただのセクハラクソ野郎だ。

しかし、よくよく見るとスレッガーがブライトに反発したのは、主砲を敵艦に向けるためにホワイトベースを転回してほしいと頼んだのに受け入れられなかったときである。その際、「慣性飛行中だからできはず」とホワイトベースの状況もよく理解している。

回頭すると加速できなくなるのでザンジバルに追いつかれてしまう。そう考えブライトはスレッガーの提案を拒否する。

しかし、この時点でGスカイとGブルイージー、ガンキャノンを出撃させており、ザンジバル側との戦闘は覚悟しているはずだ。ならばホワイトベースも回頭して主砲も使えるように準備するのは自然な流れである。

もっとも早く状況を把握し、作戦行動を提案していたのはほかならぬスレッガーだった。しかもザンジバルに主砲を直撃させるという確実な腕ももっている。こう考えればスレッガーはなかなか優秀な人物といえるだろう。

セクハラクソ野郎からセクハラ野郎に昇格である。

さて、次回はドレン率いるムサイ艦隊がホワイトベースの前に立ちふさがる。ドレンといえば、シャアの部下として常に行動を共にしていた人物だ。この2人が再びホワイトベースに挑む。

果たしてホワイトベースの運命は!?

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