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Gydaに見る北欧女性の在り方

Sagaってみなさん聞いたことありますか?
私はノルウェー語のテキストに出てくるまで知りませんでした。

Sagaとはおもに中世アイスランドで成立した古ノルド語による散文作品群の総称で、ノルウェーやアイスランドで起きた出来事を題材にしたものが多いそうです。ほとんどのサガは著者不明で、執筆期間は12世紀から13世紀とされています。

Sagaが扱う内容は、歴代のノルウェー王の伝記、アイスランドの植民とキリスト教化の歴史、島民の争いと裁判、古代ゲルマン民族の伝説など多岐にわたるそうで、ノルウェーの学校では歴史の時間に必ず学ぶ題材のようです。

そんなSagaの中にGyda(ギーダ)は登場します。Gydaはある地域の小王の娘なのですが、後にノルウェー最初の王となるHarald(ハーラル1世)に求婚をされたにも関わらず、「あなたがノルウェーの統一を成し遂げ一国の王となるまでは結婚できない」と断った人物として有名です。後にそれをきっかけにHaraldは戦いに邁進しノルウェーを統一に導き、Gydaと結婚したといわれています。

Sagaの中身が本当だとすると、当時の裕福なノルウェー人女性の地位は相当に高かったことが伺えます。権力者であるHaraldの求婚を一度は断り、かつ条件を提示してそれをクリアすれば結婚してあげるという上から目線のやりとりをするわけですからw Haraldが生きたのは850年頃から930年頃といわれており、まだ本格的にキリスト教が入ってくる前のノルウェーです。

キリスト教が入ってきて、男尊女卑の考え方がノルウェーにも広がり、女性は子供を産んで育てるのが役割であるといった社会通念ができあがってしまったのです。ノルウェーの劇作家イプセンの有名な戯曲「人形の家」が書かれたのはこの時期ですね。(妻を人形として扱う夫への怒りを題材にした戯曲)

つまり、私がここで何を言いたいのかというと、ノルウェーはもともとはかなり男女平等のフラットな社会だったのではないかということです。一度はキリスト教の影響で男女不平等の社会となったものの、結局元さやにおさまったというのが私の印象です。やはり「平等」という考え方の基盤がかなり昔からあるように思うのです。

ノルウェー人の女の子たちは、このように女性が王様と対等にやりとりする姿をSagaで学び、近代史では女性首相輩出の歴史を学び、現代でも多くの女性党首の演説を間近にみて育つわけで、そういう人たちにとっては男女平等とは疑う余地のない空気のように当たり前のものなんだろうな、と思うわけです。

機会があればぜひ現代の10代、20代のノルウェー人女性のインタビューもしてみたいと思います。

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